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23よっし、これで準備万全だといい

「やってみるもんだよなぁ」  俺とサシュは味方を増やすという考えになって、その相手に精霊を選んだがまさか、全属性の精霊が味方になってくれるとは思わなかった。俺って精霊だけに効くフェロモンでも出してるんだろうかと、ちょっと馬鹿なことを考えてしまった。 「サシュ、全属性の精霊が味方についてくれたぜ。マジで感謝しかないな、これっ」 「凄いですね、さすがは”疾風”の……、これからは”精霊使い”のカイトと呼ぶべきでしょうか」 「どっちも呼ばなくていいから、二つ名なんて気にしなくていいから」 「でもこれでカイトには味方ができたんだから、よーしっ。トレンデの街へ行きましょう!!」 「待て、おい。”トレンデの街に行きましょう”じゃないよ。俺はこれから訓練だよ、サシュ」 「それは一体、何の訓練ですか?」 「それぞれの精霊の力を引き出す訓練だ、これをしないと何ができて何ができないか分からん」 「なるほどなのです」  俺とサシュはまず冒険者ギルドの鍛練場を出て、ミルヒの街の外の森に囲まれた人気のない草原にいった。俺はサシュに誰か来ないか見張っててくれるように頼んだ、サシュもうんうんと元気よく頷いた。 「風はともかく、光は復習しておこう」  俺は風の精霊は使いまくっていたが、光の精霊はあまり使って無かったのでその力を復習することにした。すると怪我の回復や、アンデッドへの浄化ができることが分かった。前者はなんとなく分かっていた、俺がいつも怪我が無いのは光の精霊が力を貸してくれていたからだった。他に結界をはれることが分かった。 「お次は火からだな」  火の精霊は基本的には風と同じだった、物を斬るときに沢山の炎でできた刃を生み出せるし、火属性のバリアもはれるしあとは当たり前だが物が燃やせた。 「次は水だな」  水の精霊も基本的には風のと同じだったが、一点だけ違うところがあった。水をかなり集中させると岩でも鉱石でも一刀両断してしまうのだった、工場なんかで硬い物は水を集中させて切るのを知ってたからできた芸当だった。 「次は土だな」  土は風や火や水のように切る時に複数の刃を生み出したりできなかった、でも地面の中を自由に掘って進んでいけたしその地図を作ることができた、ゴーレムみたいな大きなものでも作ることができた。 「最後は闇だが」  闇は使い方が最初さっぱりだったが、闇の中にもぐれることに気がついた。どういう空間になっているのか分からないが闇と闇とは繋がっていた、俺は以前訪れたトレンデの街の宿屋の暗闇に出ることができた。かといってどこでも行けるのかと思うと、以前に訪れた場所の影にだけ行けるようだった。ちなみに俺だけじゃなくて、サシュを一緒に連れていくことができたので助かった。 「できることは大体わかったな、あとはスムーズに力を使う訓練だ!!」 「はいなのです、僕はここが他の人から見つからないように見張るのです」  こうして俺は新たに手に入れた四属性の精霊の訓練に明け暮れた、そうして一週間ほど真面目に訓練していたのだが、サシュが真っ赤な顔をしてこう言ってきた。 「カイト、僕にも構ってください。カイトが触ってくれないと僕なんか体がうずいてしまいます」 「ああ、サシュ。放っておいてごめんな、今日は可愛がってやるからな」 「はいなのです、いっぱい可愛がってください」 「んー、可愛い。とっても可愛くて美味しそうだから食べちゃおう」  そうやって可愛いサシュが誘ってきた日はサシュを宿屋で散々あんあんなかせた、例えばこんなふうにサシュをとっても可愛がってやった。 「やぁん、カイト。そんなに乳首を舐めたら、真っ赤になってしまいます」 「でも、気持ち良いんだろ」 「カイト、立ったまま後ろから素股って犯されてるみたいです。あっ!! やぁ!! ああ――っ!!」 「すっげぇ興奮してるな、サシュ。丸見えだぞ」 「もうらめぇ!! もう出ません!! 出ないのです!! ああっ!?」 「サシュのうーそつき、まだ出るじゃないか」  そうやって六日間は訓練、一日はサシュを可愛がる日にして、日々が過ぎていった。完璧とは言わないが俺が四精霊の力を把握するのに二月はかかった、それでもまだつけやきばのような気がしてならないが、いつまでも訓練ばかりしているわけにもいかなかった。他に俺たちの正体を隠すのに必要な物、黒くて動きやすいローブや目元を隠す仮面を着けて一応は準備万端となった。 「それじゃ、トレンデの街の誘拐組織に忍び込んでみるか」 「はいなのです!!」 「サシュ、その前に言っておくぞ。今回は人を大勢殺す、驚かずに俺についてこいよ」 「もちろんです、覚悟しているのです」  俺が真剣な表情でそう言うと、サシュも真剣な眼差しで俺を見つめ返したきた。俺はそんなサシュに向かってこう言った。 「でもその前にサシュ、ディープキスさせて」 「え? カイト!? うぅぅ!!」 「あいかわらずちっちゃい舌が可愛いな、うんもう少し。んくっ」 「ううぅ、はぁ、あの、やぁう、うううっ――!?」 「よし、サシュの充電も完了だ。さぁ、いざゆかん。トレンデの街の誘拐組織へ!!」 「僕の充電って一体なんですか!? ああ、もう乳首やお尻まで触って!?」  見も知らない人間を助けようというのじゃあ、俺のテンションが上がらない。俺は正義の味方じゃないし、それぐらいなら可愛いサシュの為に頑張るという目標の方がやる気が出た。サシュはプンプンと可愛く怒っていたが、大人しく俺の腕の中に入ってきた、そうして俺たちは夜の闇の中に沈んでいった。 「さぁ、トレンデの街だ。サシュ、ここから誘拐組織がある山まで俺につかまってろ」 「以前に泊まった宿屋の裏ですね。はい、カイトにしっかりとつかまっています」 「一日ですべて終わるとは思えん、何度か侵入することになるかもしれん」 「大きな組織なら当然です、でもできるだけ早く済むといいですね」 「敵さん次第だな、行くぞ!!」 「はいなのです!!」  トレンデの宿屋の裏から空に舞い上がって、俺は空を飛んでトレンデの山を目指し始めた。しばらく飛んでいたが灯を見つけたので舞い降りて、今度は闇の中に潜ってそこにいる奴らの話を聞いてみた。 「今夜の生贄の儀式も終わったようだぜ」 「いったい、いつまでかかるんだ!!」 「分からん、神官の連中はだんまりだ」 「生贄にする奴隷の調達も難しくなってきている」 「かといって住民を攫うと調査が厳しくなるぞ」 「奴隷なんてくずだから、街の警備が真剣に動かないんだからな」  はい、俺的判定でこいつら死刑決定だ。俺は闇の中から出て敵が何も言えないでいる間に、風の魔力をこめて黒のロングソード振り下ろした。ここにいた敵は全員が死んだ、サシュはそんな俺に抱きついていた。そして、こう言った。 「うぷぅ、慣れなければ……。あっ、地図があるのです」 「おっ、奴隷の隠し部屋が書いてあるじゃん。偉いぞ、子猫ちゃん」 「はい、”精霊の加護を受けし選ばれた者”さん」 「………………子猫ちゃん、いくら名前がバレないようにとはいえ、それどうにかなんない? 恥ずかしいうえに無駄に長いんだけど」 「大丈夫です!! ”精霊の加護を受けし選ばれた者”さん」 「そうかなぁ、俺はいろいろ突っ込みたいよ」  本名ではいかんとお互いに偽名を決めておいたのだが、サシュの俺の呼び方が酷かった。”精霊の加護を受けし選ばれた者”どこが選ばれているのか、いや精霊にはえらばれたけどさ、それでも他にもっといい名前はなかったんかーいと思った。ちょっと本当にこの呼び方は酷くねと俺がサシュに抗議したのだが、最終的にじゃんけんで負けてそのまま俺は”精霊の加護を受けし選ばれた者”になってしまった。 「先行きが不安なんだけど……」

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