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第15話
講習が始まる前、久住と話す。
「宇井、今日は休みか?」
「グループメッセージ見てないのか? 宇井から連絡きてたぞ。同期会には参加するってさ」
ただの連絡事項だとわかっているけど、俺には直接連絡してこないことにイライラしする。
もやもやする気持ちを隠しきれないまま話していると、久住がふいに感謝の言葉を口にした。
「芳賀、ありがとうな。ずっとお礼言いたかったんだ」
「え、何の話?」
「俺と宇井のことだよ。月曜に宇井と話した時、面と向かって謝られたんだ。俺も新しい環境でピリピリしてたから、言いすぎたなって反省してる。普通に話せるようになったのも、お前のおかげだよ。サンキュー」
「そっか、よかったな」
久住が嬉しそうに話すのを聞いて、胸の奥がざわつく。
まだ久住の方がいいのか?
宇井は、また久住を選ぶのか?
「今は芳賀の方が仲がいいんじゃないか? 宇井が言ってたぞ、『芳賀はモテるから迷惑かけられない』って。それ、俺に対してちょっと酷くない?」
その言葉に驚く。
迷惑?
宇井は俺に迷惑をかけたと感じているのか?
俺はそんなふうに思ったことなんて一度もない。
それが理由で、連絡を避けているのか?
疑念が頭の中をぐるぐると巡る。
宇井と、早く話がしたい。
強い衝動が湧き上がってくる。
「久住、頼みがあるんだけど」
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