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④
ナツとは後どれくらい、一緒にいれるんだろうか……。
そう考えては胸が締め付けられる。
次の日、お見舞いに行くと、パァァっと明るい顔になる。
近くにはおばさんもいて、俺に会釈した。
「浩ちゃん!! 今度の日月に外泊していいって! 」
「お! マジで? んじゃ花火行けるな」
「やったぁ! すげー嬉しい」
「浩介くん」
おばさんが俺を呼んで、病室の外に出る。
「夏樹のために本当にありがとう。あの子があんなに喜んでるところなんて久々に見たわ」
「俺もあんな喜んでもらえてホント良かった」
「夏樹ね、落ち着いているように見えるけど、病状はけっこう進行してて、この外泊が最後だろうって。たぶん、病院に戻ればもう外泊や外出はできないとは思うって。さっき先生にはそう言われたの。夏樹には言ってないんだけどね」
「……そう、なんですか」
「だから、あの子のためにありがとう」
おばさんが泣きそうで、俺もつられて泣きそうになる。
けど、何とかそれを堪えて、おばさんに会釈してから病室へ戻った。
「なあ、花火ってどっからが一番良く見えるの? 」
「そーだな…神社近くの公園かな。神社だと祭りやってて人が多くて、ナツはキツイだろうから」
夏樹は楽しみだなと言いながらキラキラした目でポスターを眺める。
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