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キミと一緒に
それから、家に戻った俺たちは玄関を開けて中に入るなり、互いに体を引き寄せ合うようにして唇を重ねた。
「んっ、ふ……っ、露木君」
「ん…」
露木君の大きな手が俺の頭に添えられて、グイッと引き寄せられる。
舌先で歯列をノックされれば、俺は躊躇うことなく口を軽く開いてそれを受け入れた。
「ぁっ……ふぁ」
ねっとりと舌を絡め取られればぞくりとした快感が背筋に走る。
ちゅくっと濡れた音を立てながら舌同士を擦り合わせられ、思わず鼻から抜けるような甘い吐息が洩れた。
露木君のキスは本当に凄くて、あっという間に腰に痺れが来て立っていられず、俺の思考力を奪ってしまうから困る。
「は、ぁ……っ」
膝がカクリと折れそうになった所で、露木君の腕が俺の腰を抱き寄せ、いきなりグワっと持ち上げられて体が浮いた。
「わわっ! ちょっ!」
「環は軽いなぁ。ちゃんと食べてる?」
「た、食べてるじゃん! って、降ろしてよ!」
俺は慌てて露木君の腕から降りようと藻掻くが、彼はそれを許してはくれない。
そのままスタスタと歩き出し当たり前のように俺の部屋のドアを開けて中へと入って行く。
「お、降ろしてってば!」
「はいはい、暴れないの」
ベッドに下ろされるとそのままキスが額に落ちて来た。
避ける暇もなくこめかみに、頬にと何度も口付けられ、くすぐったさに身を捩る。
「ん……っ、くすぐったい」
「そう? 僕は楽しいけど?」
露木君はクスリと笑うと俺の服の裾から手を差し入れて、脇腹をするりと撫で上げた。
「ひゃ……っ!」
「相変わらず敏感だね。可愛い」
汗ばんだ肌に熱い手のひらが触れて、思わず身体を跳ねさせ声を上げると、露木君は楽しげにククッと喉を慣らして笑う。
「ち、ちょ! 待って! お、おおおっ俺っ、お風呂入ってないっ」
「いいよ。環の汗の匂い好きなんだ。凄く興奮する」
ベッドの上での抵抗なんて、何の意味もない。
露木君は俺の首筋に顔を埋めると、スンと鼻を鳴らした。その仕草に、かあぁっと顔に熱があつまって行く。
「あっ、や……っ汚い、からっ」
ぴちゃりと湿った音がする。露木君が首筋を舐めているのだと気付き慌てて身体を離そうともがくが、彼はそれを許してはくれない。
「あまり抵抗しないでよ。余計に燃える」
「っ、な、に言って……っ」
低く欲に濡れた声が耳に響く。その声だけでゾクッと腰が震え、下腹部がじゅっと熱を持った。
「お風呂に入ってない時の方が、相手の匂いがして好きなんだよ。そういうのってない?」
「……わからないよ」
「だったら、僕の身体はどう? 僕は、環の匂いが堪らなく好きだよ。汗臭いとかそう言うのはどうでもいいんだ。元々の身体の匂いってあるだろ?」
露木君は俺の首筋に鼻先を擦り付けて、深く息をした。俺が嫌がるのを面白がっているのかと思ったけど、どうやらそうじゃないみたいだ。
「露木君って、もしかして匂いフェチ……?」
「いや? そういうわけじゃないと思うけど……でも、環の匂いは特別」
「……っ」
そ、そんな事言われたらっ! どんどん体温が上がって行くのを自覚する。
まるで心に直接触れられているような気がして、恥ずかしくて居た堪れない。
「環、顔真っ赤だよ?」
「っ!だ、だれのせいだとっ」
露木君はクスリと笑いながら、俺の服の裾を捲り上げた。そして、露わになった素肌に唇を落としていく。
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