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(んん?……俺以外に流されんなよ? って聞こえたけど)
ウイの頭にクエスチョンマークが飛び交う。
(それって、どういう意味?)
思わず外した視線を戻した。
いつも通りの無表情。甘い雰囲気などない。
(オレが思う意味とは違うのかも)
独占欲みたいなものから出た言葉かと、一瞬勘違いしそうになった。
「な、流した人間が、それ言う〜〜」
いつも通りの無表情には、いつも通り戯 けて言葉を返した。
* *
初めて最後までセックスをしたあの日から、二人で会うたびに肌を合わせている。最後までしないで触り合うだけの日もある。
仕事の後にそのままトワかウイのマンションになだれ込むことが多いが、オフの日に外でデートしてからの時もある。
(デートって思ってるのは、オレだけだろうけど)
声をかけるのはウイ。一緒にいたいだけで、正直甘い展開はあまり期待はしていない。
しかし、『始める』のはいつもトワからだった。
それでも、トワからはひと言も『好き』だの『愛している』だのという言葉は出てこない。
これまでに聞いたことのある言葉は、『嫌いじゃない』『可愛い』『綺麗だ』だ。
(少しは好意を持ってくれているんだってことは、わかるよー。でも、それが愛だの恋だのかっていうと、どーなんだって話!)
セフレでいいとか、そういうことは今でも思っていない。それなのに流されてしまうのは。
(やっぱ、好きな男に求められたら流されちゃうよなー)
コトが終わるたびに、トワのことが好きすぎる自分を再確認してしまうのだ。
「ねぇ、シャワーもまだ浴びてないのに」
トワはもうその気なのだろう。唇は項から離れないし、服の下で熱くて大きな手が蠢いている。それだけで、シャツの中で乳首がツンと立ち始めている。
お疲れ様会の帰りだ。BLACK ALICEとしての派手目の衣装を着ていた。ウイは部屋に入ってからそれを脱いで、今はその下に着ていた薄手の長袖Tシャツだけだ。トワも自宅なのでラフな格好に着替えていた。
尖った乳首の先端を、トワに爪の先でカリッと引っ掻かれれば「ん……っ」と甘い吐息も漏れてしまう。
しかし、トワがどういう気持ちで自分に触れているのかと思えば、一度は躊躇してしまうのだ。
「別に俺はこのままでも構わないけど? それとも一緒に浴びる?」
肌に唇をつけたまま意地の悪そうな声を出す。
「それは……いやです」
もっと恥ずかしいことを何度もしているのに、一緒に風呂に入るほうが何故か羞恥を感じる。トワからは何度か誘われていたが、まだ一度も応じたことはなかった。
トワもそれをわかっていて言うのだ。
背後でぷっと吹き出すのが聞こえた。
「なんで、敬語――じゃあ、このままだ」
反転させられ、ラグの上に寝かされる。
すぐに彼の重みを感じた。
熱い身体。熱い吐息。それから、もうその中心は熱を帯び始めている。
「トワ……」
自分への感情でそうなっているのか、それともこういう状況に興奮してそうなっているのか、正直分からない。
(でも、抱かれている時は……愛されていると思いたい)
トワがウイの唇をむさぼり、ウイもそれに応えながら、切なく願う。
激しい口づけが途切れると、
「トワ、ベッドいきたい」
恥ずかしそうに囁く。
トワは何も言わず起き上がり、ウイの腕を引っ張って立ち上がらせた。
ベッドはすぐ脇にある。それでも時間が惜しいとでもいうように、トワはウイを立たせたまま噛みつくように口づける。そうしながら、Tシャツの裾を持ち上げる。
トワに上半身を裸にされ、ベッドに沈められた。トワもウイを見下ろしながら、タンクトップを脱ぎ捨てた。
二人は熱い素肌を触れ合わせた。
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