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第10話
涙が止まらない。
身体の痙攣もおさまらない。
心と身体が反比例でグチャグチャになってる。
「ふ、うぅ……、ひうぅぅ……っ」
なんで、俺……。
「千明くん?大丈夫?……ちょっと休もっか」
下半身で暴れてる五つのオモチャのスイッチを切って、ゆっくり引き抜いていく。
それでも涙は止まらなくて。
「ごめんね、無理させすぎちゃったね。ごめんね千明くん」
鹿嶋さんの整った顔が俺の涙を舐め取っていく。
おでこにキスされて。
頬にキスされて。
目が合って。
吸い込まれるようにお互いキスをする。
それが至極当然のように。
「あふ……ぅ…ん、ふぁ……」
優しいキス。
気付いてしまった。
気付かされてしまった。
俺、鹿嶋さんのこと。好きになってる。
自覚してからのキスはとんでもなく気持ちよくて。
もっと続いてほしい、って思っちゃうくらいで。
このまま時が止まればいいのにって。
それくらいに俺はトロトロにされてた。
キスすればするほど。
どんどん好きが溢れていって。
どうしよう。
俺。
鹿嶋さんのことしか考えられなくなってる。
出会いは最悪なはずなのに。
なんで犯された男のこと好きになってんの俺??
それも解せなくて。
でも。
もう好きになっちゃってて。
ダメだ。
鹿嶋さんの全てが愛おしくなっちゃってる。
鹿嶋さんを見るだけで。
鹿嶋さんのこと考えるだけで、胸がさっきよりもバクバクして。
身体が火照って。
キュンキュンして。
つい。
抱きしめたくなっちゃって……。
「……ッッ!…千明、くん……っ」
感情が抑えられなくて、つい鹿嶋さんの背中に手を回してしまった。
だって。
だって好きな人にこんなことされてたら……。
──心臓が破裂しそうなくらい熱い。
「鹿嶋さ……おれ……、おれぇ……っ」
鹿嶋さんの顔を見ると、なんだか困ったような顔をしていて。
「──ダメだよ千明くん、こんな事しちゃったら、僕、我慢できなくなっちゃうから、勘違いしちゃうよ?」
勘違いじゃない。
こんなにバクバクしてるのに。
こんなにドキドキしてるのに。
こんなに気持ちが昂るのに。
鹿嶋さんのことが──好きなんだ。
好きなんだ。
好きになっちゃったんだ。
気付けば気付くほど身体が火照ってしまって。
嗚呼。
ダメだ、おれ。彼女いるのに。
──そうだ俺、彼女いるんじゃん!!
どうしよう。
不倫してる。
「千明くん?顔が百面相してるけど大丈夫?」
心配そうに覗き込む鹿嶋さんの顔。うう、カッコイイ。
「鹿嶋さん……俺……不倫しちゃった……どうしよう……」
「……え?」
「彼女いるのに、俺、鹿嶋さんのこと好きになっちゃって……俺、どうしよう」
「え、ちょっと待って千明くん今なんて?」
「え?俺彼女いるのに──」
「違うそのあと」
「え?」
もしかして……。
おそるおそる鹿嶋さんの目を見やると。
「うん、もっかい言って?もう一度、ちゃんと聞きたいから」
え、改めて言うってなると。なんか、なんか恥ずかしい……。
「俺、その、鹿嶋さんのことが……だから、その────」
「うん、その先。俺の目を見て、もう一度言って?」
優しい微笑みに促されるように。
言わなきゃって。
「俺、鹿嶋さんのこと、鹿嶋さんのことが……好き。……です…………」
どんどん声が小さくなっちゃう。
でもそれを聞いてくれた鹿嶋さんは、ぎゅうぅぅっと優しく俺を抱きしめてくれた。
「鹿嶋さん……」
「よかった。……俺だけじゃなかったんだ……」
「あの……でも、俺。彼女がいて──」
「え、そうなの?」
「はい、あの──……」
──俺は、こうなってしまった此度の顛末を話し始めた。
彼女との出会い。
付き合ったきっかけ。
今回の顛末、からの鹿嶋さんとの出会い。
聞いてくれてるあいだ。鹿嶋さんは俺の頭をずっと優しく撫でてくれて。
それがとっても心地よくて。
なんだか話しやすかった。
「そっかぁ、だから不倫って言ってたんだね」
「…はい……」
頭なでなでがキモチイイ。
「そっかぁ……」
「すみません……、俺、彼女いるのに──」
「千明くんさ」
「はい?」
「それホントに彼女?」
「へ?」
思わず鹿嶋さんの顔を見上げる。
「その彼女さんから好きって言われたこと、ある?」
「え?」
好きって言われたこと──…………。
「付き合ってほしいって……」
「その付き合ってって。……残念な事言うけど、恋人の付き合ってじゃないと思うよ?」
「え…っ」
「すごく残酷なこと言っちゃうけど……多分その関係、恋人じゃないよ?」
「ぇ…??」
頭が真っ白になる。
言われてみれば。
好きって一度も言われたことがないし。
付き合うって言われてから連絡が一切来なかったし。
「…………」
「あの、千明くん?大丈夫??」
「あ、いえ……なんか俺、振り回されてたみたいで」
「そうみたいだね。でも僕にとっては好都合でラッキーかな」
そういうと鹿嶋さんは、俺をこれでもかと抱きしめてきて。
「よかった。僕たちこれで両想いだね」
「えっ?」
「こんなことしておいてなんだけど……僕も千明くんのことが好きなんだ。一目惚れだったんだよ」
「え……ええええええ!?」
俺たち。──両想いなの!?
「ねえ…千明くん……──キスしたい…」
「鹿嶋さ……あ、ふぁ…んぅ………」
キス。気持ちいい……。
舌を吸われて。
歯列をなぞられて。
上顎撫でられて。
あまりの気持ちよさに頭が痺れてくる。
──あ。
また、下半身が。疼き始めて。
乳首が硬くなってきてるのが自分でも分かるくらい感じちゃってる。
「ん……ふ、…ふふっ、気持ちいい?」
「ぁ…っ…か、しまさ……ぁ…」
気持ちいい。
さっきまでももちろん気持ちよかったけど、そんなの比じゃないくらいに身体が痺れて。
俺。
「あ…あ…ぁ……あぁァァァ……ッッ」
身体が小さくバウンドする。
俺。イッちゃったぁ……。
「ナカイキしちゃったね。可愛いよ」
「んぅ……鹿嶋…さ……──あんッ」
お尻を撫でられる。
「また、ココ……弄ってもいい?」
「ぁ……っ」
鹿嶋さんに弄ってもらえる。
それがすごく嬉しくて。
「俺、鹿嶋さんに弄られるの好きです……ッ」
鹿嶋さんは一瞬だけキョトンとなったけど、ふっと笑顔になって。
「──もう、そんな可愛いこと他の人に言っちゃダメだからね?」
「へ……?」
お尻の肉をムニムニとかき分けて、アナルの入り口をトントンとノックされる。
「あ…っん」
「さっきまであんなにオモチャいっぱい入ってたから……」
ズプ……ッ!!
「あはアァァぅう!!」
突然たくさんの質量がアナルを圧迫してくる。
鹿嶋さんの指たちがナカを侵食してくる。
「はぅ、か、しまさ…指がぁ……っ」
「うん、指。いっぱい入っちゃったね」
縦横無尽に暴れ回る彼らからもたらされる快楽は計り知れなくて。
「千明くん、気持ちぃ?」
「うん。うん……気持ちぃ…気持ちぃよぉ……」
「顔がトロトロになってて、可愛いよ。千明くん」
ぐち、ぐちゃ、ぐち、ぐちゅ。
「ふあアァァァァ……」
ナカの弱いところを重点的に擦られて。
「ひうぅ……ッッんん!!」
身体がイクたびに大きく弧を描く。
「また、イッちゃったね」
「へぁ……あ……ぅ…」
ビクン、ビクン。
身体が熱い。熱くて。
鹿嶋さんの指からもたらされる快感が半端なくて。
でも。
でも……。
「鹿嶋さん……あの……」
「何?千明くん」
「もっと、奥…弄ってほしい、です……」
それを聞いた鹿嶋さんがまたキョトンとして。
次に大きなため息をつく。
「これ以上煽るの禁止ね」
舌なめずりをした鹿嶋さんは見惚れるほどカッコよかった。
服を脱いだ鹿嶋さんの肉体美はとても締まっていて。
天を仰ぐチンコも俺以上に全然デカくて。
今からこれが俺の中に挿入ってくるのかと思うと。
思うと。
ドキドキが止まらなくて。
「お待たせ、千明くん」
スキンをつけてローションを片手に持った全裸の鹿嶋さんは、ザ・漢と言わんばかりのイケメンだった。
俺、これからこの人に抱かれるんだ……。
心臓がバクバクする。
ローションが鹿嶋さんのチンコに塗りたくられて、余ったローションを纏った指が俺のアナルに侵食する。
「あ…っ」
あんなに色々挿れられたんだから今更解さなくてもいいだろうに、丁寧にローションでほぐしてくれて。
そんな仕草ですらキュンキュンしてしまって。
俺。鹿嶋さんのこと好きすぎるだろって。
「こんなもんかな?じゃあ、千明くん──挿れるね?」
アナルにぴとりと鹿嶋さんのイチモツが当たってて。
嗚呼、今から鹿嶋さんのモノが挿れられるんだって思ったら。
「千明くん…アナル、ヒクつかせないでよ。これでも我慢してるんだから……」
「あっ、ごめんなさい……!その、俺嬉しくて……」
「──……もう……、我慢してるって言ってんのに──」
「え……?」
ズズ……ッッ!!
「はぅ……ッッ!?」
突然の質量の快感に目の前がチカチカする。
何これ。
なにこれ。
ナニコレ。
「あ…は、ぁ……?」
ヤバい。全身が喜んでる。
鹿嶋さんを受け入れられたことが嬉しくて。
オモチャなんかより気持ちよさが倍増してるのが分かる。
だから。
「千明くん、ずっとイッてるね。──嬉しいよ……ッ!」
ズププ……ッ!!
「ひゃううぅぅン!!……ひゃん!はう!あんん!や、鹿嶋、さぁ、あはあァァ…ンン!!」
さっきのローションも相まって、下半身から聞こえる水音が半端なくて。
じゅぷ。
ずちゅ。
ずちゃ。
ちゅぷ。
「あはあぁ!あう!あん!あああァァァァんん!きもちぃ、きもちいぃ…んん!!」
「千明くんのナカ、すっごいうねってて……こっちが搾り取られそう……っ」
「あアァァァ!鹿嶋さああ……ァァん!あん!あぅ、あはぁ…あぅ!あん!あうぅ!!」
「千明くん…千明、くん……!」
「鹿嶋さん…鹿嶋さ、鹿嶋さんん……!」
俺も名前、呼びたいよぉ……。
名前。
名前、確か────
『ふふ。俺、鹿嶋瑛太(かしまえいた)。とりあえず中、入りなよ。寒かったでしょ?あったかいお茶持ってきてあげるから』
「え…いた、さん……瑛太さん……ッ!瑛太さああぁぁ……!」
呼んだだけなのに。
幸福感がヤバい。
「!!──千明くん……!!──千明……!!」
名前。ヤバい。
呼ばれるのも、ヤバい。
ブワワワアァァッて。
心が、華やいでいく。
「瑛太さ…瑛太さん…っ!きもちい、きもちいぃよぉ……っ!」
「千明、千明、千明、千明……!!」
名前呼ばれながら突かれるのヤバいくらいキモチイイ。
瑛太さんのがどんどん奥まで侵食してきて。
「あ…ッん!や、ぁ、奥…までェ……キてるのぉ……ぉ、おぉ……奥、太いの、キてるうぅ……!」
ズちゅ…ん…ッッ!
「あはあアァァァん!!あん!あん!あふ、あひぃ…ん!イッちゃう、イク、もダメ、イクの、イッちゃうゥゥゥゥ!!ひゃうぅぅ〜〜……ッッ!!」
ビクビクン!!と身体が快楽でバウンドする。
「精液、いっぱい出たね。可愛いよ、千明」
律動が再開される。
「瑛太さん……あっ……や、ダメいまイッたばっかだからぁ……ッ!あん!らめェ、またすぐイッ〜〜……ッッ!!」
突かれるたびに何度もイッて。
何度も何度も精液が飛び散って。
痙攣が止まんない。
好きな人とのセックス、きもちいいよぉ……。
気持ち良すぎて身も心もトロトロにされていく。
瑛太さん。
瑛太さん。
瑛太さんが好きだ。
好きで好きで、仕方がない。
そんな好きな人にこんなに奥まで突かれたら。
そんなのもう、すぐにイッちゃうに決まってる。
「瑛太さん……──あん!あぅ、あはあアァァァァ……!!」
高速ピストンヤバいいぃぃぃッッ!!
「あぁァァァァァァらめえええぇェェ!も、らめええええェェェェ〜〜……ッッ!!」
「千明ィィ……ッッ!」
ドクン!と俺のナカで熱いものがほとばしる感覚。
それと同時に俺も自分の腹に放出する。
ああ。
瑛太さんが俺のナカで気持ちよくなってくれたのが嬉しくて。
「瑛太さん……」
「千明くん……」
お互い見つめあって。
吸い寄せられるようにキスをして。
「んぅ……ふぁ……んん……」
お互いに抱きしめ合って。
「ふぁ……好き……瑛太さん、好きぃ……」
「僕も、千明くんが好きだよ。好きで好きで、たまらないんだ」
「嬉しい……っ」
つい顔が緩んじゃう。
「もう、そんな顔しないで……止まらなくなっちゃうから」
おでこにキスされる。
嬉しくて。
嬉しくて。
俺は目の前の愛しい人をギュッと抱きしめる。
「俺、瑛太さんになら。何されても嬉しいです…から……」
「〜〜……もう。じゃあこれから、少しずつ、じっくりと慣らしていこうね?」
「──はい……」
同時に顔を見つめ合って、くすくすと微笑みながら。
もう一度唇を重ね合って、もう一度身体を重ね合うのだった。
本来は最悪かもしれないけれど。
俺は今この出会いに感謝してる。
鹿嶋瑛太さんにアナル調教されたこの事実すらも運命だと思える俺は、やっぱり流されやすいのかもしれないけれど。
だからこそこの人に出逢え、この人に調教された今。
俺は幸せだと思ってる。
大好きだよ、瑛太さん。
俺を幸せにしてくれて、ありがとう。
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