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第9話

「やっぱ俺から見たら、冴は良い兄ちゃんだ。優しいしさ」 快感に弱い世一がフラフラしたおぼつきでトイレだと言うので、俺は手を引くため付いてきた。 「俺は誰にでも優しいわけじゃない」 優しくしたい相手にしか俺はしていない。 そして今優しくしたい相手は潔世一しかこの世に存在してなかった。 「それでも俺にとって冴は良い兄ちゃんだから」 「……」 それは世一と凛が将来結婚をして俺が二人の兄になるということだろうか。 もしそうなら、俺は報われない恋をしているのだろう。 「世一は本当にいい性格をしている」 それでも俺の好い人は潔世一意外にはありえないのだから始末に負えない。 「俺は良い人じゃなくてごめん、冴」 「否、イイヒトには違いない」 「なんだよ、それ」 漢字は違うが音が同じだから、始末に負えないのだ。

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