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核心

「だって、気になってさ。環は僕の事いつから好きだったのかなって」 「それは……どうでもいいだろっ! そんな事は別にっ」 「えー、いいじゃん。教えてよ」 「嫌だってば!」 環は頑なに口を割ろうとしない。その反応があまりにも可愛くてついつい意地悪をしたくなってしまう。 「ねぇ環、お願い」 「……っ、ずるい……っ」 僕が甘えるように耳元で強請ると環は耳を押さえて僕から距離をとり、顔を真っ赤にして俯いたまま黙り込んでしまった。 「お願い。どうしても知りたいんだ。というか僕のリスナーの中に居るblueroseって君の事だろう?」 「っ! どうしてそれ……」 ある程度の確信をもって尋ねてみれば、環の目が大きく見開かれる。 「やっぱり、環だったんだ」 「そ、そうだけどっ! う……いつから気付いてたのさ」 観念したのか環は恥ずかしそうに視線を泳がせながら聞いてくる。その表情がまた可愛いくて堪らない。 「そうだな……。環がマンションに入れてくれて暫く経ってから、かな?」 「はぁ!? う、うそっ!? な、なんで……っ」 「なんでって、君の部屋にあったローズベア、僕が直々にblueroseちゃんを選んで送ったモノだから」 「!?」 環は驚いたように僕を見た。その顔は真っ赤に染まり、言葉を失ったように口をパクつかせている。 まさかバレてないと思っていたのか?  本当に環の表情はクルクル変わってみていて飽きない。 僕は思わず吹き出しそうになるのを堪えながら、環に笑顔を向ける。「僕がなんであのクマをデザインしたかわかる?」 「え? いや……わかんない」 戸惑う環の頬をそっと撫でた。すると、彼はピクリと身体を震わせたけれど特に嫌がる素振りも見せずに大人しくされるがままになってこちらを見返してくる。 「blueroseちゃんってさ、僕が配信を始めた初期からずっと応援してくれてただろう? いまでこそ沢山のリスナーが増えたけど、最初は全然コメントも付かないし、なんども辞めようかと思った。けど、その度にコメントをくれて、僕は凄い励まされたし、頑張って続けようって思えたんだ。だから、その感謝を込めてあのクマをデザインして作った。元々あのクマはblueroseって子にあげるつもりで作ったものだったんだよ」 そう、あのローズベアはblueroseにあげる為にデザインしたものだ。 それがまさか、環の部屋にあるなんて思いもよらなかったけれど。 「うっ、じ、じゃぁ俺がblueroseだってわかってて今まで黙ってたのか!?」 環は明らかに動揺し、信じられないと言ったように僕を見た。 「うん、まぁね。もちろん、アレを作った時は知らなかったけど。環の部屋に置いてあったから」 「まぁね、じゃないっ!! うっわ、恥ずっ!」 環は頭を抱えてしゃがみ込んだ。僕はそれを見下ろしながらクスクスと笑い声を上げる。 「そんなに恥ずかしがることないじゃないか」 「いや、普通に恥ずかしいだろっ! 俺は気付かれてないって思ってたんだからっ。たく、性格悪いよ露木君」 環は恨めしそうに僕を見上げると、拗ねたように唇を尖らせた。その仕草がまた可愛くて僕は思わず吹き出しそうになる。

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