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お弁当 《剣介》

ふわふわの可愛いあいつが好きだ。 「やーなぎくん」 「あぁ? んだよ」 「あーん」 「!?」 樫ノ木早苗、同い年の男。 「ウインナー好きでしょう? 半分あげるよ」 「し、しゃーねぇなぁ」 「うん、ありがと。はい、あーん」 「っ、てめぇで食えるわ!」 小学校から高校生になる今まで、ずっと同じ学校で、同じクラスだった。 今だって一緒に昼飯を食うくらいだ、仲がいいってことだろう。 「えー、そしたら全部食べちゃいそうなんだもん」 「そんなに食い意地はってねぇだろうが」 「心配だから……はむ、ふぁひにふぁふぇるへ」 「食いながら話すんじゃねぇ!」 呑気にもそもそ食ってる早苗を見ながら俺は俺で残りの半分を指で奪い口に放る。 うん、うめぇ。 「ふぅ。ブロッコリー食べてあげる」 「おめぇは、野菜ばっか食いやがって」 「柳くんは肉しか食べないよねー」 「そりぁタンパク質とらねぇとなぁ?」 「ビタミンも大事だよ?」 「育ち盛りにゃ、肉だ肉」 「おでぶになったら友達辞めるからね」 「食った分動くからデブるかよ、おめぇはガリ過ぎ」 「必要なエネルギーしか摂らない主義なの」 自分の弁当を終え手を合わせる早苗。 俺も弁当を食い終え、パンに移る。 今日のは、まるいクリームパンが五個。 「そう言いつつ食後のデザートするんだろ?」 「甘いものは別腹」 「はいよ」 「ふふ、ありがと」 にっこり笑う早苗は結局五個のうち三個を平らげた。 いつものことながら可愛い奴だ。

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