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第35話 成り変わりの婚約者7

 3ー7 アーキライト  体を少し起こしてみると僕の下腹部に青く輝く紋様が浮き出ているのが目に入った。  「これ、何?」  僕がきくとアーキライトが答えた。  「淫紋、だ」  はい?  僕は、瞬きした。  なんで、僕の腹にそんなものが?  「なんで?」  僕が問うとアーキライトがこともなげに言い放つ。  「私が刻んだ」  なんですと?  僕は、目を見開いてアーキライトを見つめた。  「なんのために?」  「お前が私を迎え入れることができるように。そのために私がお前の体に刻んだのだ、ルルシア」  アーキライトは、僕の下腹に浮かび上がった紋様をうっとりとした眼差しで見つめていた。  「この淫紋は、完璧だ。美しい青い光りがお前の体に刻まれて・・素晴らしい」  「これ・・消してくれるんだよね?アーキライト兄さん?」  僕が呼吸を喘がせながらきくとアーキライトは、きっぱりと答えた。  「消すわけがない」  アーキライトは、僕を覗き込んでにっと笑った。  「やっと、お前が私のものになるというのに、なぜ、手放すようなことができるんだ?それより・・」  アーキライトが赤い舌先で唇をペロッと舐めた。  「なかなかいい眺めだな、ルルシア。そそられる」  はいっ?  僕は、もう一度自分の姿を見た。  裸だと思ったら、両足のガーターベルトだけが残されていて。  僕は、薄い靴下に包まれた両足を見て恥ずかしさにかぁっと顔が熱くなる。  僕が手を伸ばして靴下を脱ごうとするのをアーキライトが止めた。  「そのままの方が、いい」  アーキライトは、僕をベッドに押し付けると僕の首もとに顔を埋めて僕の匂いを嗅いだ。  「ああ・・お前は、やっぱりいい匂いがする」  アーキライトが僕の耳たぶを齧るので、僕は、くすぐったさに悲鳴をあげた。  「ふぁっ!や、めて!兄さん!」  「止めない」  アーキライトが僕の首筋を舌で舐め下ろす。ヒヤリとする感覚に僕は、顔をそらしてアーキライトを押し離そうとした。  「だめっ!」  「なぜ?」  アーキライトが僕を赤い美しい瞳で見つめた。  「お前の体は、もう、私を受け入れたがっているのに?」    

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