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核心 ②
「ごめんごめん。気付いてるって言ったらもう環の本音が聞けないような気がして言えなかったんだ」
「……」
「まぁ、最近はログインすらしてくれてなかったみたいだけど」
「そ、それは……っええっと、別に露木君の事が嫌いになったとかじゃないんだよ? そう言うんじゃなくって……その、何ていうか……」
モゴモゴと口籠り視線を彷徨わせた後、躊躇いがちに僕の方へと視線を戻す。
「……露木君が話してるって思ったら、恥ずかしくて直視出来なくなっちゃったんだ。その……っ色んな事思い出しちゃって……」
環は顔を真っ赤に染めながら呟くように呟くと、恥ずかしそうに俯いた。耳まで赤く染まったその様子に今すぐに此処で押し倒したい衝動に駆られたが、何とか理性で抑え込む。
「~~~っほんっと、環ってたまにとんでもない事言い出すよね」
「え? なんで露木君が照れてるのさ」
「こっちの話だから気にしないで。それより環」
僕は環の手を取るとギュッと握り締めた。僕の唐突な行動に驚いたのか、環は不思議そうに僕を見つめてくる。
その上目遣いが可愛くて、愛おしくて。やっぱり環が好きだと実感する。
「そろそろ家に戻ろう。これ以上ここに居たら、本気でこの場で押し倒しちゃいそうだし」
「……っばか」
環は恥ずかしそうに視線を逸らすと、小さく悪態を吐きながら僕の手を握り返してきた。その反応が凄く可愛くて、ますます環への気持ちが膨れ上がるのを実感する。
「好きだよ、環」
「ば、馬鹿! 外でそんな恥ずかしい事言うなってば!」
「どうして? 別にいいじゃないか。だって事実なんだし」
「だからっ、それが恥ずかしいんだってば!」
環は耳まで真っ赤に染めながら抗議の声を上げる。僕はそんな彼の言葉を聞き流しつつ、改めて幸せを噛み締めた。
この幸せを手放したくない。誰にも渡したくない。強くそう思った。
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