2 / 4

2

 苦手なはずなのに、俺はこの男と付き合っている。恐らくこの関係は誰にも理解が追いつかない気がするけれど、俺はきちんと恋愛感情を抱いている。  普段はちゃらんぽらんとも言える一輝であるが、物事に真剣に取り組む姿は惚れぼれとする。俺が恋に落ちたのはそんな姿だった。 「あーもー、限界だ!」  人通りの少ない道を歩きながら突然叫んだ一輝は、買ったばかりの棒アイスを取り出して食べ始めた。 「んまー」 「まったく……。研究室でゆっくり食べるんじゃなかったのか?」 「無理、アイスが溶ける気がする」 「そうか……?」  そう言って俺は、とぼけたふりをして一輝の棒アイスに顔を寄せる。そしてすぐに一口かじる。 「ちょっ、俺の!」  ジャリジャリとする氷菓は、さわやかな風が身体を通り抜けそうなほどに冷たかった。 「うん、美味いな」 「減ったじゃねーか。どうしてくれるんだよ」 「どうしようね。とりあえず研究室戻る」

ともだちにシェアしよう!