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プロローグ①

 約二十五年前、世界唯一の魔法国家であるフィオレニア王国は避妊と堕胎を禁じた。  魔法士の減少による兵力の低迷が主な理由として、国民に説明された。母数を増やすことにより、突発的な魔力を持ったものを含めて国力にしてしまおうと考えたのだと。しかし時が経つにつれて、国王の本当の狙いを国に住む民が皆知る羽目になった。  急激な人口の増加に伴う、孤児の増加―――貧困の差が激しいこの国では子供を育てきれず、孤児院に預けるものが後を絶たなかった。魔力さえ持っていれば国から補助金が出るがそんな幸運はほとんどなく、次第に国営の孤児院どころか、貴族が慈善活動として経営している孤児院すら逼迫してしまい溢れる事態へとなった。  そして―――孤児は奴隷という商品として、国の主な産業として発展していくこととなる。

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