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第76話 艱難辛苦 ❷
竜馬も英生も翔達も温泉に浸かり暖まってると神威が響と奏を連れて風呂場へとやって来た
「ほらチビども、体を流したら湯に浸かれ!」と湯船に放り込んだ
神威も温泉に浸かり
「あ~酒が欲しいな!」と呟いた
お盆を浮かべて酒を飲みたい、そうしみじみ思っていた
一生がやって来て「ほれほれ洗わねぇと駄目だぜ!」と烈を湯船から出して洗ってやる
「カズありがとう!」
「良いって事よ!」
翔達も洗ってやると、烈は一生の背中を洗ってやった
竜馬もゴシゴシ洗うと一生は嬉しそうに笑っていた
泡を流して湯船に再び浸かると瑛太達がやって来た
瑛太と清隆と清四郎が体を流し湯船に入る
烈は「えーちゃん、じぃさん達ゆっくり浸かるのよ!」と言い風呂場を後にした
服を着てキッチンに行くと維弦が茶を飲んでいた
烈は維弦に
「お風呂は?」と問い掛けた
「満員なので後で入るよ!」
「気にせずに入りなさいよ!
メンバーもそろそろ来るし、芋洗う様にゴロゴロ入って来なさいよ!」
「待ってても、この先増えるなら同じだね
なら暖まって来るよ!」と部屋に行き着替えを持って風呂場へ行った
烈は竜馬を待ってランドリーに行き洗濯をする
竜馬は自分の洗濯物も入れて、乾燥までセットしてお金を投入
その間に夕飯のお手伝いをする
キッチンに行くと一希が榊原に薬を塗って貰っていた
「どうしたの?」と問い掛けると榊原は
「雪を触ったから霜焼けですかね?
痒くて掻きむしって血が出て来てるんですよ!」
と説明した
「いっくん、横浜に還ったら久遠先生ぇーに診て貰わなきゃ!」と心配する
榊原に「掻いたら駄目ですよ!」と釘を刺され何度も頷いていた
響と奏も手を真っ赤にしてカユカユしていた
榊原はこっちにも薬を塗り、掻くなと注意していた
瑛太はそれを見て
「お父さんは忙しいな………」と呟いていた
榊原はどの子も同じ様に父として接していた
其れこそ北斗や和希や和真や北斗にさえも、同じ様に悪い事をすれば怒り、愛を伝えていた
康太と始めて愛し合った翌日に、飛鳥井の家へ強引にやって来て家族に会い、独占欲を剥き出しにして挨拶した頃が懐かしい
榊原は変わった
そして瑛太も変わったと自覚して笑顔で家族を見ていた
家族でいる事の大切さ、そして限りない愛を………瑛太は感じていた
清隆は響と奏を膝の上に乗せてテレビを見ていた
その横で玲香が一希に離乳食を食べさせていた
『儂はもっと歯応えのあるのが食いたいわい!』とボヤく幼児に苦笑しつつ離乳食を食べさせる
「主は今離乳食始まったばかりの幼児であるからな!歯応えのあるのは食えぬのじゃよ!」
『あ!歯か!クソまだ歯が生えぬか!』
文句は言うが好き嫌いなくモグモグ食べる
『ばぁばの作る離乳食は美味いぞ!』
「そうかえ!それは嬉しいわいな!」
そんな他愛もない話を、家族は見守り聞いていた
そして夕飯の時間になると皆でお手伝いして食べる
まぁ飲兵衛達は夕飯の時間から宴会に突入して酒盛りとなるのだが………
四方も君島もすっかり飛鳥井に慣れて手伝いながら宴会を楽しんでいた
花山院はもぉ飛鳥井の子同然で寛いでいた
笙は「どうして楓雅君いるの!」と宿泊施設で顔を合わせた時に聞いた程だった
烈は「ボクの友達なのよ!そして今度ノーギャラで出てくれる予定の花山院フーちゃんです!」と紹介
笙は「僕だって何時でもノーギャラで良いからね!」とアピールしていた
烈は笑っていただけだった
騒がしい奴等は飲んで食べて騒いでスキーして
休暇を満喫していた
三連休と謂う事でそこそこスキー場は混んでいた
が、滑れない程ではなかった
滑れる奴等はリフトで何度も上がり上級者コースを楽しんでいた
ちっこいのはソリに乗せて貰い大喜びだった
兄達も手伝い
家族はスキー焼けしてかなり黒くなっていた
滑り倒して遊び尽くして楽しく過ごした三連休となった
楽しい時間と謂うのは過ぎるのは早く、あっという間に過ぎて、帰宅する日になる
康太達は昼過ぎには横浜へ向けてバスに乗り込んだ
交通機関を使って帰るつもりの聡一郎達もバスに積め込み、一希を抱っこして京香もバスに乗った
神威は横浜に向けてバスを走らせた
烈はケントに車で来させていたから、ケントの運転する車に乗り込みレイと凛と椋を乗せて横浜へと向かった
リック・村上とマックが翔達を乗せて走る
兄達は響と奏の世話を焼きつつ、バスの中で歌を歌ったりして過ごした
四方の事務所のバスに君島や神野達や真矢と清四郎も乗り込んだ
そして皆目的地は飛鳥井の家を目指して向かって行った
阿賀屋は鷹司を乗せて屋敷の者の運転で横浜へと帰って行く
道中、阿賀屋は烈とZoomをしていた
『お前の両親、総裁選の護衛やるんだろ?
相当気を付けさせねぇと国会の中も安全じゃねぇって事を忘れるな!と伝えといてくれ!』
「まぁ母ぁーさんなら百も承知だと思うわ!
でも伝えておくわね!」
後は他愛もない話をして横浜に到着して、飛鳥井の家へと帰って行った
飛鳥井の家に帰ると、最後の悪足掻きとばかりに宴会に突入して騒ぎまくり楽しい時間は終わった
三連休は終わって日常生活に戻って行った
3月に入り卒業シーズンに突入した
北斗は卒業を迎える前に、推薦で吉田学園に入学を決めていた
入学説明会の後、指定の店に行き制服の採寸、科による指定の文具の購入等など入学に向けてやる事は沢山あった
北斗は緑川一生の長男として父子家庭として家庭内調査票には記入した
あれから北斗は菩提寺で鍛錬を積み重ね、力を付けて来ると顔つきは変わって来ていた
少女の様な儚さは鳴りを潜め、身長もグングン伸びて、今時の男子高校生の見た目になっていた
まだまだ成長期と謂う事で入学時の制服と、康太に視て貰った果ての体躯のサイズで制服を作った
採寸は竜馬とデービッドが烈と共に付き添い、ついでに隼人の知り合いの美容室に行き髪も切って貰い入学に備えていた
そんな北斗へ向けた烈からのエールを贈る歌をYouTubeで配信するサプライズがあり、北斗は烈の思いを受け止め新たな生活へと向けて歩き始めた
その後、兄達にレンタルの制服を着て貰い、【R&R】は卒業を迎える総ての人へ向けてプロモーションを作りYouTubeで流した
その反響は烈の動画と合わせて物凄い反響となった
卒業式で歌いたいと言う申し入れもあり、大手音楽配信代行サービスの会社からは配信楽曲として出しませんか?と謂う申し入れもあった
2週間限定の動画として消してしまうのは勿体ない、とのファンの言葉も沢山ありメンバーで話し合い配信楽曲として配信する事も決まった
【R&R】として卒業のエールと共に入学の目出度い歌もワンセットでYouTubeで配信したら、その曲も配信で!と言われ配信される事になった
そんな喧騒とは裏腹に飛鳥井の家族は穏やかに生活していた
が、現実は総裁選へ向けて火蓋が切って落とされていた
総裁選で頭角を現したのは、元総理を父に持つ小柳榮太郎と叩き上げの政治家 堂嶋正義
ラストは二人の一騎打ちとなるだろう!とまで話題に持ち上がり、総裁選は大盛り上がりとなった
政治に興味のない世代までもが、総理になって欲しいNo.1の堂嶋正義を応援していた
康太と榊原は総裁選当日 堂嶋正義の護衛を担当する事となっていた
康太と榊原は朝早くからお迎えの車に乗り込み国会議事堂へと向かった
烈は両親を見送り、竜馬に
「ボクが国会議事堂に入り込むのは不可能かしら?警戒態勢凄いわよね?………そりゃ……」と呟いた
「親父に聞いてみるっすか?」
「勝也に聞いてみるわ!
何かね胸騒ぎが止まらないのよ………」
そう言い烈は安曇勝也にラインした
「勝也、ボクを国会議事堂に連れて行くのは不可能かしら?」と問い掛けた
ラインに気付いた安曇は画面を見て登紀子に
「烈が国会議事堂へ行きたいと言ってるんだが………今日は無理そうだね……」と問い掛けた
登紀子は「総裁選真っ只中ですものね……」警戒態勢も強度を上げているのだ……
それを考慮しても無理そうだった
「総裁選の管理委員会に聞いてみようかな?」
「それは宜しいですね!
宗右衛門が見張るのであれは納得されるかも知れません!」
安曇と登紀子は見つめ合い
「ならは根回しせねばなりませんね!」
「ですね!」と北叟笑んた
安曇は『掛け合ってみますのでお待ち下さい!』とラインを返した
康太は朝から漆黒のスーツを着て、総裁選の重要人物の護衛に当たっていた
「あ~こんなに堅苦しいの着るの、んとに嫌だぜ!」
榊原も漆黒のスーツを着て
「そうは言っても決まりですからね!」と諦めの境地で言葉にした
「サクサク決まらねぇか?」
「サクサク決まらないのが総裁選ですよ!」
「んとに面倒クセェよな?」
「本当に面倒ですよね?」
そんな事を総理候補の前で言う
堂嶋は「俺が一番面倒なんだよ!ファーストレディーいねぇし除外だろうと思っていたのに宗右衛門が根回ししやがったから候補に上がっちまったじゃねぇか!」とボヤいた
康太は「それは宗右衛門に文句言えよ!」と知らん顔
「お前の子じゃねぇかよ!」
「オレの子だが、役割は違うんだよ!
オレは宗右衛門には何一つ文句は言えねぇんだよ!また逆も然り、宗右衛門は真贋に文句は言えねぇ!そう謂う役割なんだよ!」
「面倒クセェ親子だな!」
「ほら正義、サクサク総理になっちまえ!
今回の選挙で安曇貴之と近衛貴也が当選を決めた
後 数年したら貴史が政局に上がるだろう!
そしたら続々と頼もしい政治家も上がって来るから気を緩めるなよ正義!」
「貴史に竜馬だろ?
もぉなアイツ等は掻き回しそうだから考えるだけで頭が痛くなるぜ!」
「んな事を謂うなよ!
眠くなる様な政治よりは良いやんか!」
そりゃそうだが…………荒れに荒れる政治の局面もまた面倒なのだ
「安曇貴之は無所属なのに結構支援を受けましたね!」
「あれは登紀子の才覚と手腕を叩き込まれた妻が全面的に出て後押ししたからな!」
「近衛は地盤がモノを言った感じか?」
「それとあの顔だろ?
あの顔で闘うならば、DNA丸解りと謂う強みがあるからな!」
「あ~あの顔は………そうだよな
良くもまぁ宗右衛門は見事な采配されたと感心するな!」
「まぁそれが宗右衛門の死命だかんな!」
堂嶋は言葉もなかった
そんな簡単に相槌を打って良い訳などないのだから………
榊原は「其れよりも緊張感の一つもないのですね!」とボヤいた
堂嶋は「緊張してても、此ればかりは運命だからな、なる時はなるだろうし、落ちる時は落ちる
今更焦っても仕方がねぇからな!」と呑気に謂う
総裁選は告示される前から始まっており、党員・党友が投票する「スフスペック方式と、国会議員と都道府県連代表各3名が投票する「簡易型」がある
今回の総裁選はフルスペックで行われる事が決まっていた
党員票が全体の半分を占める為、総裁選はかなり前から根回しされる事となる
1回目の投票で過半数を獲得出来ねば上位票の二人で決選投票となる
今 まさに決選投票の結果を党本部の部屋で待っている状態だった
その時、選挙管理委員会の職員が、堂嶋の部屋を訪れノックした
榊原かドアを開けると
「開票結果が出ましたので貴方が新総理になられました!」
「え?嘘………どう見ても元総理の倅の方が優位に立ってなかったか?」
「今回特別に監視者として入っられた方がいますので、選挙管理委員会の方も力を入れて開票しておりましたので不正など罷り通りは致しません!
もし不正でもやろうモノならば、その方の手により排除される徹底ぶりでしたので、公明正大に開票されなのですから!」
康太は何処か頭の片隅に烈が浮かび上がった
まぁ子供が国会議事堂に来られる事はないのだろうから無理なことなのだか………
「それでは今後の説明を致しました後、速やかに記者会見を開かねばなりません!
党本部の8階へ移動され記者会見をお願い致します!」と告げ部屋へと入って来た
堂嶋は「え?後でドッキリてした………とかじゃねぇんだよな」と呟いた
なんのリアクションもなかったから、もぉどうでも良いや………と思っていたのだ
緊張感もなければ、緊迫感もなかった
職員は苦笑して
「何を仰られるのですか!
ドッキリとかではなく、正真正銘 総理は貴方で決まりました!
其れでは今後の流れをお話致します!
自民党総裁選の当選者(新総裁)は、投開票日当日に記者会見を行い、その後速やかに党役員人事と組閣に着手せねばなりません!
通常、数日〜1週間程度で新体制を発足させ、国会での首相指名選挙を経て正式に総理大臣に就任します!
これは首相の任期切れに伴う総裁選の標準的な流れです
貴方も安曇元総理の傍におられたのですから、流れは御存知だと思います
党本部8階で記者会見を開いて下さい!
護衛の方はカメラに映らぬ距離まで下がり、後ろで控えて下さい!
そして記者会見をなされた後、組閣と人事に取り組まれ、後日 国会にて決意表明をなされて下さい!」
と言われ控室を出て党本部8階へ行き記者会見を開いた
康太と榊原は見えない場に控え記者会見を見守る事にした
堂嶋はマイクに向かうと
「新総理に選任されました堂嶋正義です
私は是迄も常に国民の生活の保障を謳って参りました!
物価高に高齢化社会、出生率の低下、バランスの取れてない今の現状の是正を提案して来ました
昨今の海外との交渉も踏まえて予断の許されない事態なのは変わりません!
一歩一歩、着実に事を進めて行けれたらと思っています!
皆様の思いを託された内閣総理大臣として恥じぬ行動を常に心掛け精一杯努力して参る所存です!」と口上を述べた
堅苦しい口上ではあるが、それだけ堂嶋正義が国民の方を向いて政策を練っていると謂う姿勢が伺えられた
記者会見を終えて派閥や党役員人事、組閣を決めねばならないとの事で直ちに別室へと異動する
異動する廊下では、国会議員が新総理に頭を下げていた
まぁ一応儀礼は尽くしても、その眼差しは冷ややかなモノだったり祝福する視線だったりまちまちだったが、堂嶋は新総理として着実に歩を進めていた
皆が総理に軽く会釈して見送る中、早足で用があるのか?
慌ただしく堂嶋の後を追う様に来る者がいた
このまま行けば堂嶋の横を通り過ぎれる位に近寄られてしまうだろうから………
康太と榊原は警戒態勢を取った
通り過ぎて行けば良いが、そうでないないならば排除せねばならないからだ!
このまま何事もなく別室へ移動すれば、康太と榊原の警護は終わる
後は総理となられた身分を御守りする総理専属のSPが着いて護衛に当たるのだ
気は抜けないが、此処は国会議事堂
仕掛けるにしても議員も記者もいる中、暴挙に出るヤツ等滅多といない
…………との想いは何処にあった
が、擦れ違い様、何処からかナイフを取り出した男は、ナイフを握り締め堂嶋に襲い掛かって来た
ほんの数秒の出来事だった
その時堂嶋はドンッと突き飛ばされ、不意に突き飛ばされた事で、堂嶋はヨロッとよろけた
榊原はよろけた堂嶋を抱き留め、背後に隠した
堂嶋を狙ったナイフの切っ先は、堂嶋の心臓を一突きにする為に、高さを固定していた
が、咄嗟に堂嶋が突き飛ばされた事により、ナイフの切っ先は、突き飛ばした奴のこめかみ付近から頭皮に掛けて肉をえぐり切り裂いた………
犯人はクーとルーとスーに取り押さえられていた
騒ぎを聞きつけた国会議事堂の警備本部から警官と警備員が駆け付け、その場は騒然となった
クーが「新総理を退避させろ!」と謂うと榊原と康太は正気になり即座に新総理をガードして連れて行った
安曇が慌てて「烈!大丈夫なのかい?」と駆け付け、慌ててハンカチで傷を抑えた
烈は「唐沢を呼んで下さい!」と告げた
安曇は即座に唐沢に連絡して呼び出した
安曇に呼ばれた唐沢は即座に駆け付けて来た
現場にやって来た唐沢は、血塗れの烈を見て唖然とした
「お前………何で総裁選真っ只中の国会議事堂にいるのよ?」
と言い部下に犯人を拘束させて、慌てて烈の傍に向かった
「唐ちゃん、此れは普通に逮捕しても駄目なヤツだから!」と謂う
「解ってるよ!」
唐沢は部下に言い捕縛布を取り出して手錠をして身動き取れなくした犯人を包み込んだ
「烈、お前は病院に行きやがれ!」
そう言いネクタイを外すとハンカチで傷を押し当ててネクタイで強く縛った
「そうするわ、このままじゃ失血死しちゃうからね!
なら唐ちゃんスーを連れて行きなさいよ!」
唐沢はポッケを広げるとスーは唐沢のポッケに入った
安曇は「烈、緊急車両を出して貰うから久遠先生の所へ送るからね!」と心配して言った
「ゴメンね勝也………」
安曇は即座に緊急車両の手配をした
そして警官に護衛され車止めまで向かった
緊急車両に乗り込み久遠医師の所まで送られる
烈は緊急車両に乗り込むと、止血されバイタルを取られていた
安曇は「……正義が狙われるの………知っていたのですか?」と問い掛けた
「阿賀屋家御当主様が警告してくれたからね
彼が警告するならば、其れは確実な出来事となるから星を詠んだのよ
そしたら記者会見を終えて移動中が危険と出たから、勝也に無理言って連れて来て貰ったのよ
まさか選挙投票の監視役にさせられて近衛と共に見張り番させられるとは思わなかったけど、タイミング良く危険なゾーンを割り出して、警戒していたのよ
そしたら案の定来やがったのよ!」
「………アレは傀儡?」
「多分脳を弄られ操られている存在でしょうね!」
「国会議員が傀儡とか………目も当てられないよ」
あの場にいたのは国会議員と秘書と関係者だけだった………
「堂嶋正義は死なせられない存在だからね
生かしてナンボの存在だし、況してやボクの両親を狙われたら困るのよ!
ボクの両親傷付けたら………あの場の人間殲滅するわ!それは困るからね………」
「烈は両親が大好きだものね!」
そう言い安曇は烈を抱き締めた
「血が着いちゃうわよ!」
「構わないよ!スーツより君が大切なんだから!」
「貴方には結構過酷な事しちゃったのに?」
「其れでも今息子達が在るのは君のお陰だから!」
「勝也………」
「其れに私達夫婦は君が大好きなんだよ!」
「ボクも登紀ちゃんと勝也大好きよ!
夏休みには沖縄一緒に行きましょうよ!」
「そうだね、御一緒させて貰えるなら何時でも行くと決めてるよ!」
安曇はそう言い烈を強く抱き締めた
緊急車両は飛鳥井記念病院へと到着すると、連絡を受けていた久遠が待ち構えていた
血塗れの烈を見て久遠は眉を顰めた
即座にストレッチャーに乗せて連れて行かせた
安曇は処置室の前の待合室で烈が来るのを待っていた
少し遅れて登紀子が病院にやって来て
「烈は?」と焦って問い掛けた
「今久遠先生の診察を受けてます!」
「烈の動きが速すぎて………咄嗟に何が起きたのかさえ判りませんでした………」
「其れは私も同じだよ
横にいて議員の陰に隠れて新総理をお見送りしていた所だからね、何が起こったのか?
サッパリ解らなかったよ………
で、次の瞬間……叫び声で烈が横にいないのが解り探したら血塗れだったんだからね……」
「烈に何かあったら………貴方……」
「大丈夫だよ、その時は二人揃って責任を取れば良いのだから………」
安曇が覚悟を決めて言葉にしていると背後から
「そんな物騒な事を謂うんじゃねぇよ!」とボヤいた声が聞こえた
振り返ると慎一、一生、一陽、英生が立っていた
安曇は「どうして此処へ?」と問い掛けた
一生は「康太から連絡があったから病院で待ってたんだよ!
『多分烈は久遠の所へ処置して貰いに行くから、そしたら様子を見て来てくれ!』ってな!」と答えた
登紀子は「康太は烈に気付いていたのですか?」と問い掛けた
慎一が「そりゃ我が子の気配は解りますから!
感じ取っていたと思いますよ!」と言葉にした
安曇は「烈が国会議事堂へ行きたいだ言ったから、党三役に聞いてみたんだよ
そしたら近衛の家の者と共に監視者として選挙の監視を頼まれたんだよ!
私も登紀子もずっと烈と共にいたんだよ
新総理が記者会見を開いて控室に戻る時、烈は気配を消していたんだよ
そして次の瞬間には血塗れで血を流していたんだ………」と話す
一生は「正義は狙われていたのか………なら巻き添え食うか?伊織でも怪我させられたら………あの地は焼け野原になるしかねぇ………
どの道 烈はそれが解っているから出たんだろ!」と烈の思いを口にする
処置を終えた久遠がやって来て
「烈は血を流し過ぎてる!
失血死一歩手前だ、良くもまぁ起きてられるって感心するレベルだ!
しかもアイツは皮膚も弱いからな、様子を見る為に入院させる事にした!」
一陽は「入院に必要なモノは持って来てます!
烈は起きてますか?」と問い掛けた
「薬で寝させてる!
起きてても血が足らねぇからクラクラだろうよ!
処置が終われば個室に入れるから、先に個室に行ってろよ!」
久遠はそう言いゴム手袋を外すと、術着を脱ぎに向かった
看護師の鈴木泰知は皆を個室に案内した
個室に行くと既に待ち構えていた女性の看護師が、点滴が乗ったワゴンを泰知に引き継ぎ部屋を出て行った
泰知はそれを受け取り消毒を取り出すと、安曇夫妻の服をまくりあげ点滴をぶっ刺した
目にも留まらぬ速さだった
泰知は「お疲れの顔をしていた様なので久遠医師が点滴を、との事でしたので安静にして下さい!点滴が終わる頃来ます!」と言い個室を出て行った
泰知と入れ替わり、烈が眠ったまま個室に戻された
看護師は烈をベッドに異動させ寝かせ布団を掛けた
そして点滴を吊るしてバイタルをチェックして個室を出て行った
一生と慎一と一陽と英生はベッドに近付き烈を見た
頭には包帯が痛々しく巻かれていた
一生は「烈、処置されて入院になった!」と康太にラインを送った
直ぐに康太からは
『傷 酷いのか?
物凄く血が出ていたからな………』
と心配する返信があった
「俺は処置されてからしか見てねぇけど、出血は凄かったと久遠は言ってたな
薬で眠らせてるけど、起きてても出血が酷かったからクラクラで起きれねぇからな!とか言った!」
『正義もめちゃくそ心配してるけど、アイツはもう気軽に見舞いとか来られる立場じゃねぇからな
オレ等の役目も終わったかんな、これから病院に行くから、それまでは頼むな!』
「了解した!何か食べるの作らせるか?」
『あぁ、頼むな朝からロクなの食ってねぇからな!』
ラインを終えると一生は携帯を慎一に見せた
「ならば俺は家に帰ったら直ぐに食べられる様に、何か作って来るので待っててくれ!」
と言い慎一は一旦 個室を出て行った
慎一が個室を出て少しした頃、レイが突然個室に姿を現したから英生は驚いて
「レイ!何処から来たんだよ!」と叫んた
レイは冷たい瞳をして英生を一瞥すると、烈のベッドの傍へ行き烈の手を握り締めた
一生が「エイセイ、止めとけ!
こんな時のレイには近付くな!
烈の瞳は元はレイのモノだから、二人は視覚を共有してるみたいなモノだから………
あぁなったレイは烈の声しか聞かねぇからな!」と英生を止めた
一陽が「最近はお兄さんになり、物分かりが良くなって来てますが、やはり烈の危機には来ちゃいますね………」と言葉にした
英生は言葉もなくソファーに座った
暫くして康太と榊原が個室にやって来た
康太は「久遠に状態を説明されて来た!」と話した
榊原は「レイも来てますか?」とレイの傍に行き頭を撫でた
康太は安曇に「烈が無理言ったみてぇだな!
済まなかったな!」と謝罪した
登紀子は「いいえ、そんな事はありません!
宗右衛門を得て、選挙管理委員会の方も不正など罷り通る状況を排除出来て喜んでましたから!
烈の存在は大きかったです!」と笑みを浮かべ言葉にした
榊原は「やはり選管の監視者は宗右衛門でしたか!」と呟いた
康太も「伊織も烈の姿を思い浮かべたか!」と苦笑した
「監視者に名前を連ねれる者など多くはありませんからね!」
「だよな、でも子供が国会議事堂に大変な選挙の時に入れるのか?と思ったんだよ
元総理の意向ならば………それも不可能じゃねぇって事か!」
安曇は「いいえ、切っ掛けは私の方から烈が国会議事堂に行きたい意向を伝えたらお迎えの車を寄越して歓迎される程、今回の選挙は公表はしてませんが不正が相次いでいたそうです
なので票の剥奪をしたりして対策していたのですが………何処まで手が打てるか……と謂う状況でしたので、宗右衛門の介入は向こうにとっても大歓迎だったのです!
実際、宗右衛門が見張る結界内では何者も手出しは出来なかったみたいで、開票は結構早くなされましたから!」と伝えた
「まぁ利用価値のある総理ならば、倭の国の国益を吸い上げて自由に出来る所だったのにな
実際、小柳榮太郎氏の方が優勢とまで言わ示しめていたかんな!
狙われるとしたら小柳氏の方だと思っていたのに、内閣の方からオレ等に護衛をさせたのは正義の方だった
下手したら闇から闇へ消される可能性を考慮していたんだろうな!」
登紀子は「それは……解りませんが、烈を傷付けてすみませんでした!」と康太と榊原に謝罪した
榊原は「いいえ、こちらこそ本当に烈の為に動いてくださり有り難う御座いました
あの子は目的の為ならば向こう見ずな事をやりますからね!
でもあの瞬間、烈が正義を突き飛ばさなかったからナイフの切っ先は確実に正義の心臓を狙っていた、正義は心臓を一突きにされ即死は免れはしなかったでしょうから………」と敢えて言葉にした
安曇は「ほんの一瞬の出来事でした
悲鳴が上がり横を向くと烈はいませんでした!」と説明した
康太は「正義の星を詠みやがったか………場所まで特定するとは………占いの練度上げて来てるじゃねえかよ!」とボヤいた
鈴木泰知が個室にやって来ると、安曇と登紀子の点滴の針を抜いてテープをペタッと貼った
そして一礼して個室を出て行った
康太は「烈は起きねぇから飛鳥井の家に来て下さい!後で誰かを寄越すので烈は大丈夫です!」と謂うと榊原はレイを抱き上げた
「レイ、烈が起きてる時に兄達にお見舞いに連れて来て貰いなさい!」
「そば、だめ?」
「顔色が悪いですよ?
お兄ちゃんが健康管理も出来ないなんて、烈が起きたら怒りますよ?」
「…………それ………いやら!」
「なら体調を整えて、烈が起きてる時にお見舞いに来なさい!」
「はい!ぼく………おにいちゃんだから………」
榊原はレイを抱き締めた
「無理しなくても大丈夫です!
烈は大丈夫ですから!」
レイは何度も頷いた
安曇夫妻を連れて一旦 皆で個室を出て行った
烈は薬で眠っていた
深い眠りの中、温かな手が烈の頭を撫でていた
大きなゴツゴツした手が烈の頭を撫でていた
「ったく向う見ずな所は主に似たのじゃな!」
「親父殿だろ?儂は無茶なんぞしねぇよゐこじゃからな!」
「何処がよゐこじゃ!
儂の謂う事なんぞ聞きもしなかったやんちゃ者が!」
「若かりし頃の事は誰もが経験する反抗期じゃねぇかよ!」
「あ~うるせぇよ!お前等!
此処は病室だって忘れるな!」
「そう謂う弥勒の声の方が煩いぞい!」
「神威、後で覚えとけ!素盞嗚、親子喧嘩は家に帰ってやりやがれ!」
仕方なく素盞嗚尊と神威は黙った
弥勒は「それにしても病院の周り………物々しい警備体制敷いてあるな!
要人でも入院してるのかよ?」とボヤいた
それに答えのは聡一郎だった
「あぁ、あれは新総理のお命を救った宗右衛門を警護する為に遣わされた者達だそうですよ?」
「聡一郎、烈に付き添いの当番か?」
こんな夜中に………とは思ったが、付き添いしか思いつかなかったから問い掛けた
「当番じゃなかったのですが、この方達が飛鳥井にお越しだったのでお連れしたのですよ!」
と言い男性を3名紹介した
弥勒は「唐沢と維弦か?何故にお見舞いか?」と問い掛けた
唐沢は「烈が起きたら聞かねぇとならねぇ事が多々とあるからな!」とボヤいた
維弦は「祖父からはお見舞いの品も託されておりますので!」と物凄い果物籠をベッドの横に置いた
すると烈は「ばにゃにゃ………」と目を開けた
神威は「食い物に釣られて起きるとは!」と笑った
烈は唐沢と維弦の間に立っている存在を見付けるとニコッと笑った
「あら、かっちゃんどうしたの?」
烈にかっちゃんと呼ばれた存在は前総理の矢木沢克英その人だった
矢木沢は烈の傍に行き頭を撫でると
「正義が烈を案じていたんだよ
だから唐沢が烈の所へ行くと聞いたから同行したんだよ!」と話した
維弦はバナナを果物籠から取り出すと皮を剥いて烈に渡した
烈はバナナを貰って美味しそうに食べた
「ボクはまた頭皮事情を気にしなきゃいけなくなったから、そろそろじぃたんと植毛を考えなきゃなのよ!」
「ならば私が烈の髪をフサフサにしてあげるよ!」
「かっちゃん………」
「何故正義が危ないと解ったのか、教えて下さい!」
矢木沢が問い掛けると何処からかやって来た阿賀屋が
「それには我が答えよう!」と言った
「そうね、蒼佑から聞くのが一番ね!」
「矢木沢克英、主は聞いてはおらぬか?
【堂嶋正義は大義の為に死なねばならぬ!】と謂う噂を!」
「え!そんな噂など耳には入ってはおりません!」
矢木沢は慌てて言葉にした
「が、そんな噂が実しやかに漂っていたんだよ
烈の両親が総理候補の警護をすると聞き、警戒を強めていた屋敷の者が掴んで来た情報が、それだった
刺客が送られ堂嶋正義は新総理になった日に命を落とす、そんな筋書きが描かれていたんだよ!
で、その事を宗右衛門に忠告した
それで宗右衛門は刺客が送られる時間と場所を割り出したのだろう!
で、堂嶋正義は宗右衛門により助けられ、宗右衛門は肉を抉られ負傷した!と謂う事だ!」
烈は「また大義系の人なのね………最近頻繁に出すぎなのよね
暖かくなって来たからかしら?」と呟いた
「おい!宗右衛門、刺客をゴキと同列に謂うなよ!」
阿賀屋がボヤくと背後から鷹司が姿を現した
「烈よ、今回は紫園も来てるぜ!」と前に押しやった
紫園は「烈!痛い所はない?何か食べたいのはない?」と問い掛けた
烈は「頭皮事情が大変に悪くなったけど命に別状はないわ!」と答えた
矢木沢は「烈君、今回の刺客は既に知っていたと謂う事ですか?」と問い掛けた
「阿賀屋の屋敷の者がガセなど聞かせはしないからね!
最初は警備に当たる両親がターゲットなのか?とも思ったわよ!
まぁ目論見は堂嶋正義の心臓一突きで仕留めた後、あわよくば飛鳥井康太、榊原伊織もコミコミで消せれたら良いな、位だったと想うわ!」
「堂嶋正義が邪魔だったのですか?」
「でしょうね、絶大な人気と支援があれば煙たくて仕方ないわよ!
況してや彼はお金でも女でも男でも動かないからね!動かせるネタは一つもない存在って、本当に弱みがないから掴み所がないのよね!」
「堂嶋正義の弱み………彼にはそんなのないでしょう?」
「あるわよ!」
「え?………それは何ですか?」
「堂嶋正直、彼は父に報いる政治をしている
ボクの母に報いる政治をしている
そして彼は母の子であるボクを大切にしている
弱味はボクしかないじゃない!」
矢木沢は笑って烈の頭を撫でると
「それは私も弱味となりますよ!
私も君が大好きなので大切にしてます!」
「ボクもかっちゃん大好きよ!」
矢木沢は「取り敢えず、これから国会に行き総理に報告して参ります!」と姿勢を正し個室を出て行った
「ルー!」
と謂うとルーは気配を消して矢木沢を追った
唐沢は「彼 狙われてる?」と問い掛けた
「この時間なら交通事故で処理される状況作りやすいのよね!」
唐沢は「直ぐに手配する!」と言い個室を出て行った
紫園は「3月の祭日、金曜日だから土日使えば三連休になるから、次の私の公演先に来るか?」と問い掛けた
「シオ君、何処で演じるの?」
「京都 清水の舞台で能を奉納するんだよ!」
「それなら行きたいわ!
ばぁしゃん 喜ぶわね!」
「最終公演は横浜でやる!
その時はまた観に来てくれよ!
其れで3ヶ月に渡る公演は終わる
そしたら必要経費だけ取った残りはお前にやるからな!」
「シオ君、要らないって言っても聞かないんでしょうね!」
「お前にやる為に必死で公演してるんだ!」
「なら横浜の最終公演のラストステージは、ボク達が舞台を作ってあげるわ!」
「烈!」
紫園は烈を抱き締めた
神威は「京都か味が薄いんだよな………」とボヤく
「なら神威はお留守番?」
「冗談!儂がバスを運転しねぇと誰がするんだよ!」
「新幹線で行けるじゃない!」
「新幹線だとドライブインで飯食えねぇだろうが!」
「それもそうね!」
そんな愉快な会話がなされている個室に、康太と榊原がやって来た
「今夜はうちで泊まって行けよ!
飲みてぇなら準備はしてあるから楽しんでくれ!」と言い呼びに来たのだった
神威は「ふむ!なら行くとする!」とさっさと飲みに行く気満々だった
烈は母に「ボクは眠るから皆連れて行ってくれて構わないわ!
そんなに長い事入院でもないし大丈夫よ」と謂う
康太は「なら朝には誰かしら行かせるとする!」と言い皆を連れて行った
静かになった病室で烈は目を閉じて眠りについた
出血が多すぎて、やたらと眠いのだ
知らない間に寝てしまい、目を醒ましたのは朝だった
看護師の鈴木泰知が検温に来て声を掛けられ目が醒めた
「烈君検温だよ!
どう体調は?気持ち悪いとか目眩とかある?」
「気持ち悪くないし目眩もないけど眠いのよね」
「血が大量に出たからね仕方ないね!
後で先生が検診に来るから待ってるんだよ!」
「泰ちゃん、菩提寺の道場に通う気ないかしら?
看護師は体力のいる仕事だから、体力と力を着けないと大変なお仕事になるのよね!」
「そうだね、ボクシングジムにでも通おうかと思っていたんだよ!」
「ボクシングジムよりも気と体力着ける合気道とかどう?菩提寺の道場で習えるわよ!」
「なら菩提寺に顔を出して習い始めようかな?」
「そうよ!それが良いわ!」
そんな他愛もない話をしてると久遠がやって来た
久遠は「どうよ?体調は?」と問い掛けた
「やたらと眠いのよ!それ以外は大丈夫よ!」
「なら退院して良いぞ!
当分は消毒に毎日通いやがれ!良いな!」
「毎日消毒には来るわ!
其れよりも新居はどう?」
久遠は最近、横のマンションの最上階へとお引越しした
ワンフロアは広いので、久遠の家は4LDKの部屋に作り替えて、後の部屋は2DKの部屋を数部屋作った
扉は更にセキュリティを上げ、そのフロアに入るのもIDがなければ入れない様にした
久遠は「最初は部屋の出入りもピッとやらねぇとならなかったからな、面倒臭っかけど今は慣れたし、最高の住み心地だ!
拓美と拓人も定期的に帰って来て、何かと紅緒の手伝いしてくれててな
家族だけで住むのは怖かったけど………今はこれで良かったと思える!」と正直な胸の内を吐露した
「仲良く暮らすのよ!
それが志津子と義泰の為でもあるのだからね!」
「あぁ解ってる!
何か菩提寺へ行った方が親父は元気で若返った気がするんだが………」
「あの夫婦は今、太極拳やってるし、今は道場にも通い武術習ってるわよ
そして菩提寺の子達の世話も焼いてくれれて助かってるわ!
志津子も菩提寺全般の手伝いしてくれてて助かってるわ!
今月末には飛鳥井建設を退職するから、ゆったりとした時間が送れると想うわ!」
「何か………離れて暮らすと見えなかった部分が見えて来て、俺はあの人達に負担かけてたんだなって思った………」
「まぁ親子だから負担だなんて思ってないわよ!
そして離れて暮らそうが親子は親子なのよ!」
「んとにな、今はそう思うよ!」
久遠はそう言い笑った
烈は朝食を食べてからケントに向かいに来させ退院をした
母には「退院するから家に帰るわね!」とラインした
烈のラインに気付いた康太が
『退院しても良いのかよ?』と驚いて返信した
「毎日消毒へは行かないと駄目だけど、退院しても良いって言われたのよ!」
『なら帰りに精算に行くからお前は帰って来いよ!今日は安静にして寝てろよ!』
「そうするわ、何か眠くて仕方ないのよね!」
『あんだけ血を流したらそうなるわな!
誰か迎えに行かせるか?』
「良いわ、ケント呼び出したから!
朝を食べたからそろそろ帰るわね!」
『ならゆっくり寝るんだぞ!』
とラインを終えた
烈は私服に着替えると大層な果物籠をケントに持たせて帰宅した
果物籠はキッチンに置いて、自分の部屋に行くと部屋でシャワーを使い血腥い血を流し髪を洗った
久遠には『縫ったんだからゴシゴシ洗うんじゃねぇぞ!』と言われていた
だから軽く流す程度で洗い、髪を乾かし服を着替えた
そして洗濯ネットに入れて洗濯室に持って行った
明日の朝洗う為だ
そしてサッパリとすると部屋に行きベッドに入った
竜馬には「飛鳥井の家で寝てるわ!」と送り寝る
あ~頭の包帯巻かなきゃ………と思いつつ烈は眠りに着いた
竜馬が部屋にやって来ると烈は寝ていた
怪我して入院してる事は聞いたが
『病室には来なくて良いからね!
どうせ明日には退院だから!』と言ったから行かなかった
病院の周りには護衛の者達が影で見張ってるから下手に来ちゃ駄目だから!
と言われれば行けなかった
竜馬は寝ている烈の姿に安堵してベッドの横に腰掛けた
少し寝てお腹が空いて目を醒すと、竜馬が目を醒ましたのに直ぐに気付き
「起きたの?烈!」と声を掛けた
烈は竜馬に「頭の包帯巻いて!」と謂うとクローゼットから救急箱を取り出して中から包帯を手にして怪我の上にガーゼを敷いて包帯を巻いた
良く怪我する烈の為に用意した救急箱だった
「また包帯増やして置かないと駄目だね!」と呟いた
「ゴメンね竜馬!」
「良いよ、其れよりも冷蔵庫には野菜ジュース買い込んで入れてあるから!
この野菜ジュースは翔達がお小遣いを出し合って買ってくれたんだよ!」
「其れは嬉しいわ!」
烈は野菜ジュースを手渡されると、ストローを刺してチューチューと飲んだ
竜馬が「イベントやCM、色々と事務所の方に依頼来てるから目を通して!」と伝えた
「夏フェスの話はどうなった?」
「夏フェスの方はステージ次第と言われたよ
どれだけのパフォーマンスを出来るのか?
そして其れを次のステージに遺さず片付けられるのか?が問題なんだよね…………」
「竜馬………ロッキンとかのまぢの夏フェス狙ってないわよボク………」
「そうなの?夏フェスって言うからそっちかと思ったよ!」
「言い方が悪かったわね
夏に向けて大々的なフェスみたいなイベントしたかっただけよ!
夏フェスはボク達みたいなプロジェクションマッピングはラストステージ狙わないと出来ないわよ
しかもラストステージだとしても準備が間に合わないから、どの道無理よ!」
「だよね、俺達はパフォーマンス集団たから、アーティストみたくステージに立ち歌う訳じゃないからね!
自己表現の場はスクリーンの中だもんね」
「ボク達はボク達の道を逝くのよ!
他の人と同じ道なんて行く訳ないじゃないの!」
「リーダー!」
竜馬は烈を抱き締めた
「夏は暑いけど、その暑さを乗り切るイベントしたかったのよね!」
「やろうよ!花火一発上げてイベントやろうよ!」
「でも、その前にGWよ!沖縄に行くわよ!」
「沖縄!頑張っちゃうよ!」
「ならキャンちゃんの事務所のオーディションしちゃう?ボクと竜馬とエイセイで!」
「それ良いね!」
「宿泊の場の提供して貰うなら、やっぱ対価は支払わなきゃね!」
「だね、ならば四方さんや君島さんにも声掛けたらどうっすか?」
「其れは良いわね!
ならば皆を巻き込みオーディションやる?」
「やりたいっすね!
でもそれだとGWだと時間が足らないと思う
やはり夏休みかな?狙うとしたら?」
「よね、GWじゃオーディションの場を立てるのは無理ね!
選考とか今からしないと間に合わないわね
まぁ純粋に遊びに行き、その後は皆に話を振って流れに乗る、そんな感じかしら?」
「其れで良いっす!」
「まだ3月だけど、早すぎるって事ないし、もうキャンちゃんにGW遊びに行く話ししても大丈夫よね?」
「予定立てやすいので早目の方が喜ばれると思うっす!」
烈は喜屋武社長にラインする事にした
「キャンちゃん、GWは沖縄に遊びに行きたいのよ!
大人数で遊びに行くから泊まれそうな所を格安で借りれないか?聞きたいのよね!
その時 話もあるから!」
そうラインして少ししたら返信が来た
『烈、GWに遊びに来てくれるのかい?
ならばこの前のホテルをそのまま借りられる様にするよ!
でも個室の完備の方のホテルはリニューアル入っちゃたから他の所になるけど見繕うよ!』
「今回は人がまた増えるから大人数になりそうだけど、お願い出来るかしら?」
『任せておいて!楽しみだなGW!
最近は琉美単体のお仕事もあったりして、事務所の方も盛況なんだよ!
本当に烈には返しても返しきれない恩があるから、無理難題以外は聞いちゃうよ!』
「無理難題なんて言わないわよ!
まぁ皆が揃えば好都合で流れに乗りたい思いはあるけどね!
総勢80人で沖縄に向かうから宿の確保はお願いね!その変わりキャンも納得のGWにするから!出来るならば格安で借りたいのよ!」
『ホテルのオーナーと話をして格安で交渉してみるよ!烈ならば費用はこっち持ちで構わないんだよ!』
「ホテル代はボクが支払うつもりなのよ
キャンちゃんには夏休みのイベントで協力して欲しいから今回はボクが出すと決めてるのよ!」
『何時でも烈には全面協力するからね!
英生や皆が来てくれるなら嬉しい事この上ないよ!精一杯の事はさせてもらうよ!』
そう言いラインを終えた
「少しお腹減ったわ!」
と烈が空腹を訴えると竜馬は
「もう午後2時だからお腹も減るよ!」と笑った
烈は「ボク午前中寝ちゃってたのね!」と呟いた
「仕方ないよ、相当の血を流したんだから!
烈は竜馬と共にキッチンに行きチンして食べようとすると、兄達がいて烈に気付くと用意を始めた
「にーに達、何故にいるのかしら?」と不思議そうに言う
流生が「卒業式の練習とかで半日で帰れるからね今!もう時期春休みだし」言う
「そう言えば春休みの真っ只中の今月末の三連休は京都なの忘れてたわ!
にーに達、GWの沖縄のしおりつくってくれないかしら?
京都の方は本当に家族のみだから、しおりは要らないんだどね
沖縄はまた大人数での大移動になるのよ!」
大空が「交通費は自分負担?」と問い掛けた
「そうよ、交通費までは出せない!
GWと謂う事で一週間は休みとなるから、その間の食費は、3万円支払えば食事は用意するわよ!
宿と食事は3万円必要となるけど、沖縄に行くのにそんなに安くは泊まれないからね!」
「宿代は誰か出すの?」
「ボクよ、キャンちゃんに格安で貸して貰える様に話をしてるのよ!」
「でも大人数が泊まれる宿なら高値は間違いなしだよ!」
「一希が貧乏になったボクの為に賭け事でお金用意してくれたじゃない!
それを使い旅行に行くのよ!」
音弥は「やっと一希のお金使うんだ!」と呟いた
「皆で楽しめる事に使いたかったのよ!」
流生は「烈は今………貧乏じゃないの?」と不安気に問い掛けた
そのお金使って大丈夫なの?と心配そうだった
「あ~出費が嵩んでるから相変わらず宗右衛門事業団の方は赤字ね!
テツが『あ~!何故にこんなに出費嵩む事一気にやるんだよ!』と怒ってるわ!
厄介事ばかり抱えてるし、費用は赤字から抜けてるのは当分先になるわ!」
其処まで深刻なのか…………と兄弟は言葉をなくしていた
「でも今はGWに楽しむ事が最優先なのよ!
そしてその前に今月末の京都よ!
神威にバス運転させるから!
沖縄は流石に車はでは行けないから飛行機だけど、京都位ならバスで大丈夫でしょう!」
「京都って何時その話出たの?」
と太陽が不思議そうに言う
「ボクの入院中に紫園が来て誘ってくれたのよ
だから京都に行くわよ!にーに達!」
「京都か、楽しみだな!」と音弥が嬉しそうに言う
翔は「皆 知ってるの?」と問い掛けた
「知らないわよ、入院中に聞いて今話したんだもの!」
と烈は笑った
大空が「なら今夜話さねばなりませんね!」というと烈は「かなにーお願いね!」と甘えて言う
可愛い弟の言う事ならば何だって聞いちゃう大空は、今夜話さねば!と気合を入れるのだった
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