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第3話③

 デッキチェアに寝かせたヴィルフリートに、琉斗(りゅうと)は馬乗りになった。  寝そべるようにして顔を近付け、同時に利き手で彼の股間の周囲をまさぐる。 「……こういう時は、ちゃんと相手を名前で呼ぶんだ」 「……」  これもレッスンの一つだ。意識が敏感な部分に向かい、気もそぞろな様子のヴィルフリートの耳元で繰り返す。 「言ってみろ、『琉斗』だ」 「……リュート……」  吐息とともに紡がれた自身の名に満足して、琉斗はヴィルフリートの纏うピッタリとした水着の中に右手を忍び込ませた。窮屈そうに布地を押し上げていた男性器が、(てのひら)の中でピクリと反応を示す。 「ああ、そうだ……ヴィル……?」 「……ッ……!」  お返しに愛称で呼んでやると、ヴィルフリートが息を呑んだ。中から取り出した彼の分身は、ぶるりとしなって勢いよく天を突いている。  その反応に気を良くした琉斗は、よく出来ましたと言わんばかりに、手を上下に動かし始めた。 「アァ……ッ」  ヴィルフリートの薄い唇から、セクシーな溜め息が零れる。  VIP専用コテージの敷地内で人目がないとはいえ、明るい太陽の下での行為に、琉斗はひどく興奮していた。身体の奥に疼くような熱を感じ、自然と擦り上げる動きも激しくなる。  衝動に突き動かされるまま、しかし琉斗は、ヴィルフリートから手を離した。途中で放置された形になったヴィルフリートが、不満げに眉根を寄せる。  宥めるように額に口付けてやってから、琉斗は身を起こした。南国の陽射しを受けて、既に乾き始めた水着を、焦らすかのようにゆっくりと脱ぎ捨てる。  ヴィルフリートの欲に濡れた視線を痛いほど感じながら、再び浅黒く逞しい肉体に跨がると、自身の半勃ちの股間が存在を主張するようにピクリと震えた。が、そちらには敢えて触れずに、琉斗はヴィルフリートのペニスに再度手を添える。  そして、最奥部の疼きを鎮めるように、その上に腰を落とした。 「あっ、……アァ……ッ」  割り入ってくる、熱くて硬いモノの形をしっかりと感じながら、琉斗はビクビクと身体を震わせた。琉斗のペニスは、今や完全に勃起している。  自分のアナルが、(オス)を喜んで迎え入れるように変化していることに、衝撃を覚えない訳ではない。しかし、そんなことがどうでも良くなるくらい、琉斗の全身は快楽に支配されていた。 「ンッ、……あ、アァッ……はぁ、ンッ」 「……ク……ッ」  デッキチェアに両手を着いた体勢で、ゆるゆると腰を振り、更なる快感を享受する。内部でヴィルフリートが硬度を増す感覚に、琉斗の先端からは先走りの密が溢れ始めた。  たまらず、一層積極的に動こうと腰を浮かしたところで、大きな両の掌に、ウェストを掴まれる。 「アッ! ……あぁ……ッッ!!」  主導権を握っているつもりだった琉斗は、ヴィルフリートに勢いよく突き上げられて、悲鳴を上げた。琉斗の痴態に興奮が募ったらしいヴィルフリートは、琉斗の動きを封じたまま、何度も強く腰を打ち付けてくる。 「アッ、ああっ……んっ、ハァ……あ、ん……ッ」  熱くて大きなモノに、繰り返し激しく内部を掻き回されて、琉斗は淫らに身悶えるしかない。 「ッ! ン、アァッ……!!」  一気に体勢を入れ替えられ、今度は琉斗がデッキチェアに縫い止められる形になった。一瞬ズルリとペニスが抜け落ちた感覚に、切なさを覚える暇もない。  再び勃起しきった巨根にアナルの奥深くまでを刺し貫かれ、琉斗は生理的な涙を零して喘いだ。 「ハァッ、ア、ンッ、アァ……ん……っ!」  後背位での激しい注挿に、パンパンと肉のぶつかる音が響き渡る。同時に、泡立つ結合部からはグチャグチャといやらしい水音が立って、耳からも犯されているような気分になってくる。 「!」  あまりにひたむきな突き上げを繰り返されるうち、琉斗の右手がデッキチェアからずり落ちた。バランスを失った上半身も、引き摺られるように床面に投げ出される。  わずかにヴィルフリートに向かって臀部を突き出すような体勢に、琉斗は思わず息を呑んだ。 「――あ、ぁ……ッ!? そ、んな、奥、まで……ぇっ」  抗議はほとんど言葉にならなかった。  ヴィルフリートの動きが止むことはない。思ってもみなかった、深くて気持ちの良いトコロにまで熱い塊が押し入って来て、琉斗はあられもない声をあげて鳴き喚くしかなかった。 「アッ、アア……ッ、も、ダメだ、イク……!!」 「――ッ!!」  琉斗の先端から迸り出た白濁が、プールサイドの床面に卑猥な図を描いていく。  ヴィルフリートは一層強く琉斗の最奥部を貫いたかと思うと、ズルリとペニスを引き抜いた。ほとんど同時に、背中に熱い奔流がぶち撒けられるのを感じて、射精中の琉斗は新たな刺激に身体を震わせる。  ヴィルフリートと最初に身体を重ねた時にも感じたことだが、琉斗は恐らく、「男の体液に汚されること」に興奮してしまう性質なのかもしれない。  ともあれ、飲み込みの早い、極めて優秀な「生徒」であるヴィルフリートは、ある程度我慢をした方が快楽が増すことを、身を以て覚えたようだ。  同時に絶頂を迎えることが出来たふたりは、しかし更なる愉悦を求めて、それぞれの分身に力を漲らせ始めていた。

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