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温度差【3】

――思い出した。 そうだ。 初めて彼の手をつかんだ時も、こんな風に大げさともいえる様な反応をした。 あの時は手をつなぐことへの不慣れさからくる緊張だったが、今は警戒心からだろう。 遠まわしな拒絶を気が付かない不利をして、睨むように見上げてくる顔に無邪気で鈍感な笑みを返し、半ば強引に手首を握りなおした。 あぁ、緊張してる 手首がやけに熱く、掌が汗ばんでるのか肌全体が少しだけ湿度が高く感じた。

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