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「それじゃあ、またね」
「またね~」
翌朝。父さん達が帰っていくのを見送りながら、俺とエヴァンは寂しさを感じずにはいられなかった。
「まさくん、また来てくれたらいいなぁ」
「そうだな」
正樹との楽しい休日や賑やかな誕生日会に思いを馳せながら、玄関からリビングにエヴァンと一緒に戻った。
朝食の後片付けをしようと食器を持つと、エヴァンにそれを奪われた。
「俺が片付けておく。もう準備しないとだろ?」
「エヴァン……うん!」
彼の言う通り、もうすぐ出ないといけない時間だった。
「ありがと!」
静かに微笑んでキッチンに食器を持っていく彼の優しさにじんわりと胸が暖かくなった。
前にも増して頼らせてくれるエヴァンへの愛おしさを噛み締めながら自室に向かった。
着替えて荷物を持ち、出掛けようとしたところで、ふと昨日エヴァンから貰ったばかりのスニーカーの箱が目に入った。汚したくは無いけれど、履かずに取っておくのも勿体ない。せっかくだから今日だけ、そう思って蓋を開けた。
「じゃあ俺、行ってくるね」
部屋を出て、キッチンで洗い物をしているエヴァンの後ろ姿に声を掛ける。
「あぁ、そうだ……」
振り返ったエヴァンは、食器を置いて手を拭くと、こちらに歩いて来た。
「どうかしたの?」
「今日はまっすぐ帰って来るんだぞ」
近くにやってきたエヴァンは、そんなことを言って不敵に微笑んで見せる。
「うん、そうするけど。なんかあったけ?」
今夜は何か約束していただろうかと思い起こすが、思い当たる節は無い。
「昨夜俺を焦らした分、きっちり返さないとな」
首をかしげていると、腰を引き寄せられ耳元で囁くように言われて、かーっと顔が熱くなった。
そんな俺の反応に満足そうにして、エヴァンはふっと笑い頬にキスをして来る。
「だから、早く帰ってくるんだぞレオ」
「う、うん!」
クールで落ち着いた彼の、真っ直ぐな愛情表現にはまだまだドキドキさせられてしまう。
「じゃあ、行ってくるね」
「あぁ、いってらっしゃいレオ」
エヴァンの優しい微笑みにうっとりして、今夜の甘い期待に胸を踊らせながら玄関に向かった。
憧れのスニーカーに足をいれる。履き心地もよく、しっかり足に馴染む。何よりもエヴァンから貰ったということが嬉しくて、つい笑みが漏れてしまう。
玄関の扉を開け、外に出ると朝の澄んだ光が照りつけた。快晴の空は雲もそれほどなく青空が広がっている。
今日もいい天気になりそうだ。
「いってきます」
もう一度そう呟いて家を出た。
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