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『BLACK ALICE』ソウ✕ユエ編〜白のALICE*R18 ー1

 Alce wo can't smaile  Delicate and cad  Beautiful and hard  Now break that shell    笑わないAlce  笑えないAlce * * 「人殺し」  誰が耳元で囁いた。  彼の横を通る大勢の喪服の人間が、いっせいに振り返る。 「人殺し」  その全員がいっせいに言った。  ――そう、おれは人殺しだ……っ!! * * 「ユエ? ユエ?」  新ユニットのメンバーに入れた(ゆえ)と暮らし始めて三年が経っている。  こうやって眠っている間にうなされていることも一度や二度ではない。しかし、この時期になるとほぼ毎日で、それも普段よりも酷く苦しげなのだ。  だから、そんな時は揺すって声をかけて起こしてやるのだ。 (いったい、何がお前をこんなふうに苦しめているんだろうな)  ユニットのリーダーの(そう)とはいえ、メンバーのことを何もかもわかっているわけではない。皆それぞれ何かしらの過去を持っていそうなのだ。それをすべて知ろうという気はソウにはさらさらないのだが。 (ユエに対してはちょっと違う。なぜこんなに気になるのか。一緒に住んでいるからか? それとも……)  ユエについては多少知っていることもあるが、それだけではなく、もっと彼の奥深くに入り込みたいと思っている。 (けど、今はそんなことを考えている場合じゃない。とりあえず起こさなきゃ)  ユエがうなされているからというのも勿論あるが、それだけではない。起こさなければならない理由は他にもある。  ソウはいったん止めていた手を再び動かした。 「ユエ! ユエ!」 「……ソ……ォ……?」  薄っすら目が(ひら)いたが、まだソウの顔を確認できていないのか、何かを探すように片手を宙で閃かせる。その手をソウが握って引っ張った。  握った手は汗で濡れていた。 「おはよう。今日の予定わかってるか?」 「あ……うん」  ぼんやりとした顔から徐々に覚醒。 「じゃあ、急いで」 「うん」  ヘッドボードに背を凭せ掛けているユエの顔色は、蒼みを帯びるほど白かった。   三十分ほどしてユエがダイニングに現れる。  ソウはすでに食事を終え、ブラックコーヒーを飲んでいたところだ。  ユエは自分の定位置のイスに座った。  ざっくり編んだ黒のセーターと黒のパンツを穿いている。すでにしっかりと化粧もしている。おそらくシャワーも浴びて悪夢で流れた汗も落としたのだろう。 「卵食べる?」 「いらない」  テーブルの上には、パン、サラダ、フルーツ、シリアルなどが適当に置かれていた。しかし、食にはあまり興味を示さないユエが朝からそれらに手をつけることはあまりない。  特に悪夢にうなされた朝は。  ユエは定位置に置かれているホットミルクを両手で持ち、口につけた。  甘い甘いホットミルクだ。何も食べたくない日でもこれだけは飲む。そのためソウはいつでも彼の定位置にそれを用意するのだ。  二十歳はもう超えている。  しかし、酒も煙草もやらない。見かけもどこか幼い。そんな自分を化粧で常に覆い隠す。  起こす時に「急いで」と言ったのは、彼が仮面を被る時間も込みだった。  

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