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②
俺が見舞いに行くときはかなり無理してるんだとは思う。
何度か病室の前で入ろうと思ったが入らないということもあったから。
ナツの具合が良くなくて、苦しそうだったり、荒れていたり……俺には絶対に見せない姿。
それを直接言われたわけじゃないけど、そんなナツを気遣って、おじさんとおばさんが俺には無理ない範囲でナツの希望を叶えてあげてほしいと頼んできた。
「マジ!? でも花火って夜だろ? 無理…だろ」
「んー、例えばさ、一泊だけ外泊とかは? 」
「外泊かあ……それなら行けるかな」
「よし! そんじゃ帰りに聞いとく。おばさんたちにも言っといてやるよ」
「なあ……その外泊ってさ、浩ちゃん家じゃダメかな…」
ナツの、夏樹の澄んだ瞳が真っ直ぐ俺を見てる。
「だ、ダメに決まってんだろ。いくら隣同士でも…俺ん家で万が一何かあったら大変だし」
「……だよなあ。言ってみただけだし」
そう言って俺に背を向けて、布団を被る。
「……淋しくない、おまじない、してやろうか? 」
ゆっくりと顔だけを俺の方へ向ける。
「してほしい…」
俺はベッドに近づき、立ったまま、ナツの顔の横に手をつく。
そのままーー
ゆっくりと顔を近づけ、触れるだけのキスをした。
たまに夏樹が強請るおまじない。
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