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第24話
その日の夜に、頼政は雪とトキを集めて話をした。
雪の『白皮症』と言う病気を研究している機関がドイツにあること。雪のこともあるが、自分は医師としてこの病気に向き合いたい気持ちもあることを2人に伝えた。
「外国という言葉も通じない所へ行くことになるが、2人はどう考える?」
トキが持ってきてくれたお茶を飲みながらの話し合いである。
「私は、旦那様が行くところにはついてゆく覚悟はもうできています」
震災からこっち、宗時の家からほとんど外へ出ていない雪も、これに関してはついてゆくと言ってくれた。
暫く元気はなかったが、それでもドイツへゆくと言うのには賛成してくれているようだ。
トキは流石に外国と言うことで少々躊躇したようだが、旦那様がお仕事に専念できるようにするには、私が雪さんのお世話をしなければ、と思ったのか
「雪さんのお世話は、私以外にの人には任せられませんので、私もお供させていただきますよ」
怖いであろうに、気丈に笑ってくれた。
「半ば私の我儘なのだが…理解を示してくれて感謝する」
頼政は、どうしてもこの白皮症のことがもっと知りたかったのだ。
研究機関というなら、もっと深い情報も手に入るし、そうすれば雪を少しでも自分たちに近い肌や髪に近づけてやれるかもしれない。
「旦那様、そんなお礼など言わないでください。私のためにドイツまで行ってくれるとおっしゃっていただけて、そしてトキさんも私の為に外国にまで行ってくれると言ってくれて、私は幸せ者です」
2人に浅くだが頭を下げて、雪は俯いた。
泣いているわけではないが、自分のためにこんな困難な事をやってくれようとしている人達に感謝しきれなくて顔を下げてしまう。
「雪、顔をあげなさい。これは雪のためではもちろんあるが、この日本にも私の調べでは5人の白皮症の人がいる。その人たちの力にもなりたいとも思っているよ」
雪は顔をあげ、同じような人がいるということに、いいしれぬ安堵感を持った。
「みんなが楽しく過ごせるように私も頑張ろう」
雪の目を見て頼政が微笑み、雪もその目を見つめて頷いた。
それから10数分後、トキは勿体無いと言って辞退をしたが、空いているからと与えられた1人部屋へと戻っていった。
雪と頼政は、震災でまた少し不安定な雪を見守ると言うことで間続きの2部屋を充ててもらい、すぐに雪に寄り添えるようにしてもらっていた。
敷かれた布団の上にあぐらをかき、その上に向かい合って雪を膝に乗せている。
不安定な雪は、寝る前に頼政と触れ合わないと寝られなくなっていた。
「雪…今日は外へ出られたか?」
抱っこして少し目線が上の雪に微笑んで、頬を撫でる。
「まだ…人様の目につくのには抵抗が…」
頬に触れている手に手を重ねて、それに頬を寄せるように甘えた。
「まあ…田舎でもあるし、好奇の目はどうしてもな…徐々に被り物でもして外に出られるようになるといいんだがな。取り敢えずは庭が目標だ」
親指で唇をなぞってやりながら、頼政は抱きしめるために頬から雪を引き寄せた。
「中々身体に触れてやることができていないな…」
背中に回した手で背中を撫で、雪も首を挟んで抱きしめた頼政に頬を寄せる。
「少し…疼きます」
顔が見えないからか、雪は素直にそう告げてきた。
「正直だな」
頼政は笑って、雪をもう一度膝の上にすわらせると、浴衣の前をくつろげて乳首へと唇を寄せる。
「っ…旦那様…」
舌で舐められて、雪の息が詰まった。
「おじ夫婦の部屋は奥だ。少しくらいなら平気だろう」
乳首のすぐそばでそう言われると、息遣いと声の振動で感じ入ってしまう。
「だ…めです…雪の疼きは自分で何とかしますから…あっ…」
「今まで自分でしてたのか…?可哀想なことをしていたな、すまない。それならば今日は余計にかまいたくなってきたぞ」
乳首を執拗に|舐《ねぶ》り、時に軽く歯を立ててやると、敏感な身体の雪は手の甲を口に当て膝の上でビクッビクッと跳ねながら、必死で快楽に耐えていた。
その姿に久しぶりに頼政自身も力を漲らせ、
「今日は抱こう…」
雪の乳首に歯を立てて、少々強く噛んでやった。
雪は小さくだが快感の声をあげ、背がピンっと伸びる。
「旦那さま…それは…我慢できなくなってしまいますから…」
伸びあがったあと頼政にしなだれかかった雪は、切ない声でそう告げる。
「我慢しなくていい…すまなかったな放っておいて」
そう言いながら雪を後ろに倒して布団へと寝ころばせる。
「余り声が出せないから、優しくなってしまうが…時にはそれもいいだろう」
被虐性のある雪には物足りないかもしれないが、それも仕方がない。
「もったいないです」
寝ころばせられて、雪は両手を差し出した。
頼政はその手に吸い込まれるように身体を寄せ、まずは唇を貪った。
荒い息遣いだけが部屋に響き渡り、雪の体が弓のようにしなる。
余り過激なことはできないと言いながらも、着物を着れば見えないところには歯形や吸い上げた跡がつき、元々色の薄い乳首などは真っ赤になっていた。
両足を抱えられて奥深くまで穿たれた雪は、しなった身体で小さく声をあげ、自らも腰を擦りつけながら欲望を貪る。
「久しぶりに見る雪は綺麗だな…本当に綺麗だ」
頼政もいつもと違う場所での行為に少し扇情されたのか、いつもより腰の突きが強くて早い。
「それこそ本当にもったいないお言葉…でも嬉しい…」
大きく息をついて、ピンクに染まった頬で雪は微笑んだ。
その微笑みに煽られて、頼政は前にのめって雪の両脇に手をつくと、それこそその場所を抉るように強く抽送を始める。
「んっ…」
頼政が前に来た時には、雪はもう無意識に頼政の腰に足を絡めその抽送に合わせるように足を自分へと引き寄せたりした。
穿たれる箇所の快感に漏れ出そうになる声を人差し指を噛むことで耐え、熱病に浮かされたような目で頼政を見る。
「そう煽るな。今雪がどんな顔をしているのかわかっているのか」
激しく息が切れてきた頼政は、苦笑しながらその雪の頬に手を当て
「私の指を口に入れてなさい。|雪《お前》の指に傷がつく」
頬に当てた手の親指を、口付けによって赤くなった唇に当てがいそこに差し込んで舌を誘い出した。
「うぅん…んぅ」
思惑通りに誘い出された舌は頼政の指に絡みつき、口でのご奉仕のように指を舐め始める。
「おいしぃ…」
その指を下品な音を立てて舐め続けるのは情欲を自分で煽っているのか…。
口を犯されるのと共に突き上げられる情感が、雪の桜色の頬をより赤く染め上げてゆく。
「あぁ…ああ…旦那様…もう…もう…」
枕の上で首を振るという可愛らしい仕草とは裏腹に、いやらしいほど絡めた足で腰を押し付けてくる雪に、頼政の情も否が応にも高まりそれ故にますます怒張を極めた頼政自身が雪の奥深くまで刺激する。
「んぐっ…んぅっ……ぁあぁ…っぁ……んんんんっ」
頼政が今までの最奥をついた瞬間に、雪の口から聞いたことのなかった声が漏れ、その後に頼政との間でふるふると震えていた立ち上がった雪自身から透明な液体が迸った。
頼政はそれの正体は判っていたが、今はもっと雪をいかせなければと攻め続け、その奥をつつきながら自分も追い込んでゆく。
「はぁぁ…雪いいな…お前はいいなぁ…あぁ私ももう…」
「旦那様…雪の中に下さいませ…頼政様の子種を…雪の中に…」
それを機に2人は行き着くことに夢中になり、激しい突きのなか雪の掠れた声が部屋に響いて……そして静寂が訪れた。
いや、2人の激しい息遣いが淫靡にも部屋に満ち溢れていた。
暫く横に寝そべり雪の髪を梳きながら息を整えていた頼政は、これからどうやって身体を綺麗にしてやろうかと悩んでいた。
まさかここにきてまでトキの湯桶が用意されるはずもなく、仕方がないから浴室からお湯を汲んで手拭いは取り敢えず一枚持っている自分のもので…と思いたち
「湯桶を用意してくるからな、待ってなさい」
と起きあがろうとすると、そのついた腕に雪の指が絡む。
縋るような視線に優しく微笑んで、雪の額にキスをすると
「すぐに戻る。心配ない雪を置いていくわけがないだろう」
そう言って唇にも軽く唇を重ねて立ち上がった。
丸められた浴衣を無造作に羽織り、簡単に帯で止めると部屋を出ようと障子を開けたところで、不意に足を止める。
そして声が出そうになるのを手のひらで止め、足元に置かれた手拭いのかかった湯桶を見つめた。
「これは…」
いつも、今はもう無い自宅でトキが用意してくれていた湯桶が、いつもの行為の後いつものように廊下に置かれていたのである。
「敵わんな」
流石に苦笑して湯桶を持ち上げて、再び驚いた。
その湯桶の手の馴染み具合から言って、それは頼政の家のいつも使っていたものだったのである。
「まさか持ってきてたのか…?」
頼政は再びー敵わないなーと呟いて首筋を撫でた。
思い起こせば確かにトキの荷物は大きかった。
大きな風呂敷に包まれたものを背負ってはいたが、あの混乱の中でそこに何が入っているかなどは考えもしなかったが、確かに荷物は大きかったのを思いだす。
トキにしてみれば、屋敷が壊されるならば思い入れのある物を少しでも多く持ち出したかったのだろう。
そして、この桶もその一つだった。
その桶を手に持った頼政は雪にそれを見せて再び笑い、雪も驚いた顔で歯を見せて笑うのをみて、頼政は障子を閉めた。
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