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chapterⅥ 慎文からの熱視線②

結局、和幸の本心を話すことができずに慎文とのデートの日である土曜日を迎えてしまった。当日を迎えてしまった以上、慎文が帰る日まで話さないのが得策なのではないかと思えた。折角のデートなのだから慎文を楽しませたい。前日の夜まで悩んだ末、真冬の動物園へと向かうことにした。  今まで慎文のことを真剣に考えることをしてこなかったせいか奴の好きなものが分からない。唯一、和幸が知っていることといえば、実家が酪農場で、そこには牛の他にコーギーも番犬として飼っていることから動物が好きであることは間違いなかった。  普段から接しているのであれば、嫌と言うことはないはず……。 案の定、車を走らせ園内に到着すると、明らかに慎文の瞳が輝いていた。 一方で和幸は、車から出てチケットを販売所で購入した後で後悔した。山の付近にある動物園のせいか風が冷たく刺さる。帽子にダウンジャケット、マフラーや手袋の完全防寒をしていても日頃から暖かい室内を好む和幸には耐えかねぬ寒さだった。 一瞬でも真冬に動物園を選択してしまった自分を恨みたくなったが、慎文は寒さよりも楽しみの方が勝っているのか、先陣を切って入場して行ってしまった。 「お前さぁ、こんな寒さでよくはしゃげるよな」 背中を丸めて、身体を震わせながらも先を行く慎文を小走りで追いかける。 「だって、楽しいじゃん。カズくんとデートだし」  世間はクリスマス真っ只中。園内にも所々に赤と緑に装飾され、受付の職員もサンタの帽子を身に付けていた。流石、子供が来る場所なだけあってユーモアに長けている。   客足も寒さからか疎らではあったが、カップルが多く見られた。 和幸と慎文が歩く横を男女のカップルが通り過ぎ、仲睦まじく手を繋いで前を歩く。それに触発されたのか隣の慎文に右手を繋がれてギョッとした。 「今日はデートだからいいよね?」 「まあ……。今日だけなら」 「やったー……」 いいも何も、公の場所には変わりないのだからアリかナシで言えばナシの筈だがいつものように突っぱねられないのは、期待をさせている後ろめたさがあるからだった。 「その代わり、人がいたら離すからな」 「うんっ。カズくんの手、冷たい」 「さ、寒いんだから仕方ないだろ」 白い息を吐きながら嬉しそうに口を綻ばせた慎文は、指を絡ませるように手を繋ぎ直してきた。 「こうすれば暖かいよ」 慎文のダウンコートのポケットに繋いだ手を忍ばせてくる。 和幸は上機嫌な慎文を横目にポケットの中で繋がれている手と触れ合う肩に気恥ずかしさを覚えながらも、奴に連れられるまま園内へと入った。

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