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驚きを見せるヨシュアに、トーマはふわりと笑いかける。ヨシュアに重ねるその手は優しさに包まれていた。
徐々にヨシュアの顔が赤くなっていく。しばらくすると、赤い花が宙を舞っていた。
「ぼ……僕も……」
ポツリ、とヨシュアが呟く。
「僕も、トーマさんのそばに、いたいです」
目を潤ませながらそう口にしたヨシュアの顔は、見たことのない表情を浮かべていた。
そんな姿も、トーマにとっては嬉しいものだった。
「ありがとうございます」
触れていた手を掬い上げ、指先にそっとキスを落とした。
さらに驚いたヨシュアは、より一層赤い花を舞わせていた。
「トーマさん!?」
「すいません。嫌、でしたか……?」
「そ、そうではなくて……。こっち、じゃダメですか……?」
ヨシュアの右手が、彼の唇に触れている。
「いいですよ」
トーマはゆっくりと顔を近付け、そっと唇を重ね合わせた。
触れるだけですぐに離れていった唇は、ニコリと笑っていた。
「俺も、こっちの方がよかったです。今日も、明日も、明後日も、ずっとあなたにこうしていたいです」
「はい……はい! よろしくお願いします、トーマさん!」
キラキラと光り輝く花々が、二人の周りを舞い踊っていた。
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