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第14話

出勤前の時間、自宅でスマホを確認する。 宇井からの連絡はまだない。 思わずため息が出る。 今日はお試し期間の最終日だ。宇井から返事をもらう日。 それなのに、7月4日以降、宇井からは一度も連絡がない。 モーニングコールにも応じないし、こちらから送ったチャットも既読スルー。 一昨日からは既読にすらならない。 俺はもう一度メッセージを送った。 『おはよう』 『今日、最後の日だよ』 『同期会の後、返事待ってるから』 今日は宅建の講習と同期会で宇井に会えるはずだから、焦らなくてもいい――そう頭ではわかっていても、胸の奥が落ち着かない。 1ヶ月前はこんなに宇井のことを考える日々が来るなんて想像もしなかった。 今となっては、宇井がいない生活なんて考えられない。 もしかして、俺の方が宇井に執着しているのか?

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