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第6話 発情

 一所が仕事から帰り、玄関のドアを開けると、奥からシーツにくるまった古良井が、胸に飛び込んできた。 「おっとお」  抱きとめると、ふわりと石鹸のいい香りが。 「どうしたの。さくたろ……」  腕の中の古良井の様子に驚いて、一所はその顔を覗き込んだ。  上気しきったほんのりと赤い顔が、堪らなくいやらしい。 「はじめさ……欲し…です……」  口の中でつぶやいて、古良井は背伸びして一所の首に腕を回した。 「ん……んんっ」  そのまま頭を引き寄せられたので、一所は古良井の口元を濡らす涎を舐めて、唇を重ねた。 「……ん…んっ❤︎」  ひとしきり舌を絡めて、古良井の落ち着くのを待つが、いつものように容易にはおさまらない。  ますます火のついた古良井が、一所の足に腰を擦り付ける。 「待って、いったん待って、さくたろう、シャワー浴びてくるから、10分待って……今日外はとても暑くて汗を……」 「待てません……はじめさんの、これ、すぐ欲し……待ってたのに、帰り遅いし……」  ゆるゆると一所のズボンのフロントをなでる。  これではまるで、発情だ。 「仕方ないね」 「さくたろう、お口でコレ、綺麗にできるかな?」  言って、一所はジッパーを下ろす。  ゆるく鎌首をもちあげた陰茎が、ぼろんと姿を現した。 「んっ❤︎ んっ❤︎」  古良井は、それを両手で支えて、幾度も幾度も愛おしげにキスをする。 「はじめさんの匂いがします❤︎」 「やはりシャワ…」 思わず逃げ腰になった一所の陰茎を、古良井は迷わずあむりとくわえる。 「っ……さくたろっ!」 ちゅくちゅくと小さな口が、一所の陰茎を包み込んで、もごもごと口の中で舌を動かしている。 「待ちなさい、さく、こら……」  ちゅぷちゅぷと吸われた。疲れマラには気持ちがいい。 古良井は口の中で散々舐め回すと────ちゅぽりと一所の事を放した。  イかせるためでなく、純粋に舐め回されたのでハッキリ言って生殺しだ。 「さくたろう??」  すっかり勃起してしまったその亀頭へ満足そうに古良井がふうと息を吹きかける。 「ふふ。はじめさんのおっきくなりましたね」  言って、それまで跪いて一所にご奉仕していた古良井が立ち上がる。 「はやく……欲し……❤︎」  未だ玄関。  熱っぽく見上げられ、一所も我慢できそうにない。 「朔ちゃん、そこのシューズボックスに手をついて?」 「?」 「加減できそうにないから」 玄関の靴箱に手をつき後ろ向きになった古良井の背中をぐいと押し下げ腰を突き出させる。 丸見えになったおしりを一所はぐいと両手で広げて……既に柔らかくなっている事に気がつく。 「独りでしてたの? 指で?」  ふるふると古良井が頭を振る。 「何でしたの? してたよね? ここ赤くなってる」  中指でくるりとアナルのひだをなぞって、中に指を入れれば、中にはローションもまだ残っているようだった。  くんと指を曲げて、中の良いところを探る。 「あっ……❤︎ や……❤︎」 「やだじゃないでしょ、僕が来るまで何で慰めてたの?」 「……んっ❤︎ 寝室の……デスクにあった」 「デスク?」 「はじめさ……の……万年筆……黒い、太いの……」 「ええ? あのモンブランの?」 コリコリと中指で前立腺を苛める。 「あっ❤︎ ぁ……中ぁ❤︎ せつない……欲し……はじめさぁ……んっ❤︎」 「仕方のない子だね」  指を引き抜いて、一所は古良井の腰を押さえ込む。 「ほら、行くよ?」  一所ははち切れそうな肉棒を押し付けると、そのまま一息に古良井を貫いた。 ゴチュンッ❤︎ 「ぁはあ❤︎」  待ちかねていたものが奥まで一気に届いて、思わず古良井はつま先立つ。  もっともっととねだって腰が自然に揺れているようだ。 「気持ちいい? 気持ちいいね?」  こくこく頷く。 「あっ❤︎ ぁっ❤︎ っあッ❤︎❤︎❤︎」 「待ちきれなかったの、ごめんね、お遅くなって」 「あっ❤︎ 中っ❤︎ なかっ……ゃっ……❤︎」 「うん? 中、たくさん突いてあげるから、んっそんなに締め付けちゃだめださくたろ、力抜いて?」  ちゅう❤︎  うなじにキス。  背骨を舌で辿る。 「んっ❤︎ ぁあっ……ひぁ……ッ❤︎❤︎」 思わず上がる高い声に、一所は腰を強く掴んで荒く打ち付ける。 どちゅっ❤︎ どちゅっ❤︎ どちゅんっ❤︎ 深く貫かれ、もはや結腸の奥まで入り込んで、一所は腰を振る。 「ん…っ さくたろう……出したい。出るよ」  ちゅばっ❤︎ ちゅばっ❤︎ 結腸の最奥のカーブの壁の窄まりに、一所の亀頭がくちづけを繰り返す。 「ぁっ❤︎ はじめさ……」 「出る……ッ」  びゅるるるる❤︎❤︎❤︎ 「ぁ❤︎ …ぁあああ……っ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」  胎の中に一所の精液を受け止めて古良井はガクガクと膝から崩れ落ちた。 「おっと」  床に落ちる寸前で古良井を抱き止める。 「随分、色っぽいお出迎えだったね。朔太郎」  力の抜けた古良井を横向きに抱えると、汗ばんだ額にキスを落とす。  抱き上げて一所が寝室のベッドへ運び込めば、そこはひどい有様だった。  くしゃくしゃになったシーツの間に転がったローションのボトル。  そこに、使用されていたであろう万年筆が放り出されていた。 「これでねぇ」  古良井をベッドへ下ろして、万年筆をつまみ上げる。 「まあ、発情しちゃって、自分でいたずらしてるところ……見てみたくはあったかなぁ」  残念そうに、一所はつぶやいた。

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