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はじまり

………… ………………… 「先生…トイレ行きたいです」 「おはよう?早いね」 5:30か……たしかに早く起き過ぎちゃった…… ・ ・ ・ ベッドから5メートル程しかない距離感なのに身体が怠いともの凄く遠くに感じる 先生に腕を掴んでもらいながらゆっくりゆっくりトイレへ向かった ………疲れた 便座に座り大きく深呼吸を2回 ………… …………ふぅ…… 「……やっぱり出ないからベッドに戻りたい……」 「諦めるの早すぎ。もう少し粘って」 目の前で仁王立ちされたら出る物も出ないよ…… でもまぁ……頑張ってみようかな…… ふぅー…… ……力を抜くと出るって教えてもらったからいつもやってるけど、たまにしか上手くいかない グイグイっ 「!!!」 「しっかり溜まってる」 しれっと膀胱押してきた……力強いし…… 「痛いからいや」 「用手圧刺激って言ってれっきとした医療行為」 ぐいぐい この業務的な処置が嫌い…… 「自力じゃ無理そう?ベッド戻って導尿しようか」 「導尿したくない」 「出ないなら導尿だよ。もしくは一旦前立腺マッサージしてからもう一回自力で頑張るか。」 「導尿もマッサージもしない。。。」 「んー……。」 ひょいっと両脇に手を入れられ無理矢理立たせられた ちょろっ…… あっ……… チョロチョロ 「出ちゃった……」 「…あれ苦笑。戻って着替えしようか……」 ・ ・ ・ 先生に身体拭きと着替えを手伝ってもらってやっとベッドに横になれた…… 疲れたな…… あっ……そうだ 「工藤先生……」 工藤「はい?」 「立花(たちばな)先生に漏らしたこと内緒にしてほしい…です…」 工藤「(なぎ)君のことは全部報告しなきゃいけないんだけど」 凪「これは言わないで。また大部屋戻れなくなる」 工藤「あーそういうこと」 先週体調を崩してしまってから部屋を大部屋からこの部屋に移されてしまった きっとどこを探してもこんな病室はない だって…… 先生達の医局と呼ばれる部屋にある たった一つの病室だから…… リクライニング式ベッドに無料でテレビも動画も見られる大きなモニター……5メートル先にある僕専用の広いトイレ…… 冷蔵庫に飲み物もおやつも常に補充されている 呼ぶとすぐに先生が来てくれて…… 体調悪いかもって…僕より先に気づいて治療が始まる…… こんなにも恵まれた治療環境はないんだ…… でも……

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