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第22話 罪深き彼。
ある日の朝、ルームシェアをしている潔世一が俺に提案をしてきた。
「家事俺ずっと冴におんぶにだっこだし、これじゃ駄目だよな。これからは分担制にしない?」
「……」
ルームシェアを開始して約数ヶ月、今更というか俺は世一の世話をやくことが日課になっていて、ある意味で趣味と化していた。
愛しい者を自分の手で育てていくのが楽しくなっている今現在、その愛しい者が俺の手元から離れていってもいいように準備をするのだろうか、そう思うと生活が寂しくなる気がして寂しい気分に陥った。
「そんな顔しないでよ」
俺は一体どんな表情をしているというのか。
「日々のトレーニングや安定した食事を考えるのが俺の趣味のようなものなのだが、世一は嫌なのか?」
「えっと、そういうんじゃなくてさ。掃除洗濯も冴がやってくれてるから、それを俺の分担にしたいっていう話」
「身の回りの世話が必要ないということか」
「俺の世話をしてる冴の時間ってもったいないだろ。それに自分自身もっと頼られるような人間になりたいって思ってるし」
今までの世一そのままが俺が一番愛しい形なのだが、彼はそう思っていないということだろう。
「だからさ、せめて何か俺に頼って」
ということで、この日から洗濯を世一の分担ということになった。
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