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第6話 母の再婚6

 1ー6 侮れない  こんな綺麗な外見に生まれたら誰を見たって変な顔に見えるに違いない。  僕は、はぁっとこれみよがしにため息をつくとふん、と鼻を鳴らした。  「魔王の息子さんは、いつ、魔王国に帰るんですか?」  僕は、嫌な感じで訊ねてやった。  魔王の息子は、無表情のまま答えた。  「私は、しばらくここで暮らすことになっている。母上の警備のためだ。それから、私の名前は、アーキライトだ。覚えておくように」  へぇ、そうですか。  僕は、心の中で舌を出していた。  「よろしくお願いします、アーキライトさん」  「兄、だ」  アーキライトがむすっとしたまま僕に言った。  「我々は、一応、兄弟となったんだ。兄と呼ぶように」  はいぃっ?  注文の多いヤツだな!  僕は、辟易しながらも応じた。  「はい。よろしくお願いします、兄さん」  僕は、アーキライトを僕の隣の部屋に案内した。  別に隣の部屋を使わせたかったわけじゃない。  この家には、他に空いている部屋がないだけだ。  そこは、埃だらけの物置部屋だった。  だって、今さっきまでこの人がここに住むなんて知らなかったんだし!  さすがに悪いような気がして僕は、部屋の掃除を始めた。  僕が物置のものを運び出しているとアーキライトは、それをじっと黙って見つめていた。  いや!  ちょっとぐらい手伝えよ!  結局、僕が1人で部屋を片付けてベッドメイクをしてやったわけだ。  ほんと、感謝して欲しい。  アーキライトは、僕に向かって冷たく告げた。  「ご苦労だったな。下がっていいぞ」  マジで?  僕は、部屋に姿を消したアーキライトを見送ると、隣の自分の部屋に入って。  「何が!ご苦労だったな、だ!僕は、お前の使用人なんかじゃないんだぞ!」  僕は、隣に気を使って枕をボスボス殴りながら小声でぶつぶつ言った。  薄い壁越しに僕が暴れているのがわかるかも。  そう思って、僕は、すぐに枕を殴るのをやめると横になったが、腹が立って眠れなかった。  そのせいじゃないけど、僕は、翌朝寝坊した。  慌てて身支度して牛(カーブ)小屋に向かうと魔王と母さんがゴーレムたちにまじって牛(カーブ)たちにエサを与えていた。  「あら、起きてきたのね、シア」  母さんが笑顔で僕に近づいてくると僕の額にキスをした。  「あなたが寝坊なんて珍しいってアイスハルトと話してたのよ」  「おやよう、ルルシア」  アイスハルトのおっさんが目の笑ってない笑顔で僕を見た。  「この家畜小屋は、ほんとに宝の山だな」  「そ、そうですか?」  僕が頭を掻いているのを見てアイスハルトのおっさんは、真顔で俺に告げた。  「そして、この見事な術の数々。君は、ほんとに侮れないな」      

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