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 ケジメ、と言って、エリックは恩人を殺すことを躊躇うことなく決意した。そこまでする必要はあるのかと疑問には思ったけれど、楽しそうに話すエリックを見ていたら協力する以外の選択肢はなかった。  俺は、どんなに狂っていたとしてもエリックのことが好きでしょうがなかった。  バンッーー  どこからともなく銃声が聞こえてきた。エリックのケジメが完了したのだろう。  しばらくすると、エリックは優しい笑みを浮かべながら戻ってきた。服は少し赤くなっていた。 「ただいま」  今さっき人を殺してきたとは思えないほどに穏やかな声だった。これで、エリックの心は解き放たれたのだろう。  俺は羽織っていた上着を脱ぎ、エリックに着せた。前をしっかりと閉めて、血で染まった部分を隠す。  そして、エリックに顔を近付けてそっと唇に触れた。 「早く帰ろう」 「うん」  俺たちは静かにその場を立ち去った。

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