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第70話 愛とダンジョン14

 5ー14 これから  なんのことだかわからない。  といってとぼけることはもう、できそうになかった。  僕は、仕方なく全てを母さんに話すことにした。  何にしても、悪意のあるおっさんから聞くのと、僕本人から話すのとでは違うこともあるかもだし!  アーキライトと一緒に添い寝してたこと。  そして。  王立学院に行ってからも、僕らは、心で繋がっていたこと。  王立学院の卒業パーティーの夜、アーキライトと結ばれたこと。  それから。  離れていたけど、変わらず、お互いを思いあっていたこと。  エリザベスちゃんのことが心配で戻ってきた僕をアーキライトが巣に連れ込んでいたこと。  母さんは、全てを黙って聞いてくれた。  僕は。  涙目になっていた。  「僕・・こんなことになってしまって・・でも、僕もアーキライトが好き、なんだ!」  「そうなのね」  母さんは、にこりと微笑んだ。  「ルルシアは、優しすぎて心配してたのよ。いつだって他人の幸せばかりを優先してるから。でも、アーキライトちゃんのこと、好きだって言えたのね」  母さんは、少し涙目になっていた。  「あなたが幸せになれるなら、私は、嬉しいわ。私には、あなたが1番、大事だもの」  魔王のおっさんがちょっと悲しげな顔をしてるのを見て、僕は、にやっとしてしまった。  それから、僕たち家族は、ゆっくりとこれからのことを話し合った。  この農場のこと。  王都の商会のこと。  これからの家族のこと。  「私は、これからもロニアの町の酒場で働くつもり。元気なうちは、ずっと働くわ!」  母さんが言うと魔王のおっさんが頷いた。  「リリアが望むならそれでかまわない。私も、これからもこの町でリリアと暮らすつもりだしな」  「私は、ルルシアがいる場所が私の居場所だと思っている。だが、できればこの農場で暮らしたいな」  アーキライトが答える。  「ルルシアは?」  「僕は・・」  僕は、どうしたいんだろう?  僕は、しばらく考えてから口を開いた。  「僕は、商会を続けたい。それに農場も。だから、これからもこの農場に住んで牛(カーブ)を飼いたいし、野菜も育てたい。この農場を大きくしたい!」  「協力するわ!シア」  母さんが言うと、魔王のおっさんもしぶしぶ同意した。  「ああ、私も協力する」  「もちろん、私も協力する」  アーキライトが僕を見つめて微笑んだ。  

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