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第5話
「その……色々と無理をさせてすまなかった」
翌朝、ベッドでコーヒーを飲みながら、ケインが心から謝罪した。
「は……はは」
力なく笑うトニーは、体中につけられたキスマークに途方に暮れている。
普段はおよそ取らないアクロバティックな体勢を続けたので、さすがに鍛えられたトニーの身体も、もはやガクガクだ。
「今日が休みで本当に良かった」
「君、まだ帰らないだろう? トニー?」
「帰りたくても動けねえよ」
「え、帰りたいのかい?」
悲しそうな顔になったケインの頭をトニーは微笑んでその頭を撫でた。
「いまは泥のように眠りたいところだな……」
「トニー」
頭を撫でられ、うっとりした顔でケインが囁く。
「愛してる」
「ああ。俺もだ」
それからふたりは、昼過ぎまで眠り──なんということのない二人の秘事はそうして過ぎていった。
──ああ……どうして、こんなにも。
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