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追想 #3
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とある部屋で、中年すぎの初老にかかった男…龍介がどっしりとしたソファーに座って、静かに目を閉じながらしずかに昔のことを回想していた。
(……数十年前のあの頃をことをいつもいつも考える……)
1年前、息子の竜良が喧嘩をして怪我を負わせた相手が『瑞江 碧』と聞いた時、真っ先に龍介は、光紀を思い出した。
(……『瑞江』忘れられない。忘れた事は無い。あいつと同じ名前だ。瑞江光紀。今、あいつの弟は流行りのベンチャー企業を起こしてると聞いた)
病室で碧を見た時、昔の記憶の彼方から蘇って来たのを感じた。それは、昨日の事のようだった。
『……空を飛べると思ったんだ…』
・・・あいつは、光紀は言っていた・・・。
そして龍介はそっと閉じていた目を開き傍らの男に向かって話す。
「竜良はもうだめだ。1年前の事を何故あんなに、固執している。あいつは許されない事をした。もうあいつは、俺の息子でもなんだもない。型にはめる」
「どうするのですか?」
「処分は龍一にまかせる。あいつは身内といえども容赦しないからな」
龍一は、彼の息子の1人。竜良と竜士の兄だ。
「私は本当に瑞江の家族に顔向けできない……何度もこんなことを…」
龍介はそう言って顔を伏せる。
「龍介さん。光紀さんを思い出してるんですか?」
「そうだよ。あいつのことは忘れるはずがない」
そう言って龍介は少し自虐的に微笑む。
「もう、『龍介』と名前で言ってくれるのはお前、美山しか、いなくなったな」
「私も会長とお呼びしたほうが」
「いや、、いい。俺が、以前止めろと言ったからな。会長、総長、組長。俺の事を、みんなそんな風にしか、言わなくなったな。俺には名前があるのにな。だから、名前で呼ばれたいんだよ」
そして、龍介は暫く遠い目をした。
「龍介さん。光紀さんの事は、決して龍介さんの所為ではないんです。以前から申し上げているように」
「わかっている。ただ、自分は気がつかなかった」
あの時、気がついていれば、俺は、全部を放り投げて、彼とともに歩いて行けたはずだ。
すべては昔日。
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長らく更新滞りましてもうしわけありませんでした。
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