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第33話 成り変わりの婚約者5

 3ー5 ダンス  その日の夕方には、レイラス王女(僕)は、僕(レイラス王女)にエスコートされて王立学院の卒業パーティーの場に現れた。そして、僕(レイラス王女)は、魔王国よりの使者であり婚約者(仮)であるアーキライトの手に引き渡された。  「美しい・・」  僕の手をとりアーキライトは、目を細める。僕は、頬が熱くなりそっと視線をそらした。  レイラス王女や僕、それにアロイス王子の父である国王アキロス・ロドス・エウロキアが卒業生たちに祝辞を述べると会場に音楽が流れだし、人々がそれぞれのパートナーと踊り始める。  「レイラス王女」  アーキライトが僕の手を口許へともっていくとそっと口づけた。  「踊っていただけますか?」  僕は、口をはくはくさせていたが、仕方なくこくりと頷いた。  アーキライトは、にこりと笑みを浮かべると僕の手を引き躍りの輪の中央へと進み出て、そして、僕の腰に手を回して抱き寄せると音楽にあわせてステップを踏み始めた。  僕は、ダンスなんてまったく踊ったことはなかったし、ましてや女性のパートなんて知りもしなかったが、アーキライトは、うまく僕をリードして踊らせてくれた。  僕は、アーキライトと踊りながらだんだんと意識がぼぅっとしてきて。  アーキライトは、僕のことを捕らえて離さなかった。  その赤い瞳が僕を決して逃さない。  僕が視線をそらそうとするとアーキライトが僕の手を握っている手にぎゅっと力をこめる。  「私から目をそらすな、ルルシア」  「んくっ!」  僕が息を飲んでアーキライトを見上げると彼は、ふっと口許を緩めた。  「そうだ。もっと気を入れて」  アーキライトとのダンスは、息が苦しくなるほど濃密で、官能的で、僕は、体の中から熱があふれでてくるのを感じていた。  体が熱くて。  僕は、ふらりとよろめく。  アーキライトは、僕を抱き止めるとそっと囁いた。  「少し、休もうか、ルルシア」  曲の途中だったがアーキライトに抱えられるようにして僕は、躍りの輪を抜けて部屋の隅へと抜け出した。  僕は、アーキライトに促されて壁の前に置かれた椅子の1つに腰を下ろすとほぅっと吐息を漏らした。  アーキライトは、僕のために通りかかった使用人から飲み物が入ったグラスを受けとるとそれを僕に差し出した。  「飲んで」  僕は、すごく喉が乾いていて。  僕は、そのグラスの中身を飲み干した。  グラスの中身は、甘い果実酒で僕の頬はかぁっと燃え上がるように熱くなる。  いや。  それだけじゃない?  身体中が熱くなって。  僕は、呼吸を喘がせた。  

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