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10 あなたとなのに

 ホテルに戻る頃には、古良井の酔いはすっかり覚めていた。  一所はあの後、古良井を後ろから抱きしめたまま花火を鑑賞し、古良井が暑がり始めると、ようやくその手を放した。  のだが。  我に返った古良井は、気恥ずかしさのあまり、先ほどからずっと、一所を見ないのだ。  先に部屋に入った古良井の後を追って、一緒も部屋に入る。 「朔」  一所はドアの鍵を掛け、チェーンを下ろした。 「朔?」  二度呼んだが返事がない。  振り返ると、古良井がベッドにうつ伏せに倒れ込んでいる。  下駄が絨毯の上に散乱していた。  一所は苦笑して、ベッドに腰を下ろす。  古良井の頭をくしゃくしゃと掻き混ぜながら、声を掛けることにした。 「悪かった。やりすぎた。ごめんよ」  それでも古良井が枕から顔を上げないので、一所はうなじにキスを落とす。 「さぁく? シャワー浴びておいで? 暑かっただろう?」  やはり返事がない。  一所は小さく溜息を吐くと、今度は古良井の足の裏にキスを落とした。  とたんに、古良井の身体はびくりと跳ねて、顔を上げた。 「やめて下さい、汚いですよ」  足を開いて起き上がったので、浴衣の裾がはだける。  古良井の白い太腿が露わになったので、一所はするりとそこを撫であげた。 「君の身体に汚いところなんてないよ」  古良井はばっと、足を閉じると、ベッドを下りようとする。 「シャ、シャワー浴びてきます!」  その腕を掴んで。  一所は古良井をベッドへと引き戻した。   「はじめさん?」 「さっきはごめんね、直に触ってあげられなくて。ここ」  後ろから古良井を抱え込むと、一所は浴衣の袷から手を差し込み、乳首をくにくにと指先でなぶりはじめる。 「ぁっ♥ だめです、はじめさん、俺、シャワー……んッ♥ ぁ……♥」  一所はお構いなしに古良井の髪の中へ鼻先を差し入れる。 「ふふ、懐かしいね、最初に会った時も、朔はこんな匂いだった」 「や……だ、やだやだ♥ はじめさん……のばか……ぁっ♥」  一所が浴衣の裾を割ってたくし上げる。  と。  古良井はその下に、下着を着けていなかった。 「は、はじめさんっ……やだ……んっ♥」 「下着のラインが出るからって、脱がされたろう? あの店はそうなんだ」  一所は片手で古良井の乳首をもてあそびながら、もう片方のてのひらは内股を撫であげて――古良井の熱を持ち始めた塊にそっと指を絡めた。そのまま、ゆるゆると扱き始める。 「んっ♥ やだ、はじめさん、や……知ってて連れてっ……たんですか? ぁあっ♥」 「うん。そう。はは、先走りでぬるぬるになってきたね」  古良井の陰茎は鈴から透明な蜜を垂らし始め、一所の手の中で、ぬちゅぬちゅといやらしく音を立て始めた。 「相変わらず敏感だな、朔は」 「んっ♥ んっ♥ やぁ……♥」 「君のやだやだを聞くのは久しぶりだ」  一所は容赦なく古良井の陰茎を扱き上げる。  ゆらゆらと、古良井の腰が揺れ始めた。 「ぁっ♥ あっ♥ だめ、もう……イっちゃ……♥♥」  そこで、一所は、いつものように射精を促そうと、古良井の首筋を舐め上げたのがいけなかった。 「苦っ……」  首筋に掛けた虫除けスプレーの味に、一所が思わず手を止める。 「ぁあ……っ!」  寸前でお預けになった古良井が、切ない声を上げた。  涙目で一所を睨みつける。 「やっぱり、シャワーを浴びようね、朔」

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