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11 あなたとすれば

 古良井をなんとかなだめてバスルームへ送り込む。  一所は、ベッドに腰掛けた。  煙草は吸わない。  ホテルの喫煙ルームは、古良井が匂いを嫌うだろうと、いつも禁煙を取ることにしている。  会場側にはビジネスホテルしかなかったので、冷蔵庫は空だ。  一所は同じフロアに自販機があったことを思いだし、ビールを買ってくる。  もう一度、ベッドに腰を下ろすと、プルを引いた。  ――最初は、かわいいペットを拾った感覚だったんだ。  一所は、バスルームから聞こえてくる水音を聞きながら、ぼんやりと考える。  ――それが愛おしいに変わって、今ではどうだ? すっかりやられてる。  苦笑。  一所は、古良井に裏家業の解体屋を任せたことを、後悔していた。  ――犯罪に、手を染めさせてしまった。自分の本質を知らせないままでいる事も出来たのに。  心の何処かが、自分の全部を知って欲しいと望んでしまったのだ。  けれど、一方で古良井は自分のことを一所には話さない。辛い過去があるのだろうか。と思って、自分から話すのを待っているのだが、古良井は何も話さないままだった。  ――聞いても良いのかな。  一所が今まで雇ってきた者達の多くは、惨めだった今までを一所に語りたがった。そして、それが酷すぎた者は、逆に口を噤む。  一所はその傷に決して触れなかった。  その傷は、その人だけの物だ。  そう、考えていた。  今までは。  ――知りたい、と思ってしまうことがあるとはね。  一所は、好きだと思えばすぐに人を抱く。  かわいがりもする。  それが愛だとしたら、きっと今まで、一所は恋をしたことがなかったのだろう。  恋は。  自分を身勝手なものにしてしまう。  一所は、まだ、これが初めての恋だと言うことに、自分で気がついていなかった。  ドアの開く音。  古良井が顔を出す。  彼はまだ機嫌が直っていないのか、怒った振りをしたいのか、微妙な表情で、一所を見た。  古良井は二十歳。自分は四十八だ。  ――このまま、この関係をいつまで?  一所は、自分の胸が、ズキリと痛むのを感じた。  ――軽い気持ちで拾って、気に入って――それが気がつけば、手放せそうになくなっている。 「朔、おいで」  一所はベッドをポンポンと叩いた。  古良井は機嫌を直したようだ。  転がるように一所の隣へと潜り込む。  一所は古良井の顎をすくい上げ、唇を重ねた。       ◉  一所の抱き方は、ステレオタイプだ。特に首を絞めるとかの特殊性も無ければ、相手の尻を叩く趣味もない。  ただひたすら、愛撫して溺れさせる。  と言ってもテクニックがあるわけでもない  ただひたすら相手の反応を見て、気持ちが良いと感じているポイントをせめるだけだ。 「ぁ……っ♥ ハジメさ……」  セックスの時にあえぎ声に紛れて名を呼ばれるのが、なにより興奮する。 「気持ちいいかい? 朔は本当に、乳首が好きだね」  舌全体をべったりと押し当てて、ほつりとした胸のつぼみを舐め上げる。 「あっ……んっ♥ そんなことな……です♥ そこはさっき、たくさん……触っ……ぁあ♥」  嫌がりながらもれる、ねだりのあえぎ声が可愛い。  一所は古良井のうなじを撫でながら、もういちどくちづける。  指先はくにくにと、古良井の乳首をいじめたままだ。 「ぁや♥ ん♥……んん♥」  古良井の唇を貪りながら、陰茎へと手を伸ばすと、その手を、古良井が手を重ねてくる。 「そこ……もういいです、後ろ……可愛がって……」  恥ずかしそうな小声で古良井がねだったので、一所はクスリと笑って、バスケットから……ローションの小さなボトルをとりだした。  ぬるん♥  一所の短く爪が切り揃えられた中指が古良井のアナルの襞を押し分けて、挿入ってくる。 「んっ♥」  古良井が小さく喘いだ。  一所は中指をゆるゆると小刻み動かしながら、古良井のナカを探る。  ほどよくほぐれだした辺りで、今度は人差し指と二本で挿入し、古良井の前立腺を撫でさすり上げ始めた。 「あっ……あぁっ……♥♥」  むくむくと、古良井の前が立ち上がる。  一所はあえてそれに触れずに、反対の手で乳首をころがして、しばらくナカを可愛がる。  くちゅ♥ ぬちゅ♥  一所がいやらしい音をわざと立てるので、古良井は首を振って嫌がった。 「やっ♥ いや♥」  可愛い声に、一所の我慢が限界を迎える。 「はあ……もう、挿入れたい。朔」  後ろから自分の勃起しきった陰茎を握って、古良井のアナルへと押し当てた。  熱い塊を襞に感じて、古良井が期待に身を捩らせる。 「いれるよ」  ひとこと声を掛けて、一所は古良井をひと息に奥まで貫いた 「あっひあぁっ♥♥ 深いぃ♥」  バックから突き上げられ、一瞬逃げた腰を掴んで引き戻す。  一所の熱の塊が、根元まで古良井のアナルにおさまった。  くぷっ♥ くぷっ♥  腰を使って、一所は古良井の前立腺を突き上げる。初めは小さい動きで。  それが段々に、荒くなってゆく。 「あ、はじめさん……の、固いの、入ってる♥ 入ってる♥ そんなに、激しくしないで♥」  古良井の言葉通り、一所は強く腰を打ち付け出し、深く、激しい陰茎の出し入れに、えぐらた古良井のアナルが、はしたない音を立てた。  ずぷっ♥ ずぶっ♥ ぐぽっ♥ 「あ♥ あ♥ あ♥ だめ、イく♥ イっちゃう♥ あっ♥ はじめさんの……えっち♥ あぁあっ♥♥♥」  古良井はシーツを掴んで、ビクンと身を固くする。一所に後ろから突かれ続け、どうやらドライでイってしまったようだ。  満足そうに、一所の口元が笑う。  古良井にそれは見えない。 「僕も、イキたいな。ごめんね、いつも生でして。君に種付けしたくてしょうがない……ああ、出る、出るよ……!」  一所は謝りながらも古良井を抱きすくめ、びゅるびゅると奥へと射精した。 「あっ♥ や♥ あっ♥」  古良井が、かすかに歓喜の悲鳴をあげる。  ハアハアと荒く息を吐く一所は、脱力した後も古良井を放さない。抱きしめたまま。うなじにキスを落とす。 「君のすべてが欲しいんだ」  一所は言いかけて──その言葉を飲み込んだ。

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