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星空を見上げて…〜完〜
夏樹の墓参りを夕方に済ませ、実家から花火を見るのがこの10年の日課でもある。
今日は雲一つない満天の星が空にキラキラと輝く。
俺はビール片手に屋根に登って花火待ち。
「ナツはいなくなっても晴れ男なんだな」
思い出すのは夏樹と最初で最後の花火大会のときのこと。
死んだら星になりたいって言った夏樹はきっとこの空のどこかにいる。
それがどんなに遠くても、どんな小さくても俺はその星が1番好きだ。
何度も何度も夏樹のところへ行きたいと泣いては、強くなると星に願う。
夏樹がいなくなって何年たっても、それに慣れることができない。
それは毎年変わらない。
いない現実が当たり前と思わなきゃいけないのに切なさだけが年齢と共に増していくから、いつまでも慣れない。
「ナツ……会いたい…」
未だに忘れられない手を握った感触。
その小さな手で俺を連れて行ってと願っては涙が止まらない。
もういい加減、泣かないからと夏樹のいる綺麗な空に願う。
「ナツ…俺、強くなるから…」
あの時、夏樹と二人で見たのと同じ綺麗な空に流れ星が流れ、そう誓いの言葉を願った。
「ナツ、好きだ」
届かない想いを空に向かって呟く。
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