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両親の離婚のゴタゴタが片付くまでと、田舎の祖母の家に預けられたのは、中学2年の夏だった。
母方の祖母は若くして夫に先立たれ、女手一つで母とその兄弟を育てたのだという。いわば肝っ玉母ちゃんのその先の姿。
しかしそんな祖母も子供の手が離れてからというもの、広くなった家とそこから少し離れた場所にある畑をやや持て余しながら、孫の顔を見るのを楽しみに過ごすごく普通のおばあさんになっていたようだ。目まぐるしい子育てをしている時も、ほぼ自給自足と言える畑仕事の合間を縫って、きちんと欠かさず手入れを続けた墓の下に眠る夫の元へ向かう日に思いを馳せているとかいないとか。
母方の田舎は、文字通りの田舎だった。電車が来るのは1日に数本。その最寄り駅に行くのすら、歩きではざっと1時間は掛かる場所に、祖母の住む家はあった。
まるで時代に取り残されたような、絵に描いたような古民家。大きな家屋をぐるりと植え込みが囲んでいる一方、勝手口は施錠されていない。大人数が賑やかに暮らしていた事が伺える広さも、子供たちが巣立ってからは無用の長物と言ったところらしかった。ほとんど使われていない部屋は幾つもあったが、中庭へ続く縁側のついた、南向きの六畳間を自室として宛がってもらった。
辺り一帯は主に田んぼか畑で、その向こうには大きな山が連なり、更にその上を広い空がどこまでも続いていた。入道雲なんかを浮かべたり、鳶を小さく飛ばしたりしながら。
もちろん近所と呼べる範囲に、家も幾つかはあった。山の頂から続く坂道に沿って歩くと、段々畑が刻まれる一方に、思い出したように旧い家々がぽつりぽつりと現れるのだ。住んでいるのは年老いた人ばかりで、全員が全員と知り合いのようだった。長い年月を助け合い、支え合ってきた反面、はみ出す事や輪を乱す事を頑なに良しとしないその風潮は、他所から来た子供でも十二分に感じ取る事ができた。
祖母の持つ畑は、家の前の坂を15分ほど下った所にあった。炎天下の急勾配を、農具を持って上り下りするのは大変だろうという事。それくらいは都会育ちの中学生の想像にも容易かった。また、世話になっている手前、老いた祖母がその身一つで働く姿を知らん顔しているのは憚られた。俺は祖母の後をついて行き、農作業を手伝うようになった。
じりじりと照り付ける太陽の下、俺は紫外線対策をしっかりとした格好で、トウモロコシ畑の中に居た。自分の背よりも高いトウモロコシ畑は、茎を掻き分けて進まないと一歩先さえ分からないような有様だった。
水やりをしっかりとしておかないと、あっという間に枯れてしまうのだと言う。体力を持て余す年頃とは言え、慣れない農作業というのは骨が折れた。
ざぶざぶと水を巻きながらしばらく進んでいると、前方でガサガサという大きな音がした。姿は見えないが、何かの気配。鳥なんかは、トウモロコシの天敵だ。
ひとまず様子を見ようとした瞬間、目の前のトウモロコシの隙間から、ぬっと人間の手が伸びてきた。驚いた俺は思わず悲鳴を上げて、その場に尻もちを衝いてしまった。
背の高いトウモロコシの茎を掻き分け、入道雲を背負って出てきたのは、これまた背の高い少年だった。麦わら帽子を被り、その上から手拭いを巻いていたが、着ているのはランニングシャツだった。
「おっと。」
少年はこちらに気付くと、自分も少しだけ驚いたように声を漏らした。
「居たのか。チビだから見えなかった。」
そう言って、先ほど俺を驚かせたその手を差し伸べてきた。土で汚れた、軍手を嵌めた手。少年とは言え、大人のように大きく感じられるそれをただただ見ている事しかできない俺に、彼は少し背を屈めて、顔を覗き込んできた。
「朝比奈のバァさん家に来た子だよな。」
眩しい陽光に目が眩んで、相手の顔はよく見えなかった。ただランニングシャツ越しにでも、精悍な体付きはよく分かった。ところどころ汚れた白いランニングシャツをそれでも眩しく思わせるような、日焼けした腕。
「ほら、手ェ貸せよ。」
そう言って、一度手を振る少年。チビと呼ばれた苛立ちや、驚かされた事への謝罪が一切無かった事への不満を思い出したのは、随分と後の事だ。伸ばされた手を握ると、強い力で引っ張り上げられ、半ば無理矢理立たされる形になった。また近付いた顔を見上げると、少年は愉快そうに笑みを浮かべて、俺の頭を撫でてきた。
「ん。やっぱりチビだな。」
二十四節気の一つ、立夏。夏の気配を感じる頃、世でいう子供の日の翌日に生まれた彼の名前だった。
その名に相応しく夏の気配を纏った彼は、病気なぞ知る由もなさそうに真っ黒に日に焼けて、シャツとズボンからむき出しになった手足が長かった。都会育ちの俺と違って、頑丈な体付きと大人顔負けの力、そして豊かな自然を愛する豊かな心を持っていた。人懐っこく、悪気の無い様子で、思ったことをそのまま口に出す性格でもあったが、村の大人達にはそこが気に入られているらしかった。
幸か不幸か、地方にしては珍しいと言うべきか一人っ子の立夏は、同じ村にはうんと小さな子供しか居らず、年の近い遊び相手が欲しかったようだ。年齢も少しだけ下で、背も低かった俺は、成り行き上、立夏の子分という事になった。
畑から祖母の家へ帰る途中に二叉に分かれた道があり、一方へ進むと祖母の家、もう一方へ進むと雑木林に差し掛かり、その先は古びた祠へと繋がっていた。
立夏に連れられて初めて訪れたその祠は、雑木林を抜けて少し拓けた場所にあった。この地を取り仕切る主が如く大きく生長した樹の根元に、ちょこんと建てられていたのだった。木陰には心地よい風が吹いており、真夏だというのにとても涼しかった。
トウモロコシの背より小さな祠の前には、誰が持ってきたのか生き生きとした花が飾られていたり、果物や小銭や線香が置かれていたりした。この場所には俺が村を離れるまで、何度も足を運ぶ機会があったのだが、立夏以外の誰かの姿を見る事は無かった。
子分ではあったものの、立夏が俺に何かを強要する事は無かった。それは、彼の中でまだ俺のことを、良いように言えば「お客様」、有り体に言えば「他所者」と感じる意識が抜けなかったからだろう。
まるで接待をするように優しく、それでいて幼い頃からの友人のように気さくに、何かと気に掛けてくれる立夏と居るのは悪い気がしなかった。たまにある不躾な物言いも、彼の裏表の無さからくる、彼なりの愛情表現なのだと早い段階で俺が理解できたのも、打ち解ける一因だったのだろう。
毎日一緒に行動するようになるまで、時間は掛からなかった。
祖母の手伝いと、実家から持ってきた宿題のノルマが終わったら、迎えに来ていた立夏に何処かへ連れて行ってもらう。雑木林の木に上って虫や鳥の巣を探し、山に登って大声で叫び、二人だけでかくれんぼや影踏みをし合い、川や池で釣りをしたりタニシやザリガニを取ったり、そのまま飛び込んで水遊びをしては、全身ずぶ濡れ、裸足で村の外まで続く坂道を一気に駆け下りてどちらが速いかを競う。小さな商店で買い食いをしたり、よその家に招かれてお茶菓子を貰ったりしながら過ごし、日が暮れてくると家に帰った。
たまに立夏が俺の部屋に泊まる事もあり、そんな日は祖母と三人で食卓を囲み、立夏と一緒に風呂に入った。蚊帳を取り付けた部屋に二人分の布団を並べてから、消えかけの蚊取り線香を焚き直し、縁側に腰を下ろして、満天の星空を見上げて話し込んだ夜もあった。
星と月明かりを受けた時の立夏の横顔は、昼間に見る汗だくで泥まみれの腕白な姿と違って、涼しげでかなり大人びていたように思う。風呂上がりで綺麗になった髪がさらりと夜風に靡き、真っ黒に焼けた肌が光を跳ね返して浮かび上がるような立夏の輪郭は、俺のすぐ隣に存在していた。
中学生の身でありながら、やっている遊びはほとんど小学生の子どもと変わらない。それでも冷めた目で見る事もなく、全力で楽しむ事ができたのは、遊び相手が立夏だったからだ。少し歳上で、体も大きな立夏に力では敵わない事実を痛感しつつも、対等であるかのように振る舞う事を許されていた。俺は立夏の子分だったが、同時に村で唯一の友達だったのかも知れない。
また、誰かの家の畑の収穫時期に、村の住人がこぞって手伝いに来るのは当たり前の文化らしく、立夏と一緒によその家での取り込みを手伝う事もあった。
祖母以外の相手とは挨拶もろくにできないような少年だった俺は、子分として立夏の後をついて回る事で、村での暮らしに少し慣れ、住人とも交流を持つようになっていった。
育ったトウモロコシを収穫する当日は、すっかり顔馴染みとなった面々が来てくれた。もちろん立夏も。
冷え込む夜の内にしっかりと糖分を蓄えたその実を、早朝から起き出して、茶色に縮れたヒゲを目安に一つ一つ折り取っていく。トウモロコシの収穫は二、三日が勝負との事で、それを逃してしまわないよう、動ける村人総出でやった。
「全部収穫しちゃったら、寂しくなるね。」
そうして半分以上の収穫が終わった頃、一度、畑の脇の畦道に出て休憩を取っていた。祖母が用意した冷えた緑茶を皆に振る舞いながら、俺は傍に座っていた立夏にそう声を掛けた。
「そうか?」
毎年の事だから、よく分からないという返事だった。それから立夏はコップに入った緑茶を一気に飲み干し、口元を腕で拭って、突き返してきた。
「もっと楽に通り抜けられるようになるんだよ。」
そう言われた俺は一旦祖母の元に戻り、自分も緑茶をコップに注いで飲んでから、再び立夏の方へ戻った。冷えた緑茶が喉を伝い、水分が体にすーっと沁み渡っていくようだった。
「あの時も通り抜けようとしてたんだっけ。」
立夏と初めて会ったのも、このトウモロコシ畑だった。軍手を嵌めていたので何かの作業中かと思っていたのだが、後で聞くと、立夏は様々な場所へ続く回り道と近道を知っており、あの時も別の家の手伝いへ向かう途中だったらしい。
「お前をビックリさせる事もなくなるな。」
「かくれんぼも出来なくなっちゃうね。」
何の気なしにそう言うと、立夏は俺を見上げてにやっと笑った。
「かわいいな、お前。」
立夏からスイカズラのオッチャンと呼ばれる年配の男性が、作業を再開するよう自分たちを呼ぶ声が聞こえた。
と、立夏は突然立ち上がり、俺の手を掴んで、畦道から勢いよく飛び込むように畑の中へ入っていった。まだ収穫されていない実をしなやかに薙ぎ、背の高い茎を掻き分け、倒伏を防ぐ支柱をすり抜けて、奥へ進む。真っ直ぐではなく、時折方向を変える立夏に手を引かれ、ついて行くのがやっとだった。
立夏は普段からこんな風にして、村中を縦横無尽に、そして自由自在に、駆け回っているのだろうと想像できた。葉と葉の擦れ合うガサガサという音が絶えず聞こえていた。
「リッカ?」
思わず呼ぶと、ようやく立ち止まった立夏が振り向き、唇の前に人差し指を立てた。
「シー…」
それから、きょろきょろと辺りを見回し、外から自分たちの姿が見えない事を確認すると、手を繋いだままその場へしゃがみ込んだ。
「かくれんぼだよ。」
釣られてしゃがみ込んだ俺に、立夏が小声で告げた。
「オッチャン達に見つかったら負け。」
細くなった目と目が合い、こちらまでクスクスと笑いが漏れた。その時、立夏の左の頬に虫刺されがあるのに気が付き、それがとても愛おしくなった。頼りになる立夏にも、蚊に刺されてしまうような隙があるのだと思ったのだ。
「また秘密の場所にでも連れて行ってくれるのかと思った。」
「秘密の場所?」
「ヤマノガミさんみたいな、リッカと僕しか知らない場所。」
聞き返してきた立夏に教えてもらった、あの祠のことだ。
しかし当の立夏は不思議そうに首を傾げて、淡々と告げてくるのだ。
「あそこは秘密じゃない。皆知ってる。」
そんな事だろうとは、思っていた。幾ら抜け道に詳しいとは言え村に生まれて十数年の少年と、村に来て十数日の少年が、大人の知らない場所を知っている筈など無いのだ。
それでも、誰が来る気配も無いあの場所は、まるで初めて手に入れた秘密基地のように思えて、子供心にワクワクしていた。たとえ供えられている物が、そこに置かれてから日が浅く新しい物だった事に薄々気付いていたとしても。
それを、そこへと案内した張本人の口から、皆が知っている場所と言われてしまっては、ロマンの欠片も無い。
如何にも面白くなさげに唇を突き出した俺を見て、立夏は少し困ったように笑った。
「秘密が欲しかったのか?」
「皆が知らないのに、自分が知ってるっていうのは、ワクワクする。」
そう答えると、立夏は視線を逸らして、何かを考えるようにしたあと、
「じゃあ、今から作ろうか。オレたちの秘密。」
「作る?」
「オレとお前だけが知ってる事は、二人だけの秘密になる。」
立夏の提案により、秘密基地への憧れは、内緒話のワクワク感へと変わっていった。また一方で、オッチャン達が自分たちを探しつつ、収穫作業に戻っているのが聞こえ始めた。
「秘密を教えてくれるの?」
「教えるんじゃない、作るんだよ。」
「どうしよう、何ができるかな。」
早くしなければ、オッチャン達に見つかってしまうかも知れない。見つかったからと言って、何をされる訳でもないのに。かくれんぼで見つかってしまう事は、"負け"すなわち敗北を意味する。それが、少年心にどうしても避けたい物だったのかも知れない。
焦りを募らせる俺を前に、立夏が思い付いたように口を開いた。
「じゃあ、これがオレたちの秘密。」
そう聞こえた時には、唇が触れていた。触れるどころか、掠めただけのようにさえ思える程度の、キス。今までで一番近い位置に、立夏の顔があった。長い睫毛と、細かい肌理の整った肌で視界が覆われてしまい、何をされたのか理解する前に離れてしまうほど、一瞬の出来事だった。
ぽかんとしている俺に、立夏が訊ねてきた。顎を引き、上目遣いになって、少しはにかむような表情を浮かべて。
「なあ、誰かとキスした事、あった?」
慌てて首を振った。想像しただけでも顔が熱くなるような、純真な子供だったのだ。そんな俺の反応を見て、立夏は白い歯を覗かせて笑った。
「すげー、顔真っ赤。」
からかうように言いながら、繋いでいた手を離してそっぽを向いてしまった。多分、立夏の方も照れていたのだろう。髪の先に、汗の雫がぷっくりと膨らんでいた。
そこで初めて、状況を飲み込めたような気分になった。立夏にキスをされてしまったのだ。
嫌悪感や、それに似た感情は無かった。照れ臭さと気恥しさでにやけてしまう顔を、思わず両手で押さえた。熱があるように思うほど熱くなった顔に、自分でもその熱さに驚いていた。
「リッカだって耳赤いよ。」
俺は両手で顔を冷ますようにはたはた扇ぎ、何とか平静を取り戻そうとした。
「ねえ、リッカも初めてだったんじゃないの?」
立夏はしばらく顔を見てくれなかった。俺の問いにますます耳を赤くして、眉の辺りの輪郭をぴくりと動かすだけだった。
別の村の高校に通っているという話だったが、それも夏休み中で友人に会えるわけでもない。ましてや立夏に、そんな相手が居るという話は聞いていないし、もしも相手が居れば俺と毎日朝から晩まで一緒に過ごす選択肢は無い筈だった。
「リッカってば。」
肩に手を置いて呼び掛け、ようやくこちらを向いた立夏に今度は自分から唇を重ねてやった。すぐにでも離したくなるのをぐっと堪えて、立夏にされたのより少しでも長くするつもりだった。
「これで、おあいこってことね…」
してやったりという気分で顔を離し、驚いて固まっている立夏に向かって、満面の笑みで笑ってやった。子分という立場ながら、心の何処かでいつか立夏に勝ちたいと思っていたのだろう。そんな俺の小さな優越感を満たす、下剋上のつもりだった。
と、体ごとこちらに向き直った立夏が、いきなり二の腕を掴んできた。驚いて身を捩るも、力で立夏に敵う筈もなく、抜け出せそうにない。
「ん!」
そのまま、噛み付くようにキスをされた。それからはまるで競うように、むちゃくちゃに。背の高いトウモロコシの陰に隠れて、畑のど真ん中で、明白なルールのない競争にもつれ込んで、どちらが長く相手にキスをしていられるか、試されているようだった。
「だめ。目は閉じて。」
言われるがままに目を閉じると、また唇を重ねてくるのは分かっていた。そのまま、何度かむにむにと柔らかく乾いた感触があった後、今度は濡れた感触があった。唇を舐められているのだと理解したのは、濡れた後に少しだけひんやりとした感覚があったからだ。立夏はそのまま、舌を入れてきた。口の奥はまだ少しひんやりとしていて、緑茶の匂いが鼻に抜けていった。
逃がすまいとするように後頭部に回ってくる立夏の手は、軍手をしていなかった。直接触れる手の動きを髪が伝えて、毛根から頭皮を擽られるようにされると、ゾクゾクとした感覚が首の後ろまで広がった。
徐々に日が昇り、明るくなってくる頃には、お互いに軍手を外した素手を回して、汗だくで土まみれの体を触ったり、撫でたりしながら、体の大きな立夏に覆いかぶさられる体勢になっていた。そうしようと思ってやっていたわけではない。ただ自然とお互いを求めるような形になっていったのだ。
ほんの数メートルの距離で高い茎を掻き分けるガサガサという音と、話し声が聞こえた事で、ようやく我に還った。慌てて起き上がり、体についた土を払っている間も、心臓が痛いほどバクバクと脈打つのを感じていた。そして、お互いに無言だった。
つい先程まで文字通り目と鼻の先にあった立夏の顔を見ると何食わぬ表情を浮かべており、それが何とも滑稽だったのをよく覚えている。
再び立夏に手を引かれ、俺も立夏の真似をして、何事も無かったかのような表情を作りながら、畦道へ出て農具を取りに戻った。
その日の分はほとんど終わりかけていた収穫作業に再び合流し、茶色に縮れたヒゲを探すふりをしながら、立夏の姿を目で追っていた。顔を上げた立夏は俺の視線に気付くと、右手の人差し指を立て、自分の口元へ持っていった。
お互いが初めての相手だったという事も含めて、立夏と俺が初めて作った、二人だけの秘密だった。
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