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柔道 《早苗》
柳くんは柔道をやってる。
「また来てたのかおめぇは」
「家に帰ったら妹に怒られるからね」
「ったく、外で遊べよガキは」
「いいよ別に、柳くん観てるのたのしーし」
「物好きめ」
背が高くて目つきが鋭くて、怖がられる柳くんだけどとっても優しい人なんだ。
お弁当のお肉は半分食べてくれるし甘いものを分けてくれる。
なんだかんだ面倒見もよくって気遣ってくれて……。
部活をしているのを観るのも、一緒に帰るのもそんな柳くんだから楽しい。
「さっきの技なんていうの?」
「あー、背負い投げか?」
「僕にもやってー」
柳くんはむきむきで、細マッチョって感じだ。
自分より重そうな相手をかるーく投げる姿はとってもかっこいい。
背も高いから余計様になって、ドキドキしてしまう。
「おめぇなぁ、あぶねぇから駄目に決まってんだろ」
「えー、いいじゃん」
「受け身も出来ねぇんだろ?」
「んー、まぁね」
「んなら無理だ。怪我したらどうするよ」
いっつも僕のこと心配してくれる。
優しい優しい柳くん。
「あ、なんだっけ寝技?」
「あぁ? 寝技がどうした」
「寝技なら危なくないでしょう?」
「おまっ……」
呆れたような顔をして、柳くんは溜め息をついた。
何気に名案だと、思ったんだけどなぁ。
「そんなにやりたきゃまず受け身から覚えろ」
「柳くん教えてくれる?」
「暇なときな。んじゃ、あと一時間だ疲れたら寝ててもいいかんな」
「うん。頑張って柳くん」
なんだかんだでとことん優しい柳くん。
大好きだな、僕。
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