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「寒い思いさせちゃってごめんね。でも、ありがとう」
「……本当に、やるのか?」
「うん。ケジメってやつだよ」
エリックは笑みを見せているけれど、その瞳に宿るものには恐ろしさしかなかった。
「ケジメをつけて、ジョンと一緒になるんだ」
ゆっくりとエリックの顔が近づいてくる。俺は静かに目を閉じてじっとする。しばらくすると、唇に熱が触れてきた。
複雑な思考を全て忘れさせて、エリックと二人きりの世界を感じさせてくれるキスは、一瞬で終わってしまった。
「あっ……」
「ケジメつけてから」
そう言ってエリックは、俺の方に右手を差し出してきた。
ドクッ。嫌な感覚を刻む鼓動を感じながら、俺は懐から紙袋を取り出してエリックの右手に乗せる。
ありがとう、とエリックは紙袋の中身を取り出した。黒光りする拳銃は、彼のものだったかのように馴染んでいた。
「行ってくるね」
エリックはすっと動き出し、後ろの雑居ビルへと入っていった。
俺はただエリックの向かった方を見つめることしかできなかった。
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