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第28話 兄と弟14

 2ー14 牛舎  クロードは、信じられないと繰り返し呟きながら僕の後をついてきていた。  僕らは、牧草地を抜けて牛(カーブ)小屋へと向かった。  まだ早朝だが、もう、みな、忙しそうにたち働いていた。  僕とクロードは、そっと目立たないように牛(カーブ)小屋の奥へと向かった。  目的の場所は、エリザベスちゃんの牛舎だった。  エリザベスちゃんは、特別な牛(カーブ)なのであまり人が近寄らないのだ。  思った通り、エリザベスちゃんの牛舎の辺りには人気がなかった。  僕は、クロードを連れてエリザベスちゃんの方へと近づいていった。  「ルルシア?」  声がして振り向くとそこにはツナギを着たアーキライトが立っていた。  てか、アーキライトがツナギ?  僕が知っているアーキライトは、いつも宮廷にでもいるような服装をしてたから僕は、驚いていた。  アーキライトは、手に下げていた水の入ったバケツを落とすと、僕の方へと駆け出して。  僕は、突然、目の前が暗くなって驚いて固まってしまった。  「ルルシア・・」  僕は、駆け寄ってきたアーキライトに抱き締められていた。  ぎゅうぎゅう抱き締められて僕は、苦しいのと、恥ずかしいのでなんとかアーキライトの腕から逃れようとしたが、逃れることができなくて。  アーキライトは、僕を抱き締めて僕の髪にキスした。  「ルルシア・・会いたかった」  「ふぁっ!」  僕は、アーキライトの腕の中で喚いた。  「く、苦しいから!離して!兄さん」  「イヤだ」  アーキライトは、僕の背後を睨み付けて低く唸った。  「ルルシア・・こいつ、誰だ?」  僕は、アーキライトをなだめるように背中を叩いた。  「説明するから!離して、アーキライト、兄さん!」    僕は、エリザベスちゃんの脇の敷藁の上に座ってアーキライトにクロードを紹介した。  クロードは、ぺこりと頭を下げた。  「クロード・ゼイファーです。なんかわけがわからないけど、よろしく」  「ゼイファー?・・もしかして、エウロキア王国の宰相の血に連なる者か?」  アーキライトが問いかけるとクロードがちょっと顔をしかめた。  「まあ、そうです。俺の父は、宰相ですけど、俺とは無関係ですから」  なんか、クロードにも事情がありそうなので僕は、2人の間に入った。  「クロードが僕の牛(カーブ)のこと見たいっていったから連れてきたんだ」  「連れてきた・・転移で、か?」  アーキライトがきらっと目を光らせる。  「もしかして願い事、でか?」  「違うよ!」  僕は、慌てて答えた。  「これは、僕の正式な力で、だよ!」  僕の答えにアーキライトの不穏な気配が緩まる。  僕は、ほっと胸を撫で下ろした。

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