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③
「浩ちゃん……」
「ん? どうした? 」
「何でもない。俺、今から寝る。色々ありがと…」
ナツは子供の頃から照れ屋で素直じゃない。
今も顔を赤くしながら、布団に隠れている。
俺は布団の上から頭だと思われる位置を撫でて病室を出た。
そのまま顔馴染みになったナースステーションへ向かう。
「あら、浩介くん。今日もご苦労さま」
「関谷さん! あのさ、相談なんだけど」
「何かしら? 」
「夏樹が今度の日曜日にやる花火を見たいんだって。でさ、外泊か外出は無理? 」
俺がそう言うと、関谷さんは一瞬だけ曇った顔をする。
「体力で言えば…あまり長い時間、外にいるのは無理かな。でも花火上がる一時間くらいなら…何とかなるかもしれない。先生にも聞いておくわ」
「お願いしまーす」
病院を出て自宅までをのんびりと歩く。
途中賑やかな子供らが横を通り過ぎる。
昔はもっと体調も良くて、退院をしたときにはよくこの道を走ったりしてはしゃいでいた。
いつの間にかベッドから降りることなく、ただただ会話するだけ。
たまに、さっきみたいなキスも。
俺たちは多分互いに特別な想いを持ってる。
俺は間違いなく恋愛感情。
ナツが好きーー気づいたのは中学のとき。
けど、告白なんてしたらナツを色んな意味で困らせるだろうから言わないでいる。
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