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『先ほどから見ていれば分かるかと思いますが、大河が伶介くんと仲良くしてくれるのかと思いまして⋯⋯。ああなってくると、伶介くんの方が可哀想で申し訳なく思えてくるのです』 今こうして話している間でも、伶介が何かと話しかけても一向に顔さえも向けず、さすがに可哀想だと思った小口が、「さすがに酷すぎません?」と咎めても聞こえてないように振舞っていた。 せっかく大河のためにと時間を割いて来てくれたというのに、御月堂の用が終わるまで控えている松下のことも含めて申し訳なさが残る。 『恐らく大丈夫だろう。松下の子息は誰にでも優しいようだ。それに父親と同じように根気強さが伺える。焦らず待っていればすぐに打ち明けるだろう。私達のように』 『⋯⋯そう、ですよね。そうなれば、いいのですが⋯⋯』 御月堂に依頼され、代理母として全うしていた短い間でもこの人と一緒にいたいと思えるようになっていった。 二度と会えないと思っていた我が子とまさかの再会した時も、御月堂はそう言ってくれて元気づけてくれた。 だから、大河と伶介もそうなってくれればいいのだけれども。 『ところで、私が紹介した心療内科に行く日は、確か今日だったはず。大河はどうと言われた?』 気を遣って話題を変えてくれたのかもしれないその話題は、御月堂達が来る前、それで悩まされていたことを思い出される。 酷い緊張と不安のせいなのか、言葉をつっかえながらも、『心因性失声症』と診断されたことを話す。 『なるほど⋯⋯そのような症状か⋯⋯』 『大河が口を利けなくなったのは、私のせいだと思うと⋯⋯』 『それは違うだろう』 語尾を強めて言う彼に、ビクッと肩が上がった。 それに気づいた御月堂が「⋯⋯すまない」と謝罪を口にした後、こう言った。

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