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苦手なはずなのに、俺はこの男と付き合っている。恐らくこの関係は誰にも理解が追いつかない気がするけれど、俺はきちんと恋愛感情を抱いている。
普段はちゃらんぽらんとも言える一輝であるが、物事に真剣に取り組む姿は惚れぼれとする。俺が恋に落ちたのはそんな姿だった。
「あーもー、限界だ!」
人通りの少ない道を歩きながら突然叫んだ一輝は、買ったばかりの棒アイスを取り出して食べ始めた。
「んまー」
「まったく……。研究室でゆっくり食べるんじゃなかったのか?」
「無理、アイスが溶ける気がする」
「そうか……?」
そう言って俺は、とぼけたふりをして一輝の棒アイスに顔を寄せる。そしてすぐに一口かじる。
「ちょっ、俺の!」
ジャリジャリとする氷菓は、さわやかな風が身体を通り抜けそうなほどに冷たかった。
「うん、美味いな」
「減ったじゃねーか。どうしてくれるんだよ」
「どうしようね。とりあえず研究室戻る」
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