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第4話
「なんで鹿嶋さんが俺のソレ持ってんすか……?」
「なんでだろね?」
無駄に整った笑顔で返される。
ちょっと怖い……。
ぐるぐる。
ぽあぽあ。
グルグル。
ほかほか。
なんだこれ??
頭がポヤポヤする。
頭が浮ついてるのに、身体の感覚が妙に研ぎ澄まされていて。
身体が無駄にほてって熱すぎる。
熱い。
あつい。
「熱い……」
「じゃあ。服……脱ごうか」
「ん?ぅん……??」
グルグルした思考のままに鹿嶋さんのいいなりになってしまってる自分に違和感を感じつつも。
近づいてきた鹿嶋さんの手が、おぼつかない俺から空になったコップを取り上げてローテーブルの上に置く。
一度離れて。
もう一度近づいてきた鹿嶋さんは穏やかな笑顔で。ゆっくりとした手つきで俺の身体をツツツと突然なぞり始める。
「あ……ッ!?」
突然の刺激?に身体が一瞬でビクついてしまった。
「やめ……っ」
え。
なんで?
なぞられた箇所からビリリとした快感が全身をめぐって、変な声が出る。
ウソ。
なんだ今の声。
「可愛いね。可愛いよ……」
鹿嶋さんの手が、俺から吸い付いたように離れない。
さわわとした触感が、服の上から俺の肌をなぞっていく。
なんだこれ、ゾクゾクする。
「ふあぁ…ン……」
やだこの声。俺じゃない。
「離して…っ」
「敏感なんだね」
「ちがぅ…」
触られるたびに。
「ちがぁ……やだぁ……ぁんッ」
鹿嶋さんから与えられる感覚が、おかしい。
違う。
身体が。おかしい。
こんなの俺じゃない。
でも、身体が火照って仕方がない。
鹿嶋さんが触った箇所から、身体がどんどん熱くなっていく。
熱くて。
痒くて。
気持ちいい。
嫌だと言いながらも、頭の中で『もっと触って』と懇願したい俺がいて。
身体の反応と脳が矛盾してるのがなんか嫌で。
でも──……。
「ふふ。物欲しそうな顔してるよ?」
恥ずかしいのに。
「あ……っ」
それを知られたことがなぜか嬉しくて。
もう訳が分からなくなっていて。
もどかしくて。
「鹿嶋さ…鹿嶋さん……っ」
どうにかしてほしい。
助けてほしい。
「どうしたの?千明くん」
優しく問われる声色。
触られるたびに止まらない嬌声。
触らないで。
触らないで。
嗚呼。
──触られたところが熱くてジンジンする。
俺、俺。やっぱおかしくなってる。
下半身の疼きが止まらない。
「あ…ふ、ぅ…っ!や、あぁ…ん」
止まらない。
「あぁァァ…んん……っ」
変な声。
キモチイイ。
「俺、おれぇ、なんか変……ッ!変なの…っ」
決死の俺の返答に。
唾を飲み込む音が聞こえる。
「変じゃないよ?……すっごく綺麗。綺麗で可愛いよ。ほら手をあげて」
「ん……?ぅ…」
言われるがままに腕を上げてシャツが手首まで捲られる。
上半身が、鹿嶋さんに見られているのが恥ずかしい。
視線だけで。
ドキドキしてる。
「上目遣いしないでよ、可愛いなぁ」
「や…ぁ…見ないでぇ……」
「どうして?こんなに可愛いのに……」
可愛くない。
可愛くない!
可愛いわけがないのに。
なぜか褒められてると勘違いして喜んでしまってる自分がいる。
「ほらココも。こんなにぷっくりとしていて、すっごくかわいいよ?」
上着からあらわになって飛び出た俺の乳首が、鹿嶋さんに優しくふにっとつままれる。
「ひゃぁあんっ」
なにこれ?
「ツンってしてるね」
なにこれ、気持ちいい。
なんでこんなトコ……おれ女じゃないのに。
「えっちな乳首だね。コリコリしててかわいいよ。感じてるんだね」
ムニムニといじられる。
「ひうぅん!」
先っぽもクリクリ擦られて。
「や、やぁ、あん!あぅ、ソコぉ……!」
「きもちぃの?」
気付かれたのがなぜか嬉しくて。
「気持ちぃ、きもちぃ…」
懇願するように呟いてしまう。
なんでこんな素直なんだよ俺。気持ちわりぃ。
「うん、きもちぃ…いぃのぉ…ぉ……」
触れられるたびに。
「はぅ…あ……ァァ…や、あっ」
女みたいな声出してる自分がキモいのに、身体がそれ以上の刺激を求めてる。
触られたところが熱くて。
下半身がジンジンと疼きまくってる。
「そっか。じゃあもっといじってあげなきゃね」
「やだ、ちが……っ」
そうじゃない。
そうじゃないのに。
「違くないでしょ?」
そういうと。鹿嶋さんは俺の顔をじっと見つめてきて。
「千明くん。──……こっち、向いて?」
ゆっくりとした動き。
「ふぇ?…鹿嶋さ────……?」
俺に唇を。…………重ねてきた。
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