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第69話 年末年始 ❷ 

康太は「有栖は禍の衝覇を過敏に受けちまったか………人と違う感性が其処で出ちまったか……」 と有栖を想い言葉にした 「志津ちゃんは神威を追い出したみたいになり苦しんでいたのよ だから悩まなくて良いのよ、と伝えておいたわ! 久遠先生ぇーも紅ちゃんも心配していたけどね こればかりはどうしようも出来なかったのよ」 「どんな状態だったのよ?」 康太が問うと神威は苦しそうに口を開いた 「有栖がおかしくなったのは、半年前からだった その頃から不安定になり、学校を休ませた そしてXmasの日、有栖はとうとう壊れた様に泣き叫び、来る!来る!禍が来る!と、叫んでいた 禍が来るのは烈がその為に動いているのを知っていたから、納得していたが………有栖の怯えようは凄くて………紅緒の赤ちゃんまで不安定になり泣き止まなくて……迷惑になるから家を出たのじゃよ!」 「その夜はホテルに泊まり、翌日烈に連絡したら菩提寺に行けば良いわ!と言ってくれて、菩提寺の家族向けマンションへ住む事が決まった そして少し落ち着いて来た所だ!」 康太は「なら神威達が出ちまったら久遠の家、家族少なくなったのにあんな大きな家は必要ねぇだろ? 病院の隣のマンションの最上階の部屋、今ぶち抜きで翔達の教育の部屋にしていたけど、この家6階に広い部屋あるし、あの家を取り壊して烈何か建てろよ! あの家やるからよぉ、資金調達の為に取り壊してマンションでも建てろよ!」と謂う 烈は「ならば、正月明けたら施工に連絡してリフォームに入らせるわ! 夫婦二組+子供部屋にしてに作り替え、出来上がったら取り壊すわ、あの家!」と嬉しそうに笑った 「その方が良いだろ!神威もいなくなって広いだけの部屋なんか逆に淋しいだけだからな! 其れより有栖はどうなんだ?」 「一度 神髄師に診て貰おうと想っているから魔界に連れて行こうと思っておる!」 「それが良いかもな、表面的な事しか医者でも解らねぇからな!」 一陽は心配そうな顔をして「その子は菩提寺にいるの?」と問い掛けた 康太は有栖の生い立ちを一陽に話した 死した王子の体を用いて創られた傀儡だと伝えた 一陽は「俺も死した者の体を使い顔を変えたので対して変わらない存在なので、その子のサポートします! あ、でも翔達やレイ達や響、奏を菩提寺に修行に連れて行った時、声を掛けて其処から始めたいと思うけど神威、大丈夫かな?」と声を掛けて聞いた 神威は「あぁ、仲良くしてくれるなら、そりゃ嬉しいに限る!」と少し疲れを見せて謂う 一生は「なら有栖と栗栖を呼べば良いやんか!」と謂う 「来ねぇよ多分、彼奴等は久遠の近くに寄りたくねぇんだよ、迷惑をかけるから! それに菩提寺には沢山の人や子供も多いから、声を掛けてくれて仲良くなっている」 「世椰 理翔 律希 颯 啓介 洋介 康介は今の生活を謳歌してるからね! あの子達は次代の四龍とも仲良しだし、尊 虹とも仲が良いからね、有栖や栗栖と仲良しになるのは造作もないわよ!」 「尊……帰らずにいるんだな」康太は呟いた 「人の世の大学まではいるそうよ! まぁそんな時間も魔界の時間で換算したら、そんな一握りの時間にしかならないわよ!」 「人生経験必要だかんな!」 「痛みを知らない馬鹿は何処までも馬鹿だからね!」 「だな、ならば有栖の心配はねぇのか?」 「暦也も、心配していたわ 引っ越さなきゃいけない事態なんてね 神威に頭を下げて謝罪してお金持って来たみたい そのお金、ボクに放るからボクのお小遣いになったのよね!」 「儂はお金では動かん! ましてや我が子の為に苦しむのは親の特権じゃからな!」 烈はポチポチ携帯で何やらしていた 「リンリンにリフォームの依頼して、取り壊しのスケジュール入れなきゃ! ぜんちゃんちの取り壊し始まるから、そしたら元兵藤の家で、次に久遠先生ぇーんちね!」 と、取り壊しのスケジュールを立てていた 神威は「菩提寺からの方が【R&R】のビルに近いからな助かっておるわ!」と笑って酒を飲む 康太はその姿に魔界の覇者を重ねて苦笑した お雑煮を食べて神野達と君島は飛鳥井の家を後にした 阿賀屋総本家へ新年のご挨拶に行かねばならないからだ 烈達は雑煮を食べて、初詣に神社に行きおみくじを引いた 城之内に言ったら怒り出しそうな、初詣をして家に帰り暖まる為に飲兵衛達は酒を飲んだ 烈は一陽を部屋に連れて行った 自分の部屋に招き入れると鍵を掛けた 烈は炬燵のスイッチを入れると、一陽を座らせた 「ねぇ一陽たん」 「何ですか?」 「一陽たんは結婚したらこの家を出て行かないとダメだとか思ってない?」 「え?それは当たり前じゃないですか! 結婚したら……この家にはいられない………解ってます!」 「一陽たんの部屋、2LDKじゃない、妻と子が出来たからって出て行かなくても大丈夫なのよ! 子供部屋が足らなくなったら、空室ぶち抜いて部屋を足せは良い、別に一陽たんが結婚しようが構わないのよ!」 「え………其れは駄目でしょう………他人がそこ迄甘えたら………」 「あ〜一陽たんにとって飛鳥井の家族は………他人でしかないのね………」 「家族だと受け入れられ凄く嬉しかった 俺は家族は知らない………優しい愛も知らない…… そんな俺が誰かを愛せる筈などないんだって思い知らされた…… そんな俺に飛鳥井の家族は優しく受け入れてくれた……俺は何時だって思うんだ 何時まで此処にいられるのかな?って………」 「一陽たんはもぉ門倉仁志じゃないのよ?」 「え?……」 「貴方は一度死んだじゃない もう貴方の従兄弟に利用されて食い尽くされて過ごす日々は終わったのよ!」 「やはり俺は……武士に利用されてましたか……… 何処かで彼奴の気配を感じていた………やはり彼奴は俺を利用していましたか……」 「まぁ刑務所の中だし、多分死刑になるだろうし、二度と逢う事はないわよ!」 「…………教えて下さい総てを………」 「良いわ、何が聞きたい?何を知りたい?」 「俺は何処で踏み外しましたか?」 「女に甘い言葉で誘惑され骨抜きにされ、飛鳥井建設を辞めて尽くす為に闇の仕事を始めた辺りからよ!」 そんな前から………… 「貴方、女性を食い物にして富士の樹海に捨てられ殺された事件知らない?」 烈はそう謂うとタブレットで記事を出した 一陽はそれに目を通し…………言葉を失った 「大仏武士って……本家の会社の息子の武士だったのか……」 「アイツは自由に出来る女を手に入れ働かせていたのよ!男から金を搾り取らせる為にね ほら、此処の記事見なさいよ、貴方が入れ込んてた女よね?」 門倉が惚れ込んでた女は、刑事や弁護士等を相手に体を使いサービスしていた 「女を見る目を養いなさい! そして守らなきゃいけない女は辞めなさい! 一人で立ってられない女なんて、ロクでもない女でしかないのよ!」 「本当にね……俺は何処まで愚かなんだろ? 心の何処かで………俺が死んだ後、あの人はどうしたんだろ?と思っていた 俺が帰って来なくなり……あの人の生活はどうなったか?不安だった…… 俺を亡くして絶望して………後を追ったらとうしよう………なんて考えていた そんな心配………最初から不要だったんだな………」 一陽は顔を覆って肩を震わせていた 烈は立ち上がると一陽の頭を抱き締めた 「馬鹿ね一陽たんは………でも心の何処かで利用されてるんじゃないかって思っていたんでしょ?」 「そう………俺の稼いだ金が湯水の如く消えていくから、俺はATMなのかも知れないとは思った でもこの人は俺がいなきゃ生きていけないんだから………と思っていたんだ!」 「そんな自分を捨てたんでしょ? ならば歩き出しなさい! ボクはそんな愛を知らない貴方が、あのまま死ぬ事が許せなかった 貴方を生かしたのは、愛を知り、優しさを知り、生きているのは楽しい事だって教えてやりたかったのよ! 門倉仁志は死んだのよ 今は弥勒院一陽、だから自分の人生を送りなさいよ!自分の為に生きなさい!」 「烈…………」 「人は何度でもやり直せるわ だから一陽たんもやり直すのよ 過去は捨てた、其れは貴方が望んだ事でしょ? ならば歩き出さなきゃ! 貴方が飛鳥井で暮らすのが嫌ならば、住める部屋は用意するわよ でもね、もう一陽たんは飛鳥井の家族じゃない! だったらこの家で家族を作り、愛し愛され過ごして欲しいとボクは思うのよ ボクは愛する人を自らの手で手放したわ……… 愛している人を………今のボクじゃ守り切れないと手放したわ! 愛して………愛して……ボクの命だと思っていた人を………手放す事でしか守れなかった ボクを人の世に落とした方は、人の世で愛する者と結ばれる事を願って下さった でもね、ボクは……裏の暗殺部隊までいる飛鳥井の家に入れる事はあの人の命を危険にするかも知れない事だと手放した あの人より愛せる女性なんかいない そう思って四半世紀ボクは独身を貫いた でも今は違うわよ、命を懸けて愛せる人見つけてやるわよ! だから一陽たんも見つけなさいよ! 護らなきゃ駄目な女は依存されてるだけだと気付かなきゃ駄目よ 自分の足で立ってられない人間は、何処まで行っても人に寄生する事しか考えられないからね 芯のある自分を持ってる女にしなさい 尻に敷かれてる方が上手く行くのよ!」 「烈………俺は今度人を愛すなら飛鳥井の女みたいに強い女を探すよ! 今度もはお前を守ってやるからお前も俺を守ってくれ!と謂うよ」 「そうよ、背中は預けた! 背中からグサッと刺されちゃうのは嫌でしょ! ならば背中は守って貰い共に歩んでくれる人を見つけなさい! そしてこの家で家族と共に過ごしなさい! ヨーコと隼人みたいにね!」 此処最近の隼人とヨーコは何か凄い 例えば、隼人が卵焼きにケチャップを欲しがっているのを知ると、その様子を見て何も言わずケチャップ差し出す! 意思疎通が出来てる夫婦って凄いなって思っていたのだ 「あぁ、そうだね 烈の両親みたいな仲の良い夫婦を目指すよ!」 「あの二人は気が遠く成る程の年月を各国に転生して共に過ごして来たのよ 幾年月経とうとも、二人の愛は尽きない 共に苦しみを乗り越え、共に行きている あの二人は格別なのよ!」 と言い笑う 「格別か、そうだよね見てるだけで解るよ でもそんな強い結び付きが………凄く素敵だと思うんだよ、そんな二人の子供が烈で、皆は君たちの傍にいたいと集まった 凄い親子だと俺は思うんだよ!」 「一陽たん、愛を育みなさい! 人を愛しなさい そのままだと貴方は何時までも、愛を知らずにいる子供のままよ だから愛を欲しがるのよ 必死に繋ぎ止めて置くために悪に手を染める 其れは愛じゃない、愛なんかじゃない だから今度は庭の花を育てる様に愛して、育てて行くのよ! 一希を育ててる今ならば解るんじゃない?」 「そうだね、欲しいと欲しがる子に全てを与えても、それは本人の為にすらならない! 今ならば解るよ!」 「弥勒院一陽、貴方は過去を捨て新しい自分になりたいと願った だから新しい人生に向かい歩き出しなさい!」 「あぁ…………そうだね………俺は全く歩けてなかった………」 「この家で家族と暮らしなさい!」 「この家にいて良いんだな俺…………」 「そうよ、家族は増えるわ だから一希が幼稚舎入ったら仕事しなきゃね!」 「あぁ、働くよ俺は!どんな仕事でも働くよ!」 「貴方は役職持ちにならなきゃ駄目なのよ 下っ端から初めて役職持ちになるのよ まぁ今働いて貰ってるからね ローテーションで回ってドンピシャな会社で根付いて貰うわ! その頃は貴方も家族を持っても大丈夫って自分でも想える様になれるからね!」 「うん!何か解き放たれた気分だよ! 俺の人生にもう二度とアイツが関わらない! 其れだけで前向きに生きて行けるよ!」 「やっぱ何処かで彼奴の気配感じていたんだ…」 「あの掌の上で転がされてる感………とか 蜘蛛の糸に巻き付けられて解こうと暴れても搦め捕られ……雁字搦めにされていく感とか…… 彼奴は常に君臨し続ける王様だった」 「裸の王様だったのよ! 蓋を開けて見れば、従順な下僕なんて何処にもいない、皆罪を大仏に擦り付け暴露合戦だからね 親まで彼奴に良い様に騙された、とか言って少しでも罪が軽くなろうとしてるんだからね 酷い一族よ、まぁ其れも今の一陽たんには関係ないわよ! 彼奴は永遠に牢獄からは出られない もし出たとしても細工のしてない世界だと捕まるような愚か者は既に必要のない駒に成り下がったも同然、消されるしかないのよ 中も地獄、外も地獄、そして地獄に堕ちたなら楽な労役なんてさせるもんか! 永遠に続く過酷な労役をさせてやるつもりよ!」 其処まで聞き一陽は腹を括った もう解き放たれて良いんだ もう自由になって良いんだ 一陽の心は軽やかに清々しくなっていた 「結婚したとしても家を出て行かなくても良いんだね………」 「そうよ、でもね一陽たんの為に用意した子達はもう結婚すらする気なくなって来てるのよ そして唯一結婚するかもって子は………他の人の相手になりそうで………男前の女は当分は見つからないかもね………… 西村の子、一陽たんか竜之介どっちか行くか?と思っていたら竜之介がGETしてしまったし 一陽たんは二度もチャンス逃してるからね」 「えー二度も!!!勿体ない! 何で頑張らなかった俺!俺のバカ!」 と残念がった 「まぁ出会いってのは用意してもダメな時もあるのよ!用意されてなくても、恋に落ちる時だってあるのよ!撒菱みたく色々と撒いておいて上げるからさ、出会い見つけなさいね! 今じゃなくても良いのよ、貴方の気持ちに余裕が出来て、過去を乗り越えられたら動き出すと良いわ、それをしないと………何も始まらないのよね」 そうだ、また何も始まってさえいないのだ 何を過去に囚われていたんだろ? あの人にとって俺はATMでしかないって解ってて必死に稼いで………自分が縋り着いていたのだ あの人を助けたい、そんな気持ちが大きかったけど、やはり自分の手を必要として愛して欲しかったからだ 烈は「愛ってね、相手に求めてばかりじゃ駄目なのよ!互いが互いを支え合わなきゃ、何方かが折れちゃうのよ! 柱と同じよ、何方かに重心掛けたら支えきれない柱はきしんで折れちゃうわよ! だから互いが同じ思いで支え合うのよ!」 あぁ…………今なら理解が出来る………烈の言葉がストンッと入って来る 「烈………俺は今を生きている……… もう彼奴の呪縛から解かれた今を生きている…… だから歩き出すよ、結婚しても出て行かなくても良いって言って貰えたから………前向きに生きて行くよ!」 「それでこそボクの一陽たんね! 貴方はボクのモノだから、胸を張り生きて行きなさい!それこそが飛鳥井宗右衛門に仕える者の矜持なのよ!」 「君に誇れる自分になるよ!」 「……なら皆の所に行くわよ!今日は元旦よ 飲んて騒いて1年の始まりとなる日なのよ!」 「はい!料理の準備して来ます!」と言い部屋を出て行った クーが影から出て来て「やはり彼奴の深層意識の中は従兄弟の呪縛が解けてなかったわ!」とボヤいた 「でしょうね、幸せになろうとすると何処からか影を感じる……その繰り返しだったから疑心暗鬼にもなるわよ!」 「スーがその凝り固まった心を断ち斬ってやったから、今後は前向きになるだろ?」 スーは烈の草薙剣で疑心暗鬼で凝り固まった心を一刀両断にしたのだ 何気に話を長引かせたのは、そんな意味合いがあったからだった 「まぁ何にせよ動き出したって事だな!」 「そうね、クーたん!」 炬燵のスイッチを切って部屋の外に出る 客間に行くと疲れ果てた阿賀屋が神威と共に飲みまくっていた 「お疲れね真央たん」 「そーだよ!俺は疲れまくってる!」 「新年のご挨拶は大変ね! 飛鳥井も明後日は新年のご挨拶だから、明後日には帰りなさいよ!」 「ならば精進落としだな! 良い料亭を予約しておいてやるよ! 会費は一人5000円で良いぞ!」 「その料亭って、最近出来た所のでしょ!」 「良く知ってるやんか!」 「だってボク、その料亭の土地を貸してる人だからね!」 「その料亭を使えるようにしたのは毘沙と他1名じゃねぇかよ!」 「そうね、感謝してるわ!」 「感謝してるなら俺を奢りやがれ!」 「奢ってあげるわよ!」 烈はうふふふと笑った その夜も何時もの飲兵衛で楽しく宴会は始まった 鷹司は三が日は山から降りられないから、山から降りたら直ぐに来そうだった! そして迎える1月3日 一族詣で当日 飛鳥井の家族は皆着物を着ていた 一生達や一陽や慎一に至るまで着物で菩提寺に行くと謂う 無論 飛鳥井の名ではない者は関係者席に座る事にはなるが、一族への牽制の為に皆で着物を着ると謂うのだ 烈は慣れたモノでクーに手伝って貰い着付けしていた レイは「ちもの…くるちぃ………」と嫌がったが、次代の真贋の着物に袖を通して着付けされて行く 一生も「んとにな、着物ってスカスカなんだよな?」と謂うから烈が 「なら股引き履く?」なんて謂う 男の意地に掛けて30代で股引きなんて履きたくない! 一生は「………嫌、それはまだ俺には早い…」と断った 清隆と瑛太は笑っていた 清隆は「今は薄手のがあるからね!」と笑って言う 瑛太も「そうそう、股引きじゃなくてもヒートテックで薄手の男性用タイツあるからね!」と笑って言う 一生は「ひょっとして………履いてます?」と問い掛けた 瑛太は笑って「寒さには勝てない!無駄な意地なんて捨てて履いちゃいなさい!」と謂うから……… 慎一や一陽を見た 彼等は着付けの前にヒートテックのタイツを身に着けていた 烈は「昔はおなごは下着は着けず長襦袢の下はノーパンだったけど、今の時代暖かい薄手のはあるからね!」と言い自分の着物の裾を捲った 一生は「暖かそうやんか!」とボヤいた 「ほらほらカズも履きなよ!」とフリフリとタイツを差し出す 一生はそれを受け取り履いた 真贋、宗右衛門 次代の者、総代、次代の総代、そして一族の者は紋付袴、おなごは着物 京香も綺麗に髪を結い、菩提寺管理者の着物を着ていた 管理者の着物は四獣が描かれて豪華な着物だった 其れは一族の者に隠され、封印された地下の庫裡で見つかった 其れを復活させて京香に着せたのだ 烈は「ママ、素敵よ!とても似合ってるわ!」と賛辞の言葉を述べた 瑛太も「京香、とても綺麗だよ!その着物は?初めて見るね?どうしたんだい?」と問い掛けた 京香は胸を張り「飛鳥井家菩提寺管理者の着物に御座います!」と答えた 玲香は「あ!清香義母様があれ程に探していた着物、何処に有ったのじゃ?」と問い掛けた 「菩提寺の墓の移転を進めていたら菩提寺と墓の下に、大規模な地下の牢屋とも庫裡とも付かぬ、書庫が出て来たのよ! その中には封印されし巻物、書物、そして金塊、着物も多数出て来たのよ! その中に菩提寺管理者の着物があったから、メンテして綺麗にして貰ったからママに渡したのよ! ママの後は柚が受け継ぎ、その着物は受け継がれて果てへと逝くのよ!」 康太は「地下に着物まであったのかよ!」と飛鳥井の一族の強欲さに………溜息を漏らした 「まぁ今出て来てくれたから、活用するのよ!」 「だな!とても綺麗だぜ!京香!」 京香は嬉しそうに笑った そして玲香の着物を見て清隆は「新調したのかい?」と尋ねた 「いいえ、此れは烈がくれた着物なのじゃよ! 飛鳥井の女である我がより綺麗に着られる着物じゃとくれたのじゃよ!」 玲香の着物は派手ではないが要所要所に銀糸を使い光の加減で色を変える綺麗な牡丹を魅せていた 「この着物はリメイクして貰った着物なのよ! 元が友禅の高品質な錦糸で出来ているからリメイクされて作り直された着物なのよ!」 「リメイク着物って普通に買うよりど高い値段になる………って言うアレか?」 「緑道が妻 節子の友人に頼みやってくれたのよ 出来上がった2枚を先に貰い、美緒たんとばぁしゃんに渡したのよ! そして今日 飛鳥井のおなごとして着るに相応しい着物だから着て貰ってるのよ!」 「料亭には美緒たん家族も呼び寄せて楽しく新年を祝いましょうね!」 清隆は「有り難う烈!」と礼を口にした 「地主さん価格で一人5000円の会費は取るけどね! まぁ美緒たんちと飛鳥井の家族の分は真央たんが払ってくれるから大丈夫だし、お迎えはバスが来てくれるから楽しみましょうね!」 烈はそう言い携帯をポチポチして皆に一斉ラインをしていた 神野達からは5000円支払うので参加で!と返信が来た 今回の一族詣では耀は蔵持の両親同席で参加する 蔵持と和華子は慎一達同様、関係者席に座り耀は次代の者達と共に壇上で迎える 午前9時ジャストに一族詣では開始される その前に一族は一族席に座り開始を待つ事となる 今年から一族詣での会場は本堂でやる事にした 斯波の家から続く大きな仏像が鎮座して、その周りを豪華な仏具で彩られ城之内は袈裟を着て教を上げていた 教は午前8時から始まり、一族が着席し、開始の時刻まで詠まれる事となる 講堂の方ではなく本堂でやるには意味が在った 9時ジャストに城之内は教を詠み終え、そのまま一族の方を向いた 烈は宗右衛門の声で 「其れでは、本年も一族皆で迎える初詣をしたいと思う! 今年から一族詣では、斯波の世から始まった時の形態で行うと決めた! 何時の間にか【本家】なるモノが出来て、飛鳥井の家は軌道を外れ終焉へと向かって行ってしまった! 今 在る 飛鳥井は新しく盤上に乗せて作った新しい飛鳥井なのじゃ! 飛鳥井の者達とで逝くべき未来だと言おう 斯波の世から続いた飛鳥井は終わった! が、飛鳥井は終わりはせぬ! 人が幾ら入れ替わろうとも、飛鳥井の果てへと続く者達とで逝けばよいだけの事じゃ! 儂が描いた飛鳥井の果てに【本家】は要らぬ! 我らの死後【本家】なる者が出た時点で、飛鳥井は終焉を迎える! そして我が託した者達とで新しい一族を率いて、千年続く果てへと逝けばよい! 我等はそうして繋がって、続いて来たのじゃからな!」 マイクを持たぬと言うのに、宗右衛門の声は襖に反響して揺れる程に迫力が在った そして宗右衛門は続ける 「我と真贋、伴侶の転生は来世はない! が、我等の教えと血肉を交わした烈の兄達が、交互に転生を果たし千年続く果てへと繋げて行く! 我等はこうして繋がり果てへと繋げて進んで逝くのじゃ! そして1000年続く果てを確実なモノにしてくれる存在を紹介致そう!」 宗右衛門は響と奏を一族の前に紹介した 「彼等は神祖 龍神、その力が絶大過ぎて2つに体を分けて存在されている! 彼等は竜胆と恵方の役割を継ぐ者なり!」 姿は3歳近い子供なのに…………一族の目の前に立つ子は…………明らかに違う 響と奏はニコッと笑って立っていた 「そして今世は是正を司る方も一族の礎に入られた!この幼児は姿は子供だが、その力は………神祖には劣らぬ力を持たれる! 飛鳥井一希、彼は飛鳥井の家だけには留まらず、摂家五家 そしてあらゆる名のある家の是正も司る正すが死命の方で在る!」 宗右衛門が紹介すると一希は皆の頭に直接 『飛鳥井一希だ!我は不正は許しはせぬ! 次代の目から逃れられても、我の目からは逃れは出来ぬ!努々其れをお忘れなき様に!』と嗤いながら謂うのだ 一族の者は直接頭に語り掛けられ………その末恐ろしい力に青褪めた が、烈は気にする事なく 「年が明けたら収支決算書の作成をお願いします!売り上げが落ちてる家業の方々には、今年からは【教育】を施す事に致します! そして其れでも見込みが無い時は、一族から脱退をお勧めを致します! 乱世の世を生きて逝かねばならぬ今、甘い事を言ってはいられないのです! 甘い事を言っていたら本当に飛鳥井の終焉を早める事になる! 飛鳥井家は絶賛暴風圏に在ると思われよ! 気を抜いた家から離脱する事となる!」 と告げた 竜胆は「俺は次代の竜胆を叩き込んだら、転生せずに終える事は決まっている! だから甘い事を言ってたら明日へと続かねぇのは当たり前じゃねぇかよ! 倭の国の各地で台風による被害や天災による被害が出ている今、生きている事の方が奇跡みてぇな今の現状を思い知れ! 俺等は次代の任を背負い、この身に死命を刻み転生する転生者である以上、終焉に向かわせる為にいるんじゃねぇんだよ!生き残る為に骨身を削れ! 血反吐を吐いたとて生き残れ! 我等は誇り高き飛鳥井の一族だからな!」と発破をかけた レイはニブルヘイムの声で 「私は現真贋と違い果ては視えません! そして宗右衛門の様に気長に何かやるのは大嫌いなので、闇に染まっていれば即座にぶった斬ります!軌道修正?そんなのは是正を司る者もいるんだし、そっちに頼みなよ! 私は私なりの遣り方で闇に染まる事のない一族を導いで逝く所存!」と告げた 椋は東矢の声で 「そう、僕等は次代を継ぐけれど、僕等は僕等なりの遣り方でしかオリジナルと同じと言う訳にはいかない! そんな事は誰もが解っている事、オリジナルを求められられても我等は別人だとしか言えない! 僕は飛鳥井宗右衛門を継ぐ者! その死命の為に生きて行く所存!」と告げた 耀はオリジナルの声で 「私は飛鳥井源右衛門を継ぐ者! 幾年月経とうとも、人は生き様が美しいと想える、そんな人生を送られる事を願う! 其れこそが、私が人の世に転生して来た死命であり、願いでも在るのですから!」と言葉にした とても重い言葉だった 響と奏は一つの姿になり龍神の姿になった 透明のキラキラ光る姿に、物凄い力を感じる その法力に…………一族の者は言葉もなく透明な御姿を見ていた……… そして2つに分かれて響と奏の姿になった 宗右衛門は「飛鳥井は1000年続く果てへと新しく歴史を刻み始めた!」と宣言した 一族の者は深々と頭を下げた 烈は「真贋御言葉を!」と謂うと康太は 「オレの言いてぇ事は皆が言っちまったかんな! ねぇよ! オレは飛鳥井は宗右衛門の敷く1000年続く果てへと繋がって逝けば良いと思う! その為ならばオレは飛鳥井家真贋として矢面に立ち闘って逝く所存だ! 飛鳥井は新しく1000年続く果てへと刻み始めた 本当に宗右衛門の努力有っての未来だとオレは想う!だから更に気張って逝こうぜ!」 と言い唇の端を吊り上げて笑った 「其れでは最後に、飛鳥井の礎に入った子達を紹介します! 右から飛鳥井世梛、理翔、律希、颯、啓介、洋介、康介! 彼等は次代の者の為に用意した飛鳥井宗右衛門が駒じゃ!以後お見知りおきを!」と、紹介した 7人は深々と頭を下げ、そして姿勢を正すと前を見据えた 康太は「1000年続く果てへと、飛鳥井宗右衛門は敷かれて逝く! 我等は1000年続く果てへと行かねぇとならねぇ!其れを努々忘れる事なく精進して行ってくれ!以上だ!解散!」 烈はそんな母の力強い愛を感じて笑い、そして締めの言葉を言う 「飛鳥井 一族詣では此れにて終了となります! 其れでは一族の皆様 収支決算書でお逢いしましょう!」と述べ一族詣では幕を閉じた 一族の者を見送り、皆が帰ったのを見届けると控え室へと向かった 烈は既に着物を脱ぎながら歩いていた 「痒いのよね締めた所!」 その横で康太も「だよな!んとにな着物なんて着たくねぇよ!」とボヤき脱ぎ始めていた 榊原は一生に「一生は烈を、僕は康太を連れて走ります!」と言い小脇に抱えて走った 康太は「オレを持つんじゃねぇ!」と怒る 烈も「ボク荷物じゃないのよ!」とボヤく 英生はレイを抱えて走っていた 「あ〜着物って走りづらい!」とボヤく 「かゆい!かゆかゆよ」とレイは掻いていた 「もぉカユカユしちゃ駄目だってレイ!」と謂う 「そういう えいしぇいもかゆかゆよ!」と英生も掻いていたと訴える 控室に走り、着物を脱ぐと、皆が掻いていた 慎一は痒み止めの薬を一人ずつ塗って歩いた 一族詣でが終わると阿賀屋が 「終わったみてぇだな!」と顔を出した が、その場は戦場だった 一刻も早く着物を脱ぎたい家族は着物を脱ぎまくり、一旦は畳紙に包み、家に帰ったら干しておくつもりだった その作業をしている最中だった 烈は着物を脱ぎ、慎一に痒み止めを塗って貰い少し落ち着くとジャージに着替えた 「ふぅ~、やっと落ち着いたわ!」 それを見て阿賀屋は苦笑して 「んとにお前は昔からは着物が嫌いなのじゃな! 直ぐに脱いで作務衣着て、冬はその上に半纏だもんな!今は半纏は猫達が着てたりしてな!」とボヤく 「痒いのよ帯締めしてると、この痒さは何時の時代も変わらないのね!」 「支度が出来たら逝くぞ! 神野達はどうするのよ?」 「神威と共に保養施設で茶でも飲んてるんじゃない?」 「そう言えば神威も着物なのか?」 「…………あの人……自由人じゃない 締め付けられるのは一切受け付けないわよ! しかも菩提寺のマンションに移り住んだものだから、保養施設3階で鍋やりまくりで弥勒や城之内達を呼んで、菩提寺に住んでる子達と共に鍋やってるわよ! 菩提寺の家族向けマンションの前の敷地に、流にーが主体で家庭菜園やってるからね 新鮮な野菜とかネギとか作ってるわよ! それを使い鍋をやってるのよ!」 「彼奴らしいやんか!」 阿賀屋は笑い「さぁ行くぞ!」と言った 慎一は車で来ていたから一生や一陽、英生と共に着物を車に運んでいた 玲香や京香の着物も運び込み慎一は 「俺は着物を飛鳥井の家の客間に置いてから料亭へ行きます!」と謂う 阿賀屋は「ならば着物を置いてくれはよい! バスで記念病院の前で待っててやるから美緒達を連れて来てくれると助かるわ!」と謂う 「ならば着物を置いたら、記念病院の方へ行きます!」 「主も飲め!車で行ったら飲めねぇやんか!」 慎一は苦笑して駐車場へと向かい車に乗り込むと飛鳥井の家へと車を走らせた 保養施設にいる神威に声を掛けると神野達も一緒にいた 烈は「行くわよ!」と声を掛けた すると神威は立ち上がり「やっとか、待ちくたびれたわい!」とボヤいた 「貴方は着物着ないから言えるのよ!」   「あ〜儂は締め付けられるのは嫌なんじゃ! 締め付けてええのは妻の愛だけじゃ!」 「その妻いないのに………」 「儂は妻だけを愛しておるのじゃ!」 「再婚したら?愛する人を見つけたら?」 「そんな事を謂うなら主も新しいおなごを見つけろや!そして孫をみせやがれ!」 「愛する人見つけるわよ! でもね………ボクの周り薙刀持って男薙ぎ倒すおなごばかりじゃない! 三歩下がって三つ指ついてお出迎え………なんてされないじゃないのよ!」 「んなの無理じゃろ!炎帝に聞けば主の惚れたおなごは立派な男前じゃったと聞くし……… 儂の妻に似ておったと聞けば、それは無理な話じゃろ!」 「あの人は…………誰よりも男前だったわよ……… 悔いなんてねぇよ!この人生に一片の悔いもねぇ!お前を愛した事こそ誇りだ!と言ってくれたからね…………あんなに愛した人はもう現れないわよ…………」 「その台詞……儂の妻も口にしておったぞ! お前を愛した事に悔いはない! お前を愛した自分こそが誇りだ!とな!」 「…………其処まで似なくても良いのよ!」 「じゃが主の愛した人の事が聞けて儂は嬉しいぞ!」 「ボクが今、心の底から命を懸けて護りたい人はレイたんだけなのよね……… レイたんごと愛してくれる人見つけるわよ!」 烈はそう言い笑った ニブルヘイム、彼の為ならば、この命賭けても惜しくはないのだ 神威は康太からニブルヘイムと聖神の繋がりを聞いた事があった 壮絶な虐めを受け素戔鳴の一族を呪い…………処刑された そんな彼にとってニブルヘイムだけが救いだった 神威は立ち上がると「さぁ行くぞ!」と言い歩き出した 神野達もその後に着いて行く 皆でバスに乗り込むと、葛西茂樹が立ち上がり 「皆様 新しい料亭の方へご案内致します!」と告げた 康太は「え?料亭変わったのかよ?」と知らなかったな、と呟いた 葛西は笑顔で「自宅に近い場所にある料亭と旅館が一緒になった場所を烈から借りてます!」と答えた 烈は「固定資産税大変だからね、シゲちゃんに貸して固定資産税支払って貰ってるのよ!」と謂う 「固定資産税支払っても賃料に比べたら安いですよ!」と笑顔で答える 阿賀屋は「静かな場所だし、来年はグリーン博覧会なるモノが開催されるらしいけど、離れているし完全予約制だし、あの土地は違法駐車の客なんかされない………静かさは維持されるからご贔屓にしてやってくれ!」と謂う 康太は「それは楽しめそうだな!前の料亭と旅館はどうしたのよ?」と疑問を口にした 「料亭は兄が、旅館は姉が引き継ぎました! でも我等兄弟は常に連絡を取り合い、調整を取り助け合ってやっています!」 「その地がお前の定住の地となるか……… 何や曰く付きみてぇだけど大丈夫なのかよ?」 「大丈夫よ、緑道が土地神を復活させてくれて、契約したから土地の繁栄は約束されたわ その変わり土地神を大切に、と話してあるわ! そして曰く付きは………雑木林の奥深くに眠り永遠の時を刻むわ! 其れこそが………本人の願いだからね………」 「そうか、なら心配ねぇな!」 飛鳥井記念病院の前に停まると、慎一が兵藤と両親と婚約者を連れて立っていた 慎一は「お待たせしました!」と言い兵藤一家と共にバスに乗り込んだ 美緒は玲香の隣に座り、昭一郎は清隆の隣に座った 兵藤と紗理奈は空いてる席に座った そして楽しげに話をしていると、バスは静かな雑木林の間を縫って料亭へと到着した とても静かな場所だった まるで時が止まったかの様に………静かな時が流れていた バスを降りて、皆で葛西の新しい料亭へと向かうと女将と若女将が客の出迎えに出ていた 「ようこそお越し下さいました!」 「今日は貸し切りみたいなモノなので楽しんで行って下さい!」 お客様を料亭の中へと案内した 烈達は大広間に案内された 席は適当で座ると料理が運ばれて来た 葛西は「今日は兄さんも姉さんもお店が休みなので手伝いに来てくれました! でも市場が休みなので、其処までのお料理はご用意出来ないかも知れませんが、楽しんで行って下さったら嬉しいです!」とご挨拶をした お料理が運ばれて酒が注がれる 皆で乾杯して宴会は始まった 新年に相応しいとても楽しい宴会だった ある程度出来上がると、烈は離れへと料理を移動させた 「今夜は此処でお泊りしましょうね! 此れから帰って行くのも面倒だからね!」 とお酒を運ばせ料理を運ばせた 後は勝手にやるから!と、料亭の方はお店を締めた 葛西の姉と兄は有り合わせの野菜で鍋を作り差し入れた 葛西と母も里芋の煮っころがしを作り差し入れた 葛西は母を気遣い「兄さんと姉さんとすみれとで正月を楽しんで来てよ!」と謂うと母親は笑顔で仕事を上がって行った 烈は葛西にコップを持たせると、神威がビールを注いた 「どう?この料亭と旅館は?」 「結構先までの予約が埋まってます! 其れでも部屋は空いてると勿体無いから、個室を使われるお客様に使って貰ったりして回しているんだよ! やはり静かなこの料亭を気に入って下さり来て下さるので、嬉しい悲鳴が上がってます!」 康太は「子育てはどうよ?」と問い掛けた 「やっと纏まって眠れる様になり、店を手伝ってくれる様になりました! 咲月もこの料亭の土地が気に入ったのか?すみれが連れて来てます!」 「多分ね、この旅館は妖精が飛んでたりするから、子供には視えるんしゃないかな?」 レイは「そーね、ちれーにとんでりゅね!」と謂う 康太も「だな、飛んでるよな?」と笑って言う 「この家には妖精がいるのよね まぁ他のもいたけど、今はいないから大丈夫なのよ!」 「そう言えば禍見届けて帰る前に師匠に挨拶して帰ろうってなって、師匠んとこに行ったんだよ そしたら師匠、猫又抱っこして掘り炬燵に入ってたぜ!あの猫、ひょっとして?」 「この屋敷にいたのよ 一端匁にぬりかべ君に牛くんに小豆洗いもいたのよ、一番笑ったのは高下駄有ったから、あら?緑道いるのかしら?と思ったのよ! そしたら鴉天狗だったわ!」 「そう言えば鴉天狗は高下駄履くかんな!」 「それとね、妖怪達が住まわせて貰ってる恩を返す様に、良く燃える枯れ木や石炭を差し入れしてくれるって言ってたからね 掘り炬燵作ってみたのよ! 案外暖かくてね、孔明しゃんは働き者じゃなくなったそうよ!」 康太は笑い「それ誰が言ってるのよ?」と聞いた 「桜の里の子達よ、最近の孔明しゃんは皆が働き者なのを良い事に猫又だっこして掘り炬燵で過ごす事が多いんですよ!って嬉しそうに言ってたわ!あの人は、皆の姿見ていたいって窓を開けっ放しにしてるから寒いのよ! 何時も手が冷たいから猫又で暖を取らせようとしたのよ!」 「ぬりかべ、廊下にいやがったからオレぶつかったぜ!」 「もぉ、廊下には立つなど言っておいたのに!」 「桜の里、広くしたんだな………めちゃくそ敷地面積広げていて驚いた」 「だって皆が帰りたい桜の里だからね! 孔明しゃんがいる場所だから、皆で守り皆で広げ皆で住みやすくして逝くのよ! 春ちゃんち、もきぃーちゃんちも子沢山だし、家も庭も増築したしね! 今度有栖を桜の里へ連れて行き、二人に合わせるつもりなのよ! 孔明しゃんも有栖の事話したら胸痛めてくれたのよ………そして優しく迎えて話をしてくれると言ってくれたのよ!」 「其れは良いやんか! 気の持ちようか大きいかんな………」 「体なんてタダの魂の器だって気付かないから、気にしちゃうのよ!」 「でもおめぇ、その容器が小さいって家出したやんか!」 康太が笑って言うと、家族は飲んでたお酒を吹き出した 康太!何て事言ってるのよ!!と笑いを堪え止めようとする それよりも先に兄達が烈の傍へ寄り添い 「もう寝る時間だよ!レイも寝ようね!」と宴会をしている一階を抜け出て二階へ上がって行った その見事な連携に康太は 「んとに我が子は弟に甘い!」とボヤいた 榊原はそんな妻を宥めた 聡一郎は響や奏、一希も連れて和希達と共に2階へと向かって行った お子様が総て居なくなるのを確認して英生は 「伊織、3階の一番奥の部屋使って下さい!皆は3階へは行かないので、盛大に愛を育んでくれて構わないそうです!」と伝えた 英生には烈が寝に行ったら伝えてくれと、予め伝えておいたのだ 榊原は「3階のどっち奥の部屋ですか?」と聞く 「階段上がって右の突き当たりです!」 「解りました!」 そう言い榊原は立ち上がると「皆様 お休みなさい!」と言い妻を引き摺り部屋を出て行った 「おい!伊織!オレはまだ食ってる!」 「僕を食べれば満腹になれます!」 なんて会話が聞こえて来たから、玲香は 「新婚は抜けぬな!」と笑った 神野は「其れも康太と伊織だからな、その方が安心するしな!」と謂う 悠太は力哉にストールを掛けてやると 「寒くない?」と問い掛けた 力哉は「大丈夫だよ!」と笑顔で返した 力哉は退院して飛鳥井の家で暮らしていた 久し振りの家族で迎えるお正月だから、嬉しくて仕方がなかった 葛西は悠太と仲良く飲んでいた 友なのだ、苦楽を共にした友なのだ 神野も瑛太の横で静かに飲んでいた 神威は「あ〜鍋が足りぬ!シゲ、烈の好きな豆腐買い込んてるんだろ?なら豆腐を寄越せ!」と謂う 葛西は仕方なく立ち上がると冷蔵庫の扉を開いて 「好きなの使って下さい! 此れは阿賀屋様と鷹司様と紫園様が常に詰め込んでる材料ですから!」 清隆も冷蔵庫を覗き込み 「お!烈の好きな豆腐が詰まってますね!」と笑った 神威は料理ハサミを手にすると、豆腐は手で千切り放り込み、肉はハサミで刻んで入れた 野菜もジョキジョキ切ってぶち込む これぞ漢の料理だった いい匂いが立ち上がり、皆は瞳を輝かせた 阿賀屋は「何故にこの場に竜馬いねぇのよ?」と問い掛けた 一生は「三が日は三木の家で過ごせ!と烈が言ってたからな!」とボヤいた 一陽は「なら敦美も帰ってるのか………」と呟いた 「あれ?一陽、敦美知ってるのか?」と問い掛けると兵藤が「ぶっ飛ばされたからだろ!」と笑って言う 「あ〜敦美は赤帯だからな! 烈ちゃんを守ってやるからね!と鍛錬を重ね赤帯取ったからな!」 「烈命な人だったから……やるわな!」と納得した 「あれは女じゃない………」と一陽はボヤいた 聡一郎は「烈の周りの女は皆 男前しかいないじゃない! 本当に似た者親子だよね、血は繋がってないのにさ、好かれる相手まで同じだなんてね!」とボヤくと隼人も瞳を輝かせた 「本当に似てるのだ、時々康太といるみたいで、烈が頼もしくて仕方ないのだ!」と謂う 一生も「あぁお節介な所も同じだし、男前な女性に好かれるよな! 康太も男前のおなごに好かれてるし、此処まで似なくても良いのにな!」と笑って言う 慎一が「敦美は心を何処かに置き忘れてしまった様な子でした 『あの子はね竜ゅー馬の妹よ!』と紹介された時は嘘、全然似てないって思った程だった 頭は良いらしけど、性格もキツく回りと馴染めない敦美は仕事を辞めた所だったのを烈が拾い育てたのですよ! 此処最近の敦美は見違える程に感情を露わにして笑ってたりする まぁ強いけど、可愛い子ですよ!」と補足を口にする 聡一郎は「烈の駒なんだよね!僕は烈の女性の扱いには本当に感心するよ! でもさ、烈に惚れてる女性は多い………成長したら怖い気もするんだよ!」と康太と違う一面を想い口にする 康太は唯一人しか愛せないから、視界にも入れない徹底ぶりだった 女性も男性も一線引き、絶対に領域にも視界にも入れはしない が、烈はその懐の広さに男女関係なく近寄り傍にいたいと願う………… 阿賀屋は「宗右衛門は結婚して!とナイフを向けられ刺されても、惚れたおなごは唯一人! それ以外は要らぬ!と宣った漢だからな! 成長したとしても宗右衛門は宗右衛門の道しか逝けねぇから、目も向けねぇだろ? 人当たりは誰よりも良い……………が、心底許した存在じゃねぇと傍にさえいさせねぇよ!」と語った 紫園も「そうだね、宗右衛門は気難しい漢だもんね………僕なんて視界にすら入れて貰えなかったもんね………知り合い認定されても、其処までなんだよね………杯を交わした時は死んでもいい程に嬉しかったな!」と涙を浮かべ謂うから、聡一郎は言葉もなかった 神威は「昔は素直な子じゃった!それなのに………何時の間にか捻くれてしまった!」と嘆きながら酒を飲む 毘沙門天は「大歳神、飲み過ぎ……また昔の倅の話してるぜ!」と止めた 「だって昔は素直で真面目で…………努力家な奴じゃった………儂はそんな努力家な所は親父にソックリだと誇りに思っておった! 儂はずっと魔界へなんか行かせるべきじゃなかったと悔いておる…………」 泣きながら酒を飲むもんだから、皆はどうしよう!とハラハラしていた 阿賀屋は「コイツは遥か昔からこんな感じたから捨てて置いて構わないよ! 遥か昔から倅の事だけを案じて生きて来た漢なんだよ………その子供が中々逢いにも来やがらないから影からずっと見て来た親父なんだよ!」と神威を慰め説明した 兵藤はそんな酔っ払いの巣窟に紗理奈をいさせて良いものか?と悩んでいた が、当の本人は平気な顔して美緒と話して玲香達とお喋りしていた 本当に彼女は変わった 日々変化して変わって逝く 聡一郎と隼人は兵藤の肩を優しく抱き 「「さぁ此処からが本番だから!!」」 とグラスにビールを注いだ 兵藤は「お前の夫は何処よ?」と問い掛けた 何時の間にかいなくなっていた 「あ〜アイツは烈が寝に行ったから一緒に寝てるんじゃないかな? 明日の朝、何処かしら蹴られて痛いって謂うのにさ、雑魚寝してるんだから仕方ないじゃん!」 「俺も蹴られたぞ……朝起きたらヒリヒリ痛いのな!子供のパンチだけど結構食らうのな!」 「暑いと抜け出る子だもん仕方ないよ! 因みに僕もたまに皆で雑魚寝するよ 康太も加わったら地獄絵図だったな………」 聡一郎がボヤくと一生が 「ったくな、あの日は皆が被害絶大だったもんな…………康太と烈は危険だよな!」と笑って言う 兵藤は「え?皆で雑魚寝してるのかよ?」と意外だと呟いた 「だって新居は6階に自由自在になる部屋あるからね、ならばって寝てみたんだよ! 【R&R】のメンバー達は最近は6階占拠してるからさ、ならばってね!」 「そう言えばメンバーもいねぇんだな!」 「オブライエン家の次期家長になる人いるじゃない、新年は向こうは盛大に祝うからいないとならないのよ!メンバーは起業家で自分の会社や仕事持ってるから新年はそっちに顔出さなきゃなのよ そして新年早々にトンプソンはコレクション開くそうよ!って、もうやってるのかな? 帰ってテレビ見てればニュースになってるんじゃない?」 【R&R】のメンバー達は錚々たる経歴の持ち主なのだ! 飛鳥井の家でゴロゴロしていて良い存在ではないのだ………… 飛鳥井の家にいる時はそんな感じしないのに……… でも皆が帰国して来て迎える宴会は楽しいだろうな 何時ものメンバー達で飲める日を想う 紫園は「私は烈の為に3月まで全国公演を始めるので、留守にする日が増えます………」と飛鳥井にいられない事を嘆く 聡一郎は「宗右衛門が資産の整理をしてる、って四宮の会社にまで届く程の噂だものね」と謂う 阿賀屋は「あぁ、主は四宮の経営者だったな……」と思い出した様に謂う 「そうだよ、社名をローマ字の「Shinomiya」に変更して路線を露わにして経営を建て直した四宮ですよ!」 Shinomiyaは輸入を主軸にした経営を、もっと世間に広める経営戦略を取り輸入家具や輸入食器等、輸入小物や玩具、等など木材の輸入も継続してるが、其れだけで食い繋げる時代は終わった 烈に戦略のアドバイスを貰い、徹底的に叩き込まれた永遠が指揮を取り運営している会社となった 阿賀屋は「良い品揃えてるんだし、烈に大枚はたいてCMでも依頼したらどうよ?」と笑って言う 聡一郎は「笑顔で、其れは良いですね!でも蒼佑、少しは安くしてやれ!と烈に言っといて下さいね!」と難癖に近い事を笑顔で謂う やはり飛鳥井康太の悪友だけあって、綺麗な顔をして優しげな雰囲気でも出来る男なのだ、と感じて笑う 「宗右衛門は素直な子じゃねぇからな………」 阿賀屋がそう謂うと神威が 「昔は素直なええ子じゃったのに…………」と嘆く この酔っ払い達が聡一郎は愛しくて、思いっきり嘆く仲間に入り酒を飲んだ 新しい年が明け、楽しい日々を刻み明日を目指す そんな日々の始まりだった 夢と希望を抱き、人は歩き出すのだ 明日という未知数の未来に向かって

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