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第1話 世界会議

8月1日 康太と榊原は朝早くから閣下が手配したお迎えの車に乗っていた 車の中には四宮聡一郎と飛鳥井神威、そして毘沙門天と司録が乗り込んでいた 神威は車に乗るなり黙って目を瞑り、毘沙門天も右に倣えで目を瞑り座っていた 榊原はギリギリまで仕事を片付ける為に、ノートPCを開いてポチポチしていた 康太は眠っていた 天界では禁欲を強いられる為か、相当熱い夜を過ごしたのか?半ば気絶している様たった 閣下のお迎えの車は裏皇居と呼ばれる、皇居の裏側に位置する場へと向かう 裏皇居へ到着すると康太は目を開けた 使用人が車のドアを開けると、康太と榊原、聡一郎と神威、司録と毘沙門天は車から降りた そして中庭へと案されて着いて行くと、閣下が出迎えてくれた 中庭には魔法陣が描かれ中央には鏡が設置されていた その魔法陣の前に術者として桐生夏生が呪文を唱えていた 転送の術者として烈は夏生に頼み、夏生はそれを了承した そして前日の夜から裏皇居へ来て、ガブリエルが描く魔法陣を手伝っていたのだった 榊原は中庭に大々的に描かれた魔法陣を目にして 「此れが烈考案の魔法陣なのですね!」と問い掛けた 閣下は「そうです、七賢人八賢者と弟子の最高傑作だそうです! 昨夜ガブリエルが来て魔法陣を描いてくれました 術者の夏生が魔法鏡の設置をしてくれ、完成したのです! そしてガブリエルを天界へ転送し、問題なく転送されるのを確かめ成功させた魔法陣です! そして今、世界各国の要人が順番に転送されるのを待っているのです! 魔法陣が光り輝いたら中央に乗り込め!との事なのでお願いしますね!」と言う 皆は頷き了承した 予め転送予定の時間は伝えられていたから、その時間の前に招集する事にした そしてやって来た康太達と閣下と付きの人間は魔法陣の周りを取り囲み、その時を待った 暫く待つと魔法陣が光り輝き、閣下と共に康太と榊原、聡一郎、司録、神威と毘沙門天が乗り込んだ 目映い光を放つと、夏生は魔法陣と同調し康太達を押し上げる様に送り出し天界へと転送された お付きの者達は深々と頭を下げて閣下と他の者達を見送った 転送は一瞬だった 目が開けてられない程の光りに包まれ、うわぁ!と康太は榊原に抱き着いた 榊原は康太を強く抱き締めた すると………次の瞬間には天界に到着していた 天界の魔法陣へ飛ばされ、蒼光りするゲートの前に立たされ霧雨の中、天界への地に立った 天空神 三神とガブリエルはゲートを潜り天界の地に足を踏み入れた来賓を共に出迎えた 【ようこそ天界へ】 三神が告げるとガブリエルは上級天使に 「来賓を【迎賓館】へとお連れして下さい! 部屋に荷物を置かれた後、正装に着替えられたら、ロビーに出れられます様にお願いします!」と言い、上級天使に部屋へと案内させた 上級天使に案内され閣下と康太達は迎賓館へと向かう 康太は「烈は?何処にいるのよ?」と案内役の天使に尋ねた 上級天使は「烈様は各国の要人のお迎えの為、レイ様とクー様とで天空神様の所にお見えです!」と告げた 「なら閻魔は?何処にいる?」と問い掛けた 「閻魔様は炎帝様を迎賓館でお待ちです!」 そう言い迎賓館へと向かう 迎賓館へ入ると上級天使は「先ずはお荷物を置かれ、正装にお着替えをお願い致します!」と与えられた部屋に案内すると告げた 康太と榊原は案内された部屋に入り、荷物を置くと取り敢えず正装に着替えた 荷物を置いて正装に着替えフロアに行くと、正装に身を包んだ閻魔大魔王がいた 閻魔は「炎帝!」と言うとゆったりとした足取りで康太に近寄った 康太は「兄者!」と言い閻魔に駆け寄った 榊原は「閻魔殿は何時来られたのですか?」と尋ねた 閻魔は遠い目をすると 「私かい?私は前日入りして烈に電気を絞りまくられ、ガブリエルにヒーリングされるの繰り返しだったよ………」と答えた 大変な時間を送ったであろう閻魔だが、何だか嬉しそうに笑っていた 「でもねレイがね、此れあげる!とくれたんだよ!」と言い手に何だか凄い剣を握り皆に見せた 康太は「………何か凄い気を発してる剣だな………何なんだよ?此れは?」と問い掛けた 閣下が「その剣はアスカロンの剣では?」と問い掛けた 閻魔は「そうです………何か凄いのをレイがニコニコしてくれたのです! 受け取れない………と返したら泣かれて……受け取りました 烈に聞いたら、何でも聖ゲテルギウスの竜退治伝説で、ゲテルギウスが使ったとされる剣らしいです………」と苦笑して説明した 閣下は「この前レイ君が聞きたい事あるの、と言われたから……伝説の剣の話をしました 倭の国の天の逆鉾の話とか、中華圏の奇天の剣の話、そしてゲテルギウスの伝説の剣アスカロンの剣の話とかしました! まさか本当に出していたのですね」と驚き話した 閻魔は「烈が羅刹天から戴いた倚天の剣を黒龍に渡し、金龍はレイから天魔反戈を渡され「ちゅかいこなちてね!」と言われたので、頑張って訓練しているのです!」と話した 康太は「其処までしねぇと……先へは続けられねぇって事なのか?」と呟いた 閻魔は「そう言う事なのでしょう………聖剣や名のある剣には魂が宿る! その魂が持ち主と共鳴した時、剣は本来の力を放ち、きっと負けない力を授けてくれるから!と烈は言ってました! だから金龍と黒龍は日々鍛錬して剣を使い熟す努力をしています! 無論、私も日々鍛錬し剣と共に散る覚悟はしています!」と言った 榊原は「少し待って下さい!サラッと流してますが天魔反戈…それって別名 天の逆鉾なのでは? 何処かにグサッと刺さってるの持ち出したのですか?」と尋ねた 歴史が変わってしまうではないか! それはそれで………してはならない事だろう……… と案じていると、様子を見に来たクーが 「天の逆鉾は抜けちゃいねぇよ! 烈がガブリエル呼び出して見に行かせたから、グサッと刺さってるのは抜けちゃぁいねぇよ!」と言った 康太は「クー!」と名を呼んだ クーは「プーに頼んでいたけど準備万端か?」と尋ねた 康太は「あぁ、抜かりはねぇよ!」と答えた 「なら………何とかなるな………」 「魔界は天馬戦争の覇者が頑張ってるから大丈夫だろ!」 康太が言うと榊原が嗤って 「倭の国は十二支天が頑張って配置に着いてるので、踏ん張ってくれるでしょ?」と謂う 四方八方、目を光らせ、警戒は強めるけど……… 気は抜けない…… 何が起こるか解らない世界会議の始まりだった 康太は気を落ち着ける為に 「オレ等が同室って事は烈が部屋割りしたのかよ?」とクーに問い掛けた 神々は同性で愛し合うの由とはしてはいない…… 榊原と康太は別々の部屋に入れられるのかと想っていた が、与えられた部屋は同室だった クーは「だな、二人は離す方が厄介だと同室にした!」と謂う 「なら閣下や司命 司録や毘沙門天と大歳神はどの部屋になったのよ?」と問い掛けた 閣下は「私は個室でしたよ!」と謂うと神威は 「司命と司録は各々個室を貰っていた 神経質な司命だから個室になっておったわ! 儂は烈の横の部屋で毘沙と金龍と黒龍と相部屋だ!」と謂う 康太は毘沙門天と神威が金龍と黒龍と同室だと謂われ 康太は「金龍と黒龍……来てるのかよ?」と呟いた 其れは聞いてはいなかったから驚いていた 閻魔は「彼等は烈の護衛を買って出たのですよ! 天界も其れを認め迎え入れて下さったのです!」と言った 「烈は世界会議には出ねぇんだよな?」 「その代わりレイが出ます!」 閻魔が話すとロビーに兵藤?と見間違える青年がやって来た だが………足首まである程の金髪を揺らしていたから、兵藤ではないと次の瞬間気付いた ガブリエルは「天空神が子供の姿だとナメられであろうから、と青年にして下さったのです! そもそも子供の姿では世界会議には参加は無理なので、5日間はこの姿でお過ごしになります!」と伝えた レイはニコッと笑うと「ニブルヘイムです!まぁ容姿は貴方の見知った誰かに似てますが……私はニブルヘイムですから!」と言った 康太は笑って「解ってんよ!」と言った ニブルヘイムの眼が蒼く光る 「烈と視界共有してるのかよ?」と康太が問い掛けるとニブルヘイムは 「私は内から視ねばならぬ死命を与えられてるので!烈の為に私は頑張ってます!」と答えた その言い草がレイらしくて康太は笑った 康太は「ならば世界会議が閉廷するまで烈は出て来ねぇな………」と呟いた 「対価を要求した以上の仕事はしますからね! 今はせっせと皮算用でもしてるんじゃないですかね?」と笑う 榊原は、あ~やっぱり!と思った 何があろうとも、烈はタダでは動かない 動く以上は対価を要求する 人から見れば、其れがタダ同然のモノだとて、烈に取ったら価値のあるモノになれば其れを要求する 其れが労働の対価だと、要求するのだ 康太は「あ~宗右衛門はタダでは動かねぇわ………」と思い出しボヤいた 烈らしくて何だか康太と榊原は安心していた 上級天使が「其れでは会議場へお移り下さい!」と言う フロアには続々と世界各国の要人が守護神を連れてやって来て、人でごった返してしまっていたからだ……… 上級天使が皆をフロアから会議場まで案内し、配置された席に付かせる その流れる様な動作は、烈が組んだスケジュールなのだと康太と榊原は感じていた 席に着席するとガブリエルが壇上に上がりマイクの前に立った 一礼してガブリエルは皆に話し始めた 「ようこそ天界へ! 天界までお越し下さりありがとうございます! 今回は天界に場を構えての、世界会議になります! 貴方達が天使足を踏み入れた時から、世界会議は既に始まっています 天界へ転送されてゲートを潜り雨に当たった時点で、貴方達は篩に掛けられ選別され、今此処にいる訳です! 当然、倒れたり意識をなくした者達は別室に隔離して今精査中です! 多分………中身が土壇場で変えられ自爆要員として天界へ転送されて来たのだと想います! ですが篩いにかけた後でも、上手く潜り込んだ者が皆無な訳ではないと我等は常に考えています! だが我等は幾重にも布石を打って対策を取っています! まぁ向こうもそんなのは想定内だと嗤っているてしょうけどね! 何時何時、妨害が来るやも知れぬ状況なのは変わりない! さぁ皆様 より良い明日を築きたいならば話し合いましょう! 我が天界は天空神 三神が出席致します! 其れでは話し合いを開始致します!」 ガブリエルの合図で話し合いが始まった 議題はテスカトリポカ一択 誰も目にした事がないから……どんな存在かすら? 解らない だから的確な方針が打てなかった だが対策は打てると話し合いを続けられた 地獄界からは守護神として元始天尊が来ていた 羅刹天は地獄界を護る為に遺るのよ!と烈に謂れ、地獄界に残り、元始天尊が天界へ要人と共に来ていた……… 最初は羅刹天は天界に行く気満々だった たが烈が崑崙山に、羅刹天を呼び出し話をした 「天界での世界会議は元始天尊を送り出し、らーくんは地獄界を護るのよ! 羅刹の槍はタングステンとダイヤを加工したモノで打ち直し強化させとくのよ! 世界会議は5日、天界と人の世の時間差は数時間 その間は地獄界も警戒態勢を取らねばならないのよ!中華圏も同様、警戒態勢を取り何が起きても大丈夫な対策は取らねばならない! 世界会議で守護神がいない間を狙われたらお終いよ…………大勢の血が流れる事になるわ だから、らーくんは地獄界を護るのよ!」と謂われた 羅刹天は言葉もなかった 天界へ行っても脅威なら、不在の間も脅威だと謂うのか? 羅刹天は「必ずや皆を護ってみせる!」と約束した 烈は「応援が必要になったら、この紙を使うと良いのよ!絶対に、らーくんの役に立つからね!」と言い何やら呪文が書かれた護符を渡した 「此れは………何なんですか?」 「その時になれば解るわ! でも助けがいる時が来たならば、その護符を握り締め呪文を唱え、天高く放り投げなさい! そしたら必ずや、らーくんを護ってくれるから!」   そう言うと呪文を書いた紙も渡した 羅刹天はそれを受け取り頷いた だから中華圏は元始天尊が守護神として参加していた 元始天尊は会場に烈の姿を探した が、烈は何処を探しても見つからなかった……… 世界会議は各国の要人や守護神が具体的な対策をどう取ったら効果があるか? とか、何をしたらテスカトリポカに対抗出来るのか? 等と話し合う……だが、何も解る事は一つもなくて…………… 言葉もなく、初日が終わった 会議二日目も具体的な解決策すら出る事なく終わった 流石と残り三日しかない現実で、このまま終わるのか? とオーディンが痺れを切らして 「我等はテスカトリポカなる者を知らぬ! 皇帝炎帝、我等にその者の確かな情報を知らせてはくれぬか? 主は無策でその場に座っている訳ではなかろうて!主の倅が無策で両親を送り出す理由がなかろうて!」と問い掛けた 康太は座ったまま 「あの神は創世記の大分後 アステカ文明の頃の神だ! ケツァルコアトルとテスカトリポカはアステカの文化では英雄だった……… が、ヤツはジャガーに変身出来る様になって変わって行った 其処までは忌日にも記されているが………以降の足取りはテスカトリポカ信仰に置いて何とか知る事は出来るが……あまりの残酷な祭祀に国を上げて警戒する程だ! アステカ創造神話にはケツァルコアトルと共に世界を創ったと言う伝説がある」 そう言い康太は「皆にアステカ創造神話を集めた資料を配ってくれ!」と言うと前もって作っておいた資料を天使は配り始めた オーディンはやはり資料を作っておったのか!と想った 資料の言語は総て英語で書かれていた 【アステカ創造神話 アステカ創造神話の一つに、テスカトリポカとケツァルコアトルが力をあわせて世界を創造したという伝説がある 創世が行われる前には、2神の前には海しかなく、Cipactli (シパクトリ、ワニの女神)と呼ばれる大地の怪物がいた 怪物をひきつけるためにテスカトリポカは自らの足を餌にし、怪物はその足を食らった 2神は怪物を捕らえ、その身体から大地を作った。その後、人間が創造され、人々はシパクトリの苦痛を慰めるため生贄を捧げることになった。この伝説によって、テスカトリポカは片足がない姿で表される。 一方で他の創世神話において、テスカトリポカが太陽として世界を支配することになったが、ケツァルコアトルは宇宙を敵に支配されることに我慢ができず、テスカトリポカを打ちのめし空から追いやった 怒ったテスカトリポカはジャガーに姿を変え、世界を滅ぼした ケツァルコアトルは太陽の座をテスカトリポカと替わり、世界の2番目の時代を開始する テスカトリポカはケツァルコアトルを打ち倒し、テスカトリポカの送った強風は世界を荒廃させ、生き残った人間は猿に変身させられた。雨の神トラロックが3番目の時代の世界の太陽となったが、ケツァルコアトルが世界を再び滅ぼす火を送り、生き残った人間は鳥に変身させられた。4番目の時代の世界は水の女神チャルチウィトリクエが太陽となったが、大洪水に破壊され、生き残った人間は魚に姿を変えられた 】 世界会議に参加していた者はその資料を手にして……… 唖然となった 康太は「多分、テスカトリポカはこの創造神話の通りにしたいんだよ! そもそもテスカトリポカには赤、青、白、黒の4兄弟神がいた だが今は一つに吸収され現在の姿になり、ケツァルコアトルも吸収し、他の神々の力も吸収して、その力を強めて来た! そしてテスカトリポカのナワルはジャガー アイツは漆黒のジャガーに変身し、黒曜石の力を得て分身を飛ばし悪さをして来た 此れは聖神が全てのデーターを解析し導き出した結果であり、真実である!」と言った そして「最後のページを見てくれ!」と言った 皆が最後のページを開くと 「テスカトリポカは自分の惑星は持っている! テスカトリポカ小惑星は存在する! 発見者と命名者は人間だが 1980 Tezcatlipocaと命名した小惑星は存在する! 多分 大分前からその小惑星に潜伏していたんだと想う だがひっそりと暮らす奴じゃねぇからな、己の存在を誇示し始めたんだよ 惑星の詳しい説明は資料を見てくれ! 仮符号・別名 1950 LA 分類 地球近傍小惑星 軌道の種類 アモール群(火星横断)とか言われる小惑星だ が、奴はそんな小惑星ではなく地球(ほし)を欲しがった そして七色に輝く地球を悉く乗っ取ろうとして破壊して来たんだよ! もう残ってる地球(ほし)はこの蒼い地球(ほし)しかねぇ! アイツは今度こそ、この地球(ほし)を確実に手に入れ己の理想に満ちた地球(ほし)にする気だ 他の地球(ほし)はアイツに乗っ取られる前に…核爆弾のスイッチを押して………人の住めぬ死の惑星となった……… だから跡形もなくオレが……消し去り宇宙の塵と化した………… この地球(ほし)が死の惑星となるか………それとも光り輝く蒼い地球(ほし)のままでいられるか……それは我等に掛かっている!」 と言った 会場は物音一つしない静けさに包まれた レイは天井の一点を気にするように凝視していた 大歳神はそんなレイを横目に、静けさを破る様に 「そんなの勝てば良いだけの事だろうが!」との言葉を放った 「弱気になるな! 我等はこの蒼い地球(ほし)を護る為に存在するのであろうが! ならば護り抜け!其れが我等が存在する意味となる!」と言い高らかに笑い声を上げた その横で毘沙門天が、あちゃぁ〜と顔を覆った そんな簡単な話ではないのだ 時と場を考えようよ〜大歳神!と毘沙門天は思う だが大歳神は立ち上がるとマサカリを担ぎ上げ、レイが凝視している空間めがけてマサカリを宙へ放り投げた すると………何もなかった空間が切り裂かれ…血を流した黒いジャガーが姿を現した 黒いジャガーは何体も切り裂かれた空間から飛び出し襲い掛かって来た 各国の要人を護る様に守護神が、闘っていた 烈は姿を現すと「三日で出て来るかな………最終日まで我慢出来なかったのかしら?」とボヤいた ウヨウヨ時空から出て来る漆黒のジャガーを相手にしてクーが 「闘え!烈!でねぇと殺られるぞ!」と叫んだ 漆黒のジャガーは無差別に人や神を襲い闘っていた ウヨウヨいる漆黒のジャガーの中に、一際大きい漆黒のジャガーを目にすると 烈は「Tezcatlipoca!」と名を呼んだ 炎帝と青龍は闘いつつも、烈の言葉を聞き 「「嘘!本体ぃ!!!」」と叫んだ 烈は頷き呪文を唱え始めた ニブルヘイムが烈の傍にやって来ると、烈を護り闘い始めた 漆黒のジャガーには、やはり鋭い爪があり、その爪は人々を切り裂いた 烈はニブルヘイムに護られつつも応戦し、時空から槍を取り出すと 「父しゃん!これを!!」と言い青龍に放り投げた この時点で青龍も炎帝も烈もニブルヘイムも爪の攻撃を受けて怪我をして血を滲ませていた 青龍は我が子から槍を受け取ると応戦し始めた その槍は漆黒のジャガーの鋭い爪を圧し折り切り裂き応戦出来るスグレモノだった 大歳神は既に応戦出来るマサカリになっているのか? バサバサ切り倒していた だが漆黒のジャガーは切り裂かれ半分にされても…………再び再生し襲いかかっていた まるで漫画かアメコミの世界バリの展開にキリがない しかも四方八方から一斉に飛び掛かられれば、手の打ちようもなく鋭い爪に切り裂かれるしかなかった 烈も漆黒のジャガーの鋭い爪に斬られポタポタ血を流していた その流れ出る血を地面に垂らし、知恵の杖で魔法陣を描いた その中に閣下や闘えない者を入れ、護る 司録はまだ闘ってはいるが、司命は血だらけで閣下を護っていた だから司命も結界の中へ入れ護る事にした 毘沙門天も大歳神も司録も漆黒のジャガーの爪に抉られ…血を流しながらも闘っていた 康太と榊原は烈の傍へ行こうと、漆黒のジャガーを薙ぎ倒していた だが鋭い爪に切り裂かれ悪戦苦闘をしていた 「烈!レイ!」 康太は叫んだ 「烈!レイ!」 榊原も我が子の名と、ちっこいのの名を呼び叫んでいた 烈とレイを気にしつつ闘うのには……相手が多過ぎるし………隙など与えてはくれなかった 金龍と黒龍は烈とレイを護り闘っていた 司命は烈が張っくれた結界の中に、閣下を護りながらいたが……… その結界を破ろうと黒いジャガーが何度も何度も体当りして来るのを目にした だが、必死に閣下を守ろうとしていた …………が、本来戦闘向きでない司命には荷が重かった 四方八方から飛び掛かられ……結界が破られそうになる……… このまま切り裂かれ殺されるかも……と想うと愛する心優しい男を思い浮かべた 悠太……このまま結界が破られたならば、僕は烈の前にこの身を投げ出して君が大切にしてる烈を護るからね!……… 司命は血で視界が悪くなっても……剣を構えた 天使も闘いの場へ降り立ち、オーディンも闘っていた ラグナロクの戦士はhellを護る為に呼び出せない ならば闘うしかなかった 皆が入り乱れ戦う中、漆黒のジャガーの中でも一際体の大きな別格のジャガーが更に体を大きくして、烈の前に来ると人の姿になり 「やはり………お前が一番目障りだ! まずはお前を消し去り………後はニブルヘイムを殺るとしよう!」と謂いニャッと嗤った 烈は草薙剣で爪を交わすが、弄んだ様に翻弄し 「子供って本当に軟弱で小賢しい!」と謂う ニブルヘイムも必死に応戦するが………体が大きくなっても闘いに特化した訳では無いから応戦するだけで血だらけになっていた テスカトリポカは漆黒の長い髪を靡かせ真っ白な顔に真っ赤な唇をした悪魔みたいな顔をして、烈に刃を向ける 金龍と黒龍が烈を護るが、金龍と黒龍では歯も立たなかった 金龍は「まだまだ届かぬか………」と悔やむ様に言い烈の前に立ちはだかった テスカトリポカは「死ね!」と言い鋭く長い刃を烈に向けて貫こうとする その刃を聖鳥 朱鷺が嘴で止めた テスカトリポカは「本当に小賢しい!」と吐き捨てた トキは「お前程、小賢しくはないわ!」と謂い大きく羽根を広げると、テスカトリポカは警戒した トキは羽根を広げる顔を天高く突き出し呪文を唱え始めた テスカトリポカはトキから距離を取った 烈はそんなトキの体に触れると「トキたん、其れはしなくて良いのよ!」と言った トキは「だって烈…………」と言い涙を流した 「トキたん、まだ最終決戦じゃないから!」 そう言われトキは羽を窄めた テスカトリポカは嗤って 「何をしたかったか知らないが、鳥共々死ぬが良い!」と言い手にした刃で、トキと烈を串刺しにした 烈はニヤッと嗤うと、テスカトリポカの足元に魔法陣を出した テスカトリポカは顔色を変えて、逃れようと抗らったが、動けず……… 無理して抗い………足が千切れた 其処までなってやっとテスカトリポカは嗤うのを止め真顔になった 「本当に小賢しい奴め!!」 と憎々しげに吐き捨てると、両手を広げ 「我が分身よ!此処へ来るのだ!」と叫んだ テスカトリポカは分身である漆黒のジャガーを総て呼び寄せた そして抜けない体の部位の身代わりに分身達を使い、体を入れ替えると…… 目の前のテスカトリポカだったモノがウネウネと変形して………… 魔法陣から抜け出した……… テスカトリポカは「まぁ良い、時間は腐る程あるのだからな! 人など死に絶えてしまっても我は生き残る 最後の一人になればよいだけなのだから…」 と吐き捨て、高笑いしてテスカトリポカは何処かへ消えて行った トキと烈はその場に崩れ落ちた ニブルヘイムは烈とトキに近寄り「烈!トキ!」と叫んだ が、ニブルヘイムも闘いで傷付き血を流し過ぎてて………烈を抱き締め意識を失った 青年の姿になる様に掛けられた術が解け、レイはちっこい姿になり倒れていた 血だらけの金龍と黒龍は烈とレイの傍に駆け寄り………強く抱き締めた が、其処で意識が途絶え……倒れた 榊原は漆黒のジャガーが消えて、妻の安否を確かめた後、我が子とレイを探した 烈はテスカトリポカに狙われていた やはりテスカトリポカは真っ先に烈を狙うのか? と想い、駆け寄ろうとしたが、漆黒のジャガーに邪魔され近づく事さえ出来なかった 漆黒のジャガーがテスカトリポカに集まり、変形して天界から姿を消して、やっと烈の傍に駆け付けた時には……… 烈とトキはテスカトリポカの刃に串刺しにされていた…… 榊原は刃に手を掛けようとしたが…………手が焼ける痛さに……ハンカチを取り出し手に巻き付けて一気に引き抜いた 地面に落ちた剣を見て康太は「破滅の剣御……何故?」と呟いた その昔………悪魔が持っていて地龍を刺した時回収した筈なのでは?と想った 炎帝は始祖の御剣を取り出すと、烈とトキを刺そうとした が、それをゼウスが止めた ゼウスとウラノスとアトラス 天空神 三神が烈とトキの周りを囲むと ゼウスが「破滅は我が相殺する!」と言う ウラノスが「元々 破滅の御剣と始祖の御剣は、ゼウスが呪いと呪いを相殺する為に生み出した剣である!」と謂うと アトラスが「ゼウスが作ったのならば、ゼウスが破滅を相殺して烈とトキを生かすのは死命である!」と言った ゼウスは「ならば我が破滅を相殺致そう!」と謂うと ウラノスとアトラスが「「ならば我等が蘇生を致そう!」」と言った ゼウスは呪文を唱えながら烈とトキの傷口に手を翳した すると烈とトキの傷口から、黒い煙か霧の様なモノが体から出て渦を巻いて出て来た 体の中の破滅を相殺し消し去ると、ウラノスとアトラスが蘇生の呪文を唱え始めた ゼウスは「此奴は己の体を人質にしテスカトリポカに陣を発動したのじゃよ! 青龍殿、テスカトリポカの片足が抜け落ちているので回収をお願いする!」と申し付けた 青龍はテスカトリポカの足を回収すると、ゼウスに渡した ゼウスは「破滅の御剣は我等が祖に返し保管するとしよう! 消滅させてしまったならば、炎帝の始祖の御剣の力が消え去る故、消すのは無理であるからじゃ! そしてテスカトリポカの足も同様、我等が管理して研究するであろう烈の為に使うとする!」と宣言した ウラノスは「テスカトリポカの片足は元々ないと言われておる! その真意は定かではなかったが……スポッと抜け落ちた足を見れば、義足だったと確信を得る事は出来た…… そして………あまりにも多くの者が血を流し過ぎたこの現実に……我等はまだまだ鍛錬が足らぬと烈ならば申すであろう!」と謂う アトラスも「あと一歩どころか、こうもバタバタ倒れられては足らなさ過ぎだと怒るであろう!」と薄っすら笑って言う ウラノスとアトラスが必死に烈を蘇生をさせた 烈の顔に血色が戻ると、ゲホッと血反吐を吐き息を吹き返した ガブリエルはヒーリングを掛けて出血を押さえると「人の世へ今直ぐ連れて行き縫わねばなりません!」と告げた ゼウスは「世界会議はこれ以上の会議の続行は不可能とし閉廷とする! 皆 国に送る故 傷を治されよ!」と言い世界会議は終了を告げた 先ずはアメリカ諸国と近隣各国を転送し、次は中華圏を転送した 欧州諸国はオーディンの馬車に乗り帰還した 次は烈達怪我をしまくった亜細亜圏の者を転送する まず先に烈達、治療の必要な者の転送先は飛鳥井記念病院の前だった 榊原が烈を抱っこすると、康太は元のちっこいサイズに戻ったレイを抱っこした 大歳神はトキを担ぎ上げると、金龍、黒龍、閻魔、司命 司録 毘沙門天を先に病院の前に転送し、閣下達は裏皇居へ転送した 榊原は今も血をボタボタ垂れ流す烈を抱き締めたまま病院の中へ駆け込んだ 皆 血を流し過ぎていた……… 皆 傷付き過ぎていた……… 久遠は怪我人を見るなりスタッフ総動員して治療に掛かった 怪我の頻度で番号を振り分け、総合病院から医師を派遣して貰い治療に当たった 一番酷そうなのは烈だから、先ずは酷い怪我を縫うべく手術室へ運び込んだ 久遠は「トキまで今は手が回らん!誰かに縫わせて治療させろ!」と言い、手術室へ入って行くと、康太は一生に連絡を取った 「一生、悪いんだけど八雲を連れて来てくれねぇか?トキが瀕死の重症なんだよ!」 『え?…何処へ連れて行ったら良い?』 「オレ等は治療の為に飛鳥井記念病院にいる!」 『了解!直ぐに八雲連れて行く!』 そう言うと一生は驚きつつも、余分な事は一切聞く事なく即座に動いた 直ぐに八雲に連絡して「お前に用があるから、直ぐに行くから!」と電話を切った 『え?おい!』八雲は叫ぶが一方的に電話は切れた そして八雲の自宅に押し掛けると 「今直ぐに縫ってくれ!」と半ば脅し 「え?あっ?おい待てよ!着替えくらいさせろよ!」と怒る八雲を引き摺り連れ出した 有無を言わせず車に乗せられ連れ出される八雲は、玄関を出る瞬間診察用のカバンを手にするのがやっとだった 八雲を無理矢理車に乗せ、飛鳥井記念病院へとやって来た この日病院は休診となっていた 一気に押しかけてきた患者に、休診にするしかなかったのだ 一生は八雲を連れて病院に来ると、康太は 「一生、八雲を連れて、裏の飛鳥井の家へ行って治療させて貰ってくれねぇか……」と頼んだ 康太も榊原も血だらけで、神威も毘沙門天も聡一郎も司録も血だらけだった 疲れ切って座っている閻魔も血に染まっていた 世界会議に行くと言っていたのに………何があったのか? 不安はあったが…………今は頼まれた事を完遂せねば!と気を取り直し動いた 一生は病院のスタッフに頼み台車を借りて、その上にトキを乗せた そして八雲を連れて裏の飛鳥井の家へ行き、キッチンテーブルの上に八雲と二人掛かりで何とかトキを乗せた 八雲は怪我の周りの羽根を毟り取り、怪我の場所にイソジンをぶっ掛けた 「グェッ………」とトキが暴れると押さえつけ、八雲は傷をテープで止めた 八雲は「こんな大きい朱鷺は見た事ねぇな!」とボヤいた 一生は「え?この鳥が朱鷺だって解るのかよ?」と驚いて問い掛けた 「朱鷺だろ?だって特徴の赤い顔してるがな!」 「このトリは烈のトリなんだよ……… 何があったのかは聞いてねぇけど、怪我だらけのヤツ等が病院にゴロゴロいたのは確かだな……」と言った 一生が病院へ行った時、榊原も康太も他の者達も血に染まり…………怪我をしていたのが解った でも自分はトキを託された だから治療の為に即座に動いたのだ 八雲は酷い傷はテープで止め包帯を巻いた 八雲は「病院へ逝かねぇと縫うのも無理だ! 何をしたらこんなに傷だらけになるのよ?」と言いつつ治療をした 八雲は治療を終えると「この刃物傷、体の前から後ろに抜けて着いてるから、貫通した傷だから、取り敢えず内臓を調べねぇとならねぇんだよ………  調べてからじゃなきゃ縫うのも無理だ! コイツを病院に運びたいんだが?」と言う 「なら慎一に電話して大きな車を出して貰えねぇか?頼むわ!」 と言うと、一生は慎一に電話して 「今直ぐに飛鳥井記念病院の裏の家に来てくれねぇか? その時、トキを八雲の病院へ運び込みたいから大きな車を出して欲しいんだ………」と頼んだ 慎一は『………トキが怪我したのか?』と尋ねた トキは烈のトリだった 何度か来ているから知っていた 「康太や伊織も血だらけだった だが一番酷いのが多分………烈だろう……アイツは待合室にはいなかったからな 康太はトキまで手が回らないから、トキは八雲に頼むと言われたんだよ! で、今 病院裏の家のキッチンテーブルで応急処置して貰ったけど、どうやら傷は貫通しているらしくて、内臓の状態が気になるから病院へ逝かねぇとならねぇんだよ!」と訴えた 慎一は『直ぐに向かう!』と言い電話を切った 慎一は飛鳥井建設近くのマンションで、康太達の留守を護り、還りを待っていた 怪我をしていると聞き慌てて地下駐車場へと向かい車を走らせる 飛鳥井記念病院へ到着すると、自分の車は立体駐車場の一階部分のスペースに扉を開けて停めると、マイクロバスに乗り換えてた 「一生、今マンション入り口にいる!」 と言うと一生は八雲と二人でトキを持ち、再び荷台に乗せてマンション入り口を出て行った 慎一は車から降りるとトキをマイクロバスに乗せるのを手伝った 座席を全て倒し、ベッド代わりにして寝かせると八雲と一生は台車を畳んで車に乗せてから、車に乗り込んだ 慎一も運転席に乗り込むと、八雲の病院へ向けて車を走らせた 八雲は一ノ瀬に電話して「直ぐに俺の病院へ来れるか?応急処置はしたが結構大掛かりなオペになるから手伝って欲しい!」と電話した 一ノ瀬は直ぐ様了承し、八雲の病院へ駆け付けてくれると約束した 八雲の動物病院へ到着すると、トキを荷台に乗せて病院の中へ運び込んだ だが………病院のスタッフにはトキは視えない…… 院長が台車を押して来たが何を乗せてるか?全く理解していなかった 「院長………何も乗ってないのに何故台車ですか?」と言うとスタッフの言葉に……… 八雲は「一ノ瀬で視えるかよ?」と不安になり呟いた 一ノ瀬が病院へ駆け付けてくれオペに突入した 幸い、一ノ瀬にはトキが視えていた 開口一番に「デカっ!」と叫んだ それで視えているのを察し、即座にオペに入った  レントゲンで内臓の状態を確かめると、まるで意図して避けたかの様に………上手く刃先が内臓を避けるかの様に刺さっていた レントゲンで内臓の損傷がない事を確かめ、傷を縫った あっちこっち切り裂かれた傷を縫い 感染症を懸念して点滴を打ち様子を見ると 八雲は「このトリは烈のトリなんだろ? ならば大家のトリだから、預かって完治するまで面倒見てやるよ! どうせ、このトリがこんなに怪我しているならば、御主人も結構な怪我してるんだろ? ならばその間は面倒見てやるとする!」と言ってくれた 一生は「多分………魔界から素戔嗚殿が心配して来ると想うが………その時は合わせてやってくれ!」と頼んだ 「了解した!さぁ帰りやがれ! トリの面倒は見てやるから、トリの御主人を気にしてやれよ!」と言い八雲は一生と慎一を追い出した 一生は慎一の車に乗り込むと、慎一に病院には血だらけの怪我人がゴロゴロといたと話した 慎一は「ならば烈とレイと康太と伊織の着替えと、他の者は何か着れそうな寝巻きを探してから行くしかないな!」と言った 一生は「烈とレイは入院用の鞄に着替えを入れて行かねぇとな!」と言うと慎一は「待合室には誰がいました?」と問い掛けた 「康太と伊織、レイ、聡一郎と司録、閻魔と金龍と黒龍、神威と毘沙門天だな」と告げた 慎一は「客用の浴衣でなんとかなりそうですね!」と言うと先に飛鳥井建設の近くのマンションへ向かい着換えを用意してから病院へ向かった 病院へ到着すると、慎一は車を置きに向かった 一生は病院の中へ入って行くと………誰もいなかった 病院のスタッフを見つけ「久遠先生と此処にいた患者は?」と尋ねると 病院のスタッフは「皆 入院になり個室の方へ移動になりました!」と告げられた 一生と慎一は病棟の最上階まで行き個室へと向かった ネームプレートが出ていて飛鳥井康太との名前を見つけて病室のドアをノックした 「おー!入れ!」と康太の声がして一生と慎一は病室に入った 一生は「大丈夫なのかよ!」と心配した 榊原は「烈とレイは何時もの個室にいます ですが烈はICUに入るので、病室には戻りません 烈は破滅の御剣に串刺しにされたので…… 当分は………ICUでしょう………」と言った 慎一は「ならばレイは一人ですか?」と慌ててレイのいる個室へ向かった 康太は「あの場にいた者は………漆黒のジャガーの爪に切り裂かれ怪我を負った 無傷なのは………閣下や要人位なモノだ……… 烈は自分の血で結界を張り閣下や各国の首脳を自分の結界内に閉じ込めたからな………」と話した 一生は「………漆黒のジャガーが烈とトキを……串刺しにしたのかよ!」と悔しそうに聞いた 康太は「烈とトキを串刺しにしたのはテスカトリポカ本体だよ! オレ等は烈とレイの傍へ行くつもりでいたけど……ジャガーに邪魔され近寄る事さえ出来なかった……… 烈はヤツの事を「Tezcatlipoca!」と言った……… 本体が登場して烈とトキをこの世から抹消する気で破滅の御剣を使い……串刺しにしたんだよ!」 康太の話を聞いて一生は「破滅の御剣!!地龍を刺した剣かよ!あの剣は魔界で管理されていたんじゃねぇのかよ!」と叫んだ 榊原は「杜撰な管理だったのでしょうね……弥勒院厳正の魂の様に………杜撰な管理により持ち出されてしまったのでしょうね………」と言う 一生は悔しそうに唇を噛み締めた 康太は「唇が切れていたらレイが心配するだろ!止めとけ!」と言った 一生は「え?レイ?」と呟くと足元に何かが抱き着く感触があった 下を見るとレイがいた 「かじゅ、おんびゅ!」 レイもあっちこっち怪我して包帯が巻かれていた 一生はしゃがむとレイを背負った 「あいちぃーゆーに、ごー!」とレイが言うと一生は笑って 「ちょっとICUに行ってくるわ!」と言って病室を出て行った 慎一は「取り敢えず寝巻き持って来ました! 他の者は客人が着る浴衣を持って来たので着替えさせてますね!」と言うと康太と榊原の部屋から持って来た寝巻きを取り出すと、康太と榊原を先に着替えさせた そして閻魔と司命 司録の個室に行き浴衣を着替えさせ、神威と毘沙門天と金龍、黒龍の個室に行き、浴衣に着替えさせ世話を焼いた ICUから戻って来た一生は、レイを背負ったまま金龍と黒龍がいる個室へ顔を出した 「親父、兄貴大丈夫かよ?」と心配して聞く 金龍は悔しそうに涙を流すと 「まだ儂は未熟者じゃった! 烈を護る為に天界に行ったと言うのに!!」と布団をボスッと殴った 黒龍も「親父殿、悔しいのは俺も同じだ! 烈を護りたかった……でも俺等は歯も立たなかった 少し前に、魔界に今 奇襲が来て襲われたとしたら………確実に跡形もなく負けるわよ! と烈に言われたばかりなのに……… ……俺はそれを何処か他人事に捉えていたんだよ…… 烈が言う通り、我等が今 襲われたとしたら? 生き残れねぇ……現実を突き付けられたも同然だ! 悔しい……悔しい………こんな弄ばれる様な負け方は………したくはなかった!」と涙を流して悔いた レイは「くろたん!なかにゃいで!」と言い泣き出した うわぁ~んと泣き出したレイを一生は宥める 神威は「まぁ今は手も足も出ないかも知れねぇけど、日々鍛錬して逝けば一矢位は報いる事は出来るだろうさ! だからまた鍛えねぇとな!金龍、黒龍! おめぇらが折れたら魔界は終わるぜ! 多分 時を同じくして魔界も襲われている そして飛鳥井の家も襲われていただろう 慎一が無傷って事は………翔達は何処かへ行かせたのか?」と発破をかけつつ問い掛けた 慎一は「康太と伊織が5日間留守にする間、翔達は合宿に出掛けて、留守にしてます!」と答えた 「まぁ烈らしいな、何処かへ隠したか? 飛鳥井の家族は無事って事は対価として最初から要求していやがったのかよ!」とボヤいた 一生はレイを黒龍の上に乗せてやった 「くろたん、きんたん」 黒龍はレイの頭を撫でてやった 金龍は「天界にいたレイは朱雀かと想った程に似ておったな!」と言う レイは嫌な顔をした 一生は笑って「それは見たかったな!」と言いレイを抱き上げた 「お前も怪我してるんだから、部屋に行き休むぞ!」と言った 一生はレイを連れて行き金龍達の個室を後にした その日から一生と慎一は順番で病院に泊まり込み、皆の世話を焼いた あくまても家族には内緒で、動くしかなかった 閻魔が入院していると聞き華絵と尊は、飛鳥井記念病院まで竜之介に乗せて貰い面会に来ていた 「あなた!大丈夫なのですか?」とやって来た華絵は日に焼けて健康そうで、魔界にいた時とすっかり変わっていた 倅も日に焼けて健康そうに溌剌として、魔界にいた頃とは全く違っていた 聡一郎は美しい顔に絆創膏貼りまくりで、華絵は 「あー!美しい顔が!」と嘆いていた程だった 華絵は「うし!私も鍛え上げて貴方を護ってやるとしよう!」と嗤う 尊も「ならば僕も日々鍛錬して、父様を護ってやるとします!」と言い嗤う 似たもの親子になっていた その日から華絵と尊は、バスに乗り病院に見舞いに来ていた ………が、一番に逢いに行くのはICUにいる烈で、その次がレイで、康太と榊原の次に来てくれるのだった 漆黒のジャガーに切り裂かれた怪我は中々治癒する事なく……… 皆 焦る気持ちを持て余しつつも、烈がICUから出て来る事を祈っていた 天界が漆黒のジャガーに奇襲をかけられた頃 魔界も烈の予想通りに奇襲を掛けられていた 地獄界もhellもイギリスもアメリカも同時に漆黒のジャガーに襲われ、色んな建物はあの爪で切り裂かれ………倒壊した 無差別で……大量の人間が死んた 倭の国は………対象者となるべき存在が見当たらず…… 腹癒せに地脈に大掛かりな振動を与え大規模地震を引き起こし、被害に遭った者はかなりの数を叩き出していた 魔界は天馬戦争の覇者が老体に鞭打ち頑張っていた 素戔嗚尊は槍と剣で漆黒のジャガーを切り裂き倒していた………… が、後から後から湧いて来る奴等に…… 天馬戦争の覇者も辟易となっていた 油断したら………絶対にあの鋭い爪に切り裂かれる事間違いなしなのだ 弥勒は1枚の護符を手にして 「あ~もぉ〜うっとおしい! 烈に貰っといて良かったぜ!」 と言い教えられた呪文を唱え護符を放り投げた すると護符は竜巻の様に渦巻いて…………時空を切り裂き…… 皇帝閻魔を召喚した 素戔嗚尊と建御雷神と転輪聖王は 「「「えええ!!!嘘!」」」と叫んだ 皇帝閻魔は唇の端を吊り上げて嗤うと 「烈は我が息子の子供、孫の様な存在故……… 甘い祖父は頼まれれば出て来ちゃうんですよ! 烈に魔界がピンチの時は出てね!と頼まれたので、頑張って魔界を護り通しますとも!」 と言い漆黒のジャガーを投げ飛ばし一処に集めて燃やした 「キリがないのは集めて燃やす! 烈が言ってましたからね!」 と皇帝閻魔は闇を操り漆黒のジャガーを集めて燃やした 何だか………楽しそうにそれをやり………… 一匹も遺さず消し去ってしまった 「良い運動になりました! さぁ、皆、このまま地獄界へ行き手助けしますよ!」と瞬間移動した 素戔嗚尊は「地獄界じゃと?そんなに簡単には逝けはせぬ場なのではないのか?」と問い掛けた 皇帝閻魔は笑って 「今 羅刹天が私を呼び出したので、皆諸共行く気です!」と言い呪文を唱えると、時空に空いた穴に吸い込まれる様に………飲み込まれた 羅刹天は仲間の者達と共に、地獄界を護る為に闘っていた だが闘いは劣勢だった 皆 漆黒のジャガーに切り裂かれ………倒れて行った 羅刹天だとて無傷でいる訳ではなかった 武器を烈が言った通りに強化していたからこそ、漆黒のジャガーの爪に対抗出来ていたが………… 押され気味になり羅刹天は、烈から渡されていた護符を握り締め呪文を唱えた そして、それを天高く放り投げた すると時空が切り裂かれ………… 羅刹天は絶望した   これ以上………漆黒のジャガーが増えるなら…… もう無理だよ烈…… と弱気な心が押し寄せて来る が、時空から姿を現したのは………誰?だった 漆黒のジャガーよりも深い黒を身に纏い………漆黒の髪を靡かせ降ってくる様にやって来た 羅刹天は「誰なんだよぉ〜烈!!」と弱音を吐いてよろけた その体を素戔嗚尊が支えた 「羅刹天殿、彼は皇帝閻魔殿! 烈が頼んでおいて下さった故、我等のヘルプに応えて出て来て下さったのじゃよ!」と知らせた 皇帝閻魔は漆黒の闇を自由自在に操り 「この蒼い地球(ほし)のピンチ故、創造神も今回は目を瞑って下さるとの確約を烈が受けて来た故、私は出る事が許されたのです! 冥府はあくまでも中立、それを守らねばならぬが、地球(ほし)の危機なれば、そうも言ってはおられぬ故、烈に駆り出されたのじゃよ!」言う そして「猫は猫じゃらしで」と闇でおチョクリ 一つ場所に集めて………燃やした 「私の焔は皇帝炎帝の焔と同じ! なので跡形もなく消し去る事も出来るのです!」と言った 力量の差を見せ付けるカタチとなり、漆黒のジャガーは姿を消した 皇帝閻魔は「羅刹天、貴方は中華圏のバランサーになられたのならば、核のスイッチを、押させない様に気をつけなさい! 幾つかの地球(ほし)が核爆弾のスイッチを押し………死の地球(ほし)となりました 悲しい歴史を………この地球(ほし)で繰り返さないで下さいね!」と言った 羅刹天は気を引き締め 「解っております!我らが願うのは平和な世界! 烈と崑崙山でお茶して過ごす、静かな時間までは奪われたくなどないのです!」と言った 皇帝閻魔は「このまま人の世の病院へ行き治療を受けましょう! 烈が………破滅の御剣を受けてしまった………と天空神が教えてくれました! 破滅は相殺したけど、このまま目か醒めぬならば………手を打たねばならない! なので、サクサク行きますよ!」と言うと呪文を唱えた! すると時空が歪み………クラクラのフラフラになり………やっと地面に足を着けると、飛鳥井記念病院の前だった 皇帝閻魔は病院の中へと堂々と入って行った もう病院も閉まっているのに………入って行くから、素戔嗚尊も慌てた 病院の中へやって来た不審者を出迎えたのは久遠だった 久遠は皇帝閻魔を見て「怪我人か?」と問い掛けた 皇帝閻魔は「私は烈の祖父です!炎帝の父に当たります!我が孫 烈の容態と、怪我人を連れて一石二鳥を狙いました!」と言った 久遠は「烈はICUだ、面会は出来ねぇよ! 烈のトリは、トリまで手が回らねぇから八雲でも呼び寄せ縫っただろうが…………なんせ烈とトキは串刺しにされたらしくて一番重症だ! ICUの通路側からなら見ても問題ない! で、怪我人って言うのは素戔嗚殿、またですか! 弥勒も建御雷神殿も本当に怪我ばかりしやがりますね!で、もう一人の方は?何方なんだ? 保険証はあるのかよ?」と矢継ぎ早に言う 皇帝閻魔は「羅刹天殿と申される烈の御友人なのだよ!保険証は………多分ない! でも烈が何とかするんじゃないかな? なんたってあの子は炎帝の子ですから! 我が孫は息子に似て本当に可愛く賢いのです!」と親バカ祖父バカ全開で言う 久遠は怪我人に鋭い目を向け 「怪我人は俺と来てくれ、手当をして傷の様子を見てやる! 烈のじぃさんは我が子に会いに行くと良い スタッフがお連れする!」と言いスタッフを呼び出した すると鈴木泰知がやって来た 久遠は「この方を飛鳥井康太の個室へ御案内だ!」と言うと怪我人を引き摺り治療室へと向かった 泰知は「では、此方へ!」と言い皇帝閻魔を個室へと御案内した 康太達の個室をノックすると榊原の声で「どうぞ!」と謂れドアを開けた 「面会時間は過ぎてますが、個室なので院長が許可されました!どうぞ!」と言い皇帝閻魔を病室へと入れた そして泰知はドアを閉め、久遠の治療を手助けすべく治療室へと戻った 病室に通された皇帝閻魔の姿を見て……康太と榊原は驚いていた 康太は驚いた顔をして 「親父殿…………どうしたんだよ?」と尋ねた 皇帝閻魔は我が子のベッドに近寄ると 「私は烈に頼まれ、魔界と地獄界のピンチになった時出て皆を助けてくれ!と頼まれたのです! 冥府は中立な立場なのでそれは出来ない!と断ったのですが………やはりあの子は君の子ですね 用意周到に手を回して創造神にまで許可を取ったのです まぁこの蒼い地球(ほし)が滅ぶか?どうか?と言う時に、中立もなにもない!と申され許可を出されたので、魔界へ助っ人に行き、地獄界へ助っ人に行ったのです! で、怪我人を病院へ連れて来たのです! 烈は…………破滅の御剣に刺されたと天空神が思念を送って来ました…… あの子が………刺されるなんて………己を囮にでもせねば………有り得ない……」と嘆き続き孫を案じて言葉にした 康太は父に天界での出来事を話した 闘いつつもチャンスがあれば、我が子の所へ行くつもりでいたから見ていたのだ 「トキが羽根を広げて首を伸ばし呪文を唱えようとしたのに烈は止めていた だからその隙を突かれトキと共に串刺しにされた だが串刺しに刺されつつも烈はテスカトリポカの足元に魔法陣を出して拘束していた 多分………親父殿が考えている通りだ アイツは自身を囮にしてテスカトリポカを拘束するチャンスを狙っていたんだよ! だから串刺しにされても魔法陣を発動した でもその前に己の血を使い各国の要人を保護する結界を張っていたから………許容量以上の力を使ったんだよ こんな時の烈は起きねぇ……… その上破滅の御剣で刺されているからな、今度ばかりは………目を醒ますかどうかも……解らねぇ…… 宗右衛門を欠いたら……1000年続く果てさえ逝けねぇかんな、叩き起こさねぇとならねぇんだよ!」 と自分が見ていた範囲での状況を話した

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