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追想 #2
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1年前、碧の病室へ現れた龍介は、初老の域にはいっていた。
昌紀の記憶の中の龍介は常にはつらつとしていて元気できらきらしていた印象だった。今も変わらなかった。
龍介は静かに碧の父へ頭を下げる。
「竜良が揉めた相手は『瑞江碧』くんと聞いて、もしやと思って急いで来ました。やはり、碧くんはあなたの息子さんでしたか……私はまたあなたの家族に辛い思いをさせてしまった……」
「碧もあなたの息子さんに相当な怪我を負わせてしまっていると聞きました。だから……」
「しかし……」
碧の父はしばらく黙った。そして少し考え込みながら
「……兄は、あなたといた時はとても幸せそうでした……」
そっと呟いた。
龍介は遠い目をして少しなにか思い出したように表情がふと柔らかくなる。だけど、すぐに険しい表情となる。
「光紀の亡くなった原因は私にある。私がもっと光紀に気をかけていれば……と、今でも思う」
そう、しぼりだすような声で言う龍介だった。
「……兄は、家族の犠牲になったんです。兄を押しつぶしたあの会社はもうありません。
私は、碧に、兄のようにはなって欲しくないから彼の自由にはさせたい。だけど、自分だけの手で大きくした会社を引き継がせたいとも思う。かつての、祖父の会社…財閥を兄に引き継がせたいというのとはまるで違う。と、思ってはいますが……」
光紀を押しつぶした会社は無い。光紀亡き後、継ぐ者、後継者は結局、他所に嫁に行った光紀の伯母が行った。
ただ、その夫、光紀の伯父にあたる人が牛耳ることとなり、結局、上手く経営できず、そのライバル会社にあたる会社に吸収される形になった。そして、最後に会社は、跡形もなくなくなってしまった。
碧の父親は、そんな中、大学時代に自ら今の会社の核となる会社をで興し、今は、業界のトップに躍り出ているほどの躍進をしていた・・・だから。
その息子である、碧にそれを引き継がせたい。というのは、碧の父の親心だった。
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