12 / 22
星間歩行 12
結がシャワーを浴びにユニットバスへ消えると、明人は深いため息をついた。
シャンパンのグラスを片づけながら、明人は義兄が自分を好きだという事実をまだ信じられずにいた。
義兄が自分に欲情するのだと思うと、明人は生理的な嫌悪感を覚えた。結が翔磨と付き合っていても何とも思わなかったのは、それが他人事だったからだ。男に、ましてや義弟に欲望を抱くなんて、おかしい。結が得体の知れない、醜い性欲の化け物のように見えてくる。
が、結は明人に自分の思いを伝える気はないようだった。結が酔っ払ってフェラチオをしたのは、あくまでも事故だったのだ。
明人は飛勇展の絵が描けるまで、結のようすを見ようと思った。飛勇展の絵が完成すれば、結のアパートに余裕ができるだろう。
結がまた性的な行為を仕掛けてくるなら、自分は結から離れよう。明人はまだ水音がするユニットバスを警戒するように眺めながら、シンクでシャンパンのグラスを洗い流した。
ともだちにシェアしよう!