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3-B 溺愛生徒会長×1-A 従順書記
溺愛生徒会長 加賀谷 イツキ
従順書記 花井 ユウ
☆一目惚れした生徒会長が強引に書記にしました。
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男だけの花園。金犀 学園。
三年生になるまで恋人ができなかった俺の前に、突如彼は現れた。
初々しい一年生の集団の中、そこに俺だけの花を見つけてしまった。
「──君!」
とにかくその時の俺は舞い上がっていて、声をかけずにいられなかった。
「名前は?」
おい、これじゃまるで戦後間もないラジオドラマじゃないか。
「ぼ、僕……ですか?」
その花は、大きな瞳を見開いて可憐な唇から鈴が鳴るような声を漏らした。
「花井、ユウです……」
はない ゆう
俺はその名を胸の奥まで刻みつけた。
「花井くん……」
「え、えっと……三年生の人ですか?」
戸惑っている。なんて可愛いんだ……
ダメだ! まだ触るな!!
俺はそんな自分との葛藤を制して、努めて先輩らしく自己紹介した。
「急に済まない。俺は今期の生徒会長・加賀谷イツキ」
「加賀谷、先輩……じゃなくて、会長ですか……」
不覚にも、己の名を呼ばれて俺は頭が真っ白になった。
白くなっていく頭で、それでも俺は懸命に考えた。
彼をここで逃してはならない。なんとか繋がりをもてないか──
!
その時のヒラメキを、俺は一生自画自賛することになる。
「君、生徒会に入らないか?」
◇ ◇ ◇
「会長! 先週の会議の議事録、出来上がりました!」
にこやかな笑み、軽やかな足取りで、生徒会書記の一年生・花井ユウは奥の席で作業中の生徒会長に声をかけた。
「ああ、ありがとう、花井。早く上げてくれて助かるよ」
悠然に笑って議事録を受け取った生徒会長・加賀谷イツキの胸中が、「ユウ可愛いユウ可愛いユウ可愛い」で埋め尽くされていることは誰も知らない。
「いえ! あの、ワガママを言って生徒会室を開けていただいてすみません!」
ユウは恐縮しながらイツキに向かってペコリと一礼した。
なんて可愛い仕草なんだ、という気持ちをイツキは絶対に出さずに応える。
「いや、構わない。ちょうど俺もやっつけてしまいたい書類があったからな」
今日は生徒会の活動日ではない。それなのに、イツキとユウは仕事をしていた。
ユウが、自分は不慣れだから議事録の作業をしたいとイツキに申し出たからだ。
先週の会議の録音は生徒会室のパソコンに入っていて、持ち出すことは出来ない。
サラリーマン風に言えば、ユウは休日出勤を願い出たのである。
今日、生徒会室を開ければ二人きり……だと?
そんな煩悩に支配されたイツキが、これを断るはずはなかった。
もっとも、ユウのおねだり(イツキ的にはそう表現したい)を断ることなどそもそもあり得ないのだが。
一年生にだけ仕事を押しつける訳にはいかない。
自分は生徒会長として、他の役員を監督する責任がある。
そんなもっともらしい論理で武装して、イツキはまんまとユウと放課後デート(イツキ的にはそう表現したい)を実現した。
「会長の方はまだかかりますか?」
「ああ……うん、そうだな……まあ、それなりに……」
やっつけてしまいたい書類などはない。
イツキはパソコンの画面越しに、一生懸命に手を動かすユウの横顔を覗き見していただけ。
白紙の文書ファイルを見られないように、イツキは生返事で切り抜けようとした。
「それじゃあ、僕、お茶淹れますね」
「あ、ありがとう。花井は先に帰ってもいいんだぞ?」
嘘だ!
帰らないでくれ!!
心とは裏腹に格好つけてしまう自分を、イツキは呪わしく思った。
「とんでもないです! 僕が無理を言って開けてもらったんだから、お手伝いします!」
真面目で従順なユウがそう言うと、イツキは内心で飛び上がって喜ぶも、それを顔には出さずにまた格好つける。
「そうか。ありがとう。じゃあ、とりあえず紅茶を入れてくれるか? 一番いいやつ……皆には内緒だぞ」
「はい! 美味しく淹れますね!」
心なしか、ユウが頬を染めた気がする。
可愛い可愛い可愛い。
イツキは荒くなりそうな息を懸命に堪えて、備え付けの給湯室へと向かう小さな背中を見送った。
しばらくして、アールグレイの芳醇な香りが生徒会室に漂ってくる。
ユウは来客用のカップを二脚、トレイに乗せて持ってきた。置いてある個々のカップでは高級茶葉を味わうには役不足だ。
「えへへ、これ、使っちゃいました」
悪戯っぽく笑うユウの仕草は全てが可愛くて、イツキは発熱しそう。クーラーの温度をこっそり下げた。
そうしているうちに、ユウがイツキの机まで歩いてくる。
マズイ!
パソコンの画面が白いことに気づかれる!
イツキは慌てて立ち上がった。
「は、花井! お茶はそっちのソファで飲もう!」
「え?」
イツキが指さしたのは、来客を迎える応接セットがある一画だ。
ユウが立ち止まっているうちに、イツキはツカツカとそこに向かって先にソファに腰掛けた。
「こちらで休憩しよう。……おいで」
イツキは三人掛けのソファの端に座り、大人びた笑みでもって隣をポンと叩いてユウを招いた。
すると、ユウはまた頬を紅く染めて頷く。
「は、はい……」
方向を変えたユウがこちらにやって来る。
結果オーライの大チャンス到来かもしれない、とイツキは思った。
現在の暦は七月に入ったばかり。もうすぐ夏本番である。
イツキは、夏休みが始まる前にどうしてもユウと恋人になりたかった。
ただの先輩後輩のままで、長い休みを過ごすなどもっての外。
誰にも邪魔されずに、夏休み中はずーっとユウとイチャイチャしたいのだ。
そうなるためには、この想いを告げなくては。他の役員がいない今日こそ、大チャンス!
隣にそっと座るユウは、少しいつもと違う。仄かに頬を染めて、恥じらっているように見えた。
「どうぞ、会長」
ユウが差し出してくれた紅茶を、イツキはゆっくりと味わった。
「……うん、美味しい。上手に淹れてくれたな」
鼻腔をくすぐる芳香に後押しされて、イツキはユウに微笑みかけた。
「えへへ……良かったです」
ふわっと笑う笑顔と、柔らかく揺れる前髪。
緩いウェーブがかかった茶色い髪に触れて、掻き上げて匂いを嗅ぎたい!
落ち着け、加賀谷イツキ。第五十五代生徒会長よ。
段取りが肝心だ。早まってはいけない。
イツキはバクバク煩い心臓音から懸命に意識を逸らし、ユウに問いかけた。
「花井。……君は、夏休みの予定などは、あるのか?」
「いえ、特には。うちは両親が共働きなので長い旅行も行けないですし」
「そうか……」
細かすぎる関門を突破して、イツキは心の中で拳を握る。こんなに刻んでいたらいったいいつ告白できるのか。
「会長は、受験勉強とかでお忙しいんですか?」
ユウが俺に興味を持っている! なんて可愛いんだ!
イツキは嬉しさで放心しそうになるのを堪えて、努めて普通に振る舞おうとした。
「いや、そうでもない。俺は大学も金犀だから。内申点も満たしているはずだし、何もなければ推薦がとれるんだ」
「そうなんですか? さすが会長です!」
ユウはキラキラした眼差しを向けて言った。ちょっと可愛いが過ぎる。
伸ばせば届くその手を握って、抱き寄せたい。
イツキは抗いがたい衝動と戦っている。
「僕、夏休み、あまり楽しみじゃなくて……」
「どうして?」
俯きがちに、ユウは顔をますます赤らめて、覚悟を決めたように言った。
「一月以上も、会長に会えないなんて……」
「!」
イツキの心臓はバックンバックン騒ぎ出していた。
「僕、会長に生徒会に誘っていただいて、すごく嬉しかったんです。会長のお役に立てるのが──必要とされるのが嬉しくて」
イツキの脳裏には春からの走馬灯 が駆け巡る。
書記の仕事を懸命に覚えようと頑張っていた四月。
初めての部活動予算会議で議事録作成に取り組んだ五月。
衣替えを迎え、半袖の下から細くて白い腕が見えた六月。
そして七月、いや、これからは……
「必要だ、花井」
「会長……?」
イツキは、ユウの腕を掴んで引き寄せた。
初めてその頬に触れる。柔らかくて、とても温かい。
「夏休みになっても、俺には花井が必要だ」
「え、と……」
大きな瞳が少し揺れてイツキを見ていた。
「夏休みが終わっても、秋になって冬が来ても、卒業しても……俺には花井が、ユウが必要なんだ」
ユウの瞳には、イツキしか映っていない。それはイツキも同じ。ユウしか見えない。
俺達の想いは、同じだ。自然とそう思えた。
「ずっと、一緒にいて欲しい。君が、好きだ」
「会長……」
ユウは泣きそうな目で、笑っていた。
その表情は、今までで一番美しい。
「もう、会長なんて呼ぶな……」
イツキはユウの唇に親指で触れる。熱くてしっとりとした感触が、イツキの胸を昂らせた。
「イツキ……さん」
「ああ。ユウ……」
やっと呼んでくれた。その響きをイツキは噛み締めながら唇を寄せる。
ユウの唇は、紅茶の香りを帯びて、甘美な言葉を紡いだ。
「大好き、です……」
「ありがとう……」
甘い紅茶の香りが、ユウの唇から伝わる。
初めてのキスに、イツキは酔いしれながらユウを深く求めていった。
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☆ BONUS TRACK ☆
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「ん……」
初めてのキスは、甘くてとてもいい香りがした。
イツキは惜しみながらも唇を離す。
視界に飛び込んできたのは、耳まで真っ赤になった「恋人 」だった。
「あ……わわ……」
ユウの瞳は焦点が合わず、脳内のキャパオーバーで湯気を出さん勢いだった。
そんな可愛い反応をされたら──
「ユウ……」
「は、はひっ?」
「もう一度、キス、していい……?」
──止まれなくなる。
「ふわっ、あっ……んん!」
慌てるユウの返事も聞かずに、イツキはまたその唇を奪った。
「んっ、んぅ……」
何度も吸い付いて、柔らかな感触を楽しんだ。
その瞳が蕩けるような色になった頃、イツキはその口内にそっと舌を挿し入れる。
「あっ、ふぁ……んぁ……っ!」
小さくて可愛らしい舌が、戸惑いながら震えていた。
だけど、それは次第に熱を持ってイツキを受け入れる。
「う……んぅ、はっ、あぁ……」
ユウの力が抜けていくのがわかった。
イツキはその体をゆっくりと倒していく。ソファが少し軋んだ。
「あ、会長……」
覆い被さった顔は、少し涙目で。
快感というものを初めて知ったユウは、熱に浮かされたように呟いた。
「会長、じゃないだろう?」
イツキはその桃色の頬に触れて、少し意地悪く微笑んだ。
するとユウは更に瞳を揺らして恥ずかしそうに言う。
「い、いつき……さん」
辿々しい発音が、イツキの心を更に昂らせた。
「いい子だ」
「ああ……」
そうしてまた口付ける。
ユウは今度は素直に口元を開けて、イツキの舌を受け入れた。
「あ……あふ、ぁ……」
ちゅ、ちゅ、とお互いの唇を愛撫する音が室内に響く。
二人の動きに合わせてソファの革も軋む。
「んん……んぁ……」
永遠に、こうしていたい。
いや、もっと深くユウを知りたい。
「あっ! イツキさん……ッ!?」
イツキはユウの胸元を弄 った。夏服のシャツの上からでも、そこが敏感に震えるのがわかった。
「あ、だめ……っ!」
ユウの乳首は少しずつ固くなり、シャツが擦れるのとイツキが摘むのとで高い声が漏れた。
「あぁっ! やあ……っ!」
透けて見えるピンク色に、イツキは生唾を飲む。もっと触れたい。
イツキはユウのシャツのボタンを上から外していった。
白い肌が露わになって、胸のピンク色がいっそう際立っている。
ユウは身を捩りながら恥じらった。
「は、恥ずかしい……です」
「可愛いよ、ユウ……」
イツキはシャツを開いて、右の乳首に唇を寄せる。
ぷっくりと立ったそれは、イツキの舌に転がされてピクンと震えた。
「あっ、ああっ」
ユウの可愛らしい嬌声は、イツキをどんどんと煽っていった。
イツキは乳首を吸いながら、背中や腰を撫でてシャツを緩めていく。
「あ……ん、あっ……」
肩までずれたシャツは、捩れてユウの細い体を次第に曝け出す。
白い肌は、だんだんと熱を持って桃色に染まっていった。
「イツキさん……僕、どうなっちゃうの……?」
か細い声で尋ねる声は、既にその答えを知っているようだった。
「ユウ……もっと、気持ちよくしてあげるよ」
イツキは言いながらユウのベルトを緩めて、股間のチャックを下ろす。
すぐにその手に熱いものが触れた。
「あ……や、怖い……」
ユウの緊張が伝わる。しかし、その下半身は既にイツキに解放されるのを待っていた。
「大丈夫、優しく触ってあげる……」
そう言ってから、イツキはユウのズボンを下げて、パンツも一気におろした。
「ああっ!」
ユウの小さな悲鳴がイツキの耳をくすぐった。
一瞬それに気を取られたけれど、イツキはすぐに視線をユウの下半身に戻す。
「ユウ……可愛い……」
桃色に染まって、少し濡れ始めているユウ自身が震えていた。
「あ、もう……こんな……」
ユウにも、それが勃ちかけているのがわかったのだろう。
恥ずかしさでイツキのシャツの肩口をキュッと握った。
「ああ……ユウの、いい匂いがするね」
「やだ……恥ずかしい、です……」
「すごく、可愛いよ……」
イツキは込み上げる愛しさとともに、ユウを握った。
するとユウは敏感に反応して、腰をビクと震わせる。
「あ! ああ……っ」
イツキの手が擦り、先端を絞ると、ユウは更に腰を震わせて声を上げた。
「はぁ! あ……んあっ、あん……」
手の中のユウは、熱く固くなって、踊るように震えた。
このまま出すのは、もったいないと思った。
イツキは、ユウの全てが欲しかった。
そう思った時、イツキは躊躇いもなくユウをその口で咥えていた。
「あっ、いや……まっ、ああ……」
根本は指で擦りながら、イツキは先端を舌で丁寧に舐 った。
ユウはその動きに合わせて、高い声を漏らす。
「あっ、ああん、あっ、あっ……!」
なんてエロ可愛い……
こんな一面があったのかとイツキはユウを舐めながら思っていた。
「あ、イツキさ……ぁ、も、だめ……」
口の中のユウが更に熱くなっていた。限界が近いのがわかる。
「出ちゃう……あっ、あん……」
イツキは、ユウの全てが欲しい。
「あう、ふぅ……ぅう……ッ!」
ユウの腰がいっそう激しく揺れた。同時に蜜が溢れる。
ビクビクと体を震わせながら、ユウはイツキの口内に全てを吐き出した。
イツキはそれを残らず飲み干す。ユウを手に入れた快感と嬉しさで体中が震えた。
「は……あぁ……」
熱い息を吐きながら、ユウの力が抜けていく。
イツキはその顔を覗き込んで、頭を撫でた。
「イツキさん……好き……」
うわごとのように呟き、イツキの手に顔を擦り寄せるユウの姿は、この上なく愛らしかった。
「好きだよ、ユウ」
ああ。幸せだ。
やっと手に入れた、俺だけの花。
「ねえ、イツキさん……」
「ん?」
「夏休みは……こういう事して、過ごすの……?」
正真正銘のおねだりだった。
イツキは頭を撫で続けて答える。
「そうだよ、四十日間、少しずつ……ね」
「ふわぁあ……! そんなの、恥ずかしくて、気持ち良くて……どうしよう」
大丈夫。
「ゆっくり、してあげる……よ」
君との日々はこれから始まるのだから。
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