1 / 16
えちすると……☓☓☓(ぺけぺけぺけ) ー1
『ーーもうひとつ。面白い呪詛を施したんだ』
白銀に耀く長い髪と、冷たく輝く白銀の瞳を持つ神は、そう言ったーーーー。
★ ★
夏の陽射しが照りつける。
大きな黄色い花が揺れる花畑のなかで、その男 は立っていた。
遠くからでも見間違う筈もない。
見つけた……! 愛おしい男 ……!
歩き続けて来た疲れもなく、青年は駆けだした。銀色のリボンで結わえた髪を揺らしながら。
花のなかを。
その男に向かって。
抱きつきたい程のその背を前にして、少し離れて立ち止まる。
腰の辺りまである金色の髪をさらりと揺らし、男は振り返った。
青い瞳が青年を見つめる。
「漸く、辿り着いたな」
「ゆっくり……来たよ」
「そうか……」
男は両腕を広げた。青年はそこに向かって駆け寄った。
「イオ……! 会いたかった!!」
トールは生まれ育った村から初めて外へ出た。
愛しい男 を捜す旅へ。
幸せな一夜を経て、眼が覚めれば、姿を消していた男。何処に行ったのかは、わからない。
でも……! 絶対に見つける……!
感じるんだ。
肉体 に残った証 が。身体の奥にある何かが。
迷いなく、イオのいる方向に進んでいく。
本当はもっと早く辿り着くこともできた。しかし、トールはそうはしなかった。
充分に月日をかけ、より再会を喜び合う為に。
記憶を消されていたあの時のように、思いださなければという焦りもない。
覚えている。
彼のことも。どれだけ愛しているか、どれだけ求めているかということも。
月が欠け、また満ちるまでの月日をかけて、イオの許に辿り着いた。
ともだちにシェアしよう!