20 / 20

20

 驚きを見せるヨシュアに、トーマはふわりと笑いかける。ヨシュアに重ねるその手は優しさに包まれていた。  徐々にヨシュアの顔が赤くなっていく。しばらくすると、赤い花が宙を舞っていた。 「ぼ……僕も……」  ポツリ、とヨシュアが呟く。 「僕も、トーマさんのそばに、いたいです」  目を潤ませながらそう口にしたヨシュアの顔は、見たことのない表情を浮かべていた。  そんな姿も、トーマにとっては嬉しいものだった。 「ありがとうございます」  触れていた手を掬い上げ、指先にそっとキスを落とした。  さらに驚いたヨシュアは、より一層赤い花を舞わせていた。 「トーマさん!?」 「すいません。嫌、でしたか……?」 「そ、そうではなくて……。こっち、じゃダメですか……?」  ヨシュアの右手が、彼の唇に触れている。 「いいですよ」  トーマはゆっくりと顔を近付け、そっと唇を重ね合わせた。  触れるだけですぐに離れていった唇は、ニコリと笑っていた。 「俺も、こっちの方がよかったです。今日も、明日も、明後日も、ずっとあなたにこうしていたいです」 「はい……はい! よろしくお願いします、トーマさん!」  キラキラと光り輝く花々が、二人の周りを舞い踊っていた。

ともだちにシェアしよう!