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そんな僕らの日常で
僕らの通う学校の部活棟の片隅に、誰も近寄らない部室がある。
落語研究会と書かれたプレートの張ってるその部室は、数年前から落研がほぼ廃部状態であることをいいことに僕らが勝手にたむろして遊び場にしている。
ゲームやったり、スマホいじったり、お菓子食べたり。
コンセントもあるから、電子機器の充電はし放題だし、クーラーもあるから夏場も快適に過ごせる。
僕らにとって最高な遊び場ってわけ。
「なぁ、奏ー。」
気難しい顔して、読書に没頭している、活字中毒。
久我山奏。
綺麗に染められた金髪と、少し中性的でありながらも、クールなたたずまい。
人当たりも良く、寄ってくる女子も多い。
こいつがどんな交友関係を持っているかは詳しく知らないけど、色々と経験豊富そうなのは、確かだ。
「どうしたー。穂影。」
読んでいる本から一切目を離さずに答えを返す奏。
感じ悪っ。
「東はー?」
東っていうのは、この落研の部室の主、遠江東。
つまり落研部長。
東と仲良くなったのをきっかけに僕たちはここにたむろするようになったってわけ。
だけど、とうの東は放課後になってずいぶん経つのに一向に現れない。
「知らね。買い出しとかじゃねーのー?」
相変わらず、本から目を離さずにこたえる奏。
「えー。つまんなーーい。」
確かに部室のお菓子きれてたけどさぁ。
東がいないとつまんないよ。
「なにぃ?俺じゃ不満なワケ?」
ようやく、本から目を離してこっちを見る奏。
「そーゆーことじゃないけどさぁ」
「じゃなに?」
その言葉に、奏は少し眉をひそめる。
そうやってすぐ怒った顔するんだから。そんな顔ばっかしてると、しわが増えるぞー。
「やっぱさー。東虐めるのたのしーじゃん?」
「それはねー。」
表情をかえないまま、同意する奏。
そう。東をいじめるのは楽しい。
虐めるって言っても、殴ったり蹴ったりとかじゃなくて、ちょっとエッチなこと言ってからかったりとか、くすぐったりとか。
あいつそーゆーの苦手だから、すぐに反応してちゃうのが、面白くてならない。
もぅ、これだから童貞ちゃんは。
あ?もちろん僕は違うよ?
「あー。イライラするー。奏ー。タバコ取ってー。」
そうそう、僕はヘビースモーカなんだ、すってるのはKOOLのメンソール。
これ吸わないとイライラしちゃんだよねー。
世の中理不尽なこといっぱいあるし。
こうやって、タバコ吸えるのも、落研の部室があるからこそだね。
「だーめ。お前、高校生なのになんでこんなの吸ってんだよ。」
そういって、煙草の箱を自分の胸ポケットにしまう奏。
高校生だからすってるの!
高校生にはいろんなストレスがあるんだよ!
逆に、奏はよく煙草なしで生きていけるね!
「美味しいのに…メンソール。」
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