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遠い空が呼んでいる 2

新幹線の車内に入ると、中は和を基にしたモダンなデザインになっていて、やはり最新鋭だけあってとてもおしゃれだった。 「えーと、俺たちの席は~。」 中央の通路を隔てて、左右に二席づつある席の番号を確認しながら進んでいくと、車両の中ほどのところに僕たちの座席を見つけた。 見つけるや否や、東が下にあるレバーを引き座席をぐるりと回し席を向い合せる。 出来れば三人ならんで座りたかったのだけれど、座席の構造上、二席を組み合わせるしか方法がない。 まぁ、一席余ってしまうけれど、これだけ空いているのだから隣に誰か座ることは無いだろう。 「俺窓側ねー!」 東が元気な声で一番窓側の席に飛び込んだ。 お菓子がいっぱいに入ったリュックを両手にかかえ、車窓を眺める姿は家族旅行に浮かれる子供の様だ。 僕はどこに座ろうかと考えていると、奏がキュッと腕を引く。 「俺の隣に座れよ。」 奏が僕の耳元で囁く。 響く低い声が僕の身体をぞわりと震わせる。 耳弱いんだってばぁ。 「感じた?」 にやりと笑いかける奏。 こいつ……わざとやったな…… この変態ドS野郎…… 「電車の中で勃たすなよ。」 皮肉というデザートまでつけたからかいのフルコースに僕は思わず、奏のこと殴りそうになったが、どうせ止められるのでやめといた。 仕方なく窓側に陣取った奏の隣に座ると、奏は僕の太ももの上に手を乗せた。 奏の方に目をやると、しらっとした顔で外の景色を見つめている。 なんなんだよ!!! 「おい奏。」 「どうした穂影」 「どうしたじゃなくて!この手は何?」 「さぁ?」 とぼけた声で僕の問い詰めをかわしながら、奏はふとももに乗せた手を少しだけ動かしてくる。 なんとも言えないくすぐったい感覚に身体がむずむずしてきた。 「やっぱ新幹線ははやいねぇ。もう大宮についちゃうよ。」 余程、外の景色を見るのが楽しいらしく窓から目を離さない東を余所に、奏は僕への悪戯をエスカレーションさせてゆく。 太ももにあった、手は打ちももに伸び、むずむずとしたくすぐったさが段々と弱い快感に変わってゆく。 「おい……奏……」 今回の旅の目的は奏を抱くこと。 こんなところで屈するわけにはいかない。 悪戯をする奏の手を掴むと、奏は意外といった表情でこちらに振り向いた。 「なんでこんなことするんだよ。」 「穂影のえっちな顔が見たいから。」 「ば、馬鹿じゃねぇの!」 真面目な顔で答える奏に少し恥ずかしくなってしまう。 「俺はお前の乱れてる顔が好きなの。」 「おいヘンタイ。僕はおもちゃじゃないよ!」 「……なんだよつまんねぇなぁ。……あ、そうだ。じゃぁ賭けしようぜ?」 奏がにやりと何か思いついたらしく悪い顔をする。 うえ…ヤな予感…… 「今から金沢につくまで約二時間。俺の愛撫で勃たなかったら、一つだけ穂影の言うこと聞いてあげる。」 「なんでも……?」 もしかして……これは大きなチャンス……? ここでもし賭けに勝てば、なんでもいうことを聞かせられる。 つまり、奏に抱かれろって命令することができる! おおおおおおお! よし!奏にこんな提案させてこと後悔させてやる! 「わかった。その駆け乗った。その代り直接ちんこ触るのは無しね。」 「いいぜ。でも、もし負けたときは、穂影も俺の命令一つ聞けよ。」 「……わかった!」 こうして、北陸新幹線の中でなんとも卑猥な勝負が始まった。 大体、ちんこ触らずに僕のを勃たせるなんて、いくら奏がテクニシャンといえど、そんなことは無理だろう…… とおもっていた…… 「穂影―。プリッツたべるー?」 新幹線に約二時間ほど揺られ、富山を過ぎたあたりだった。 東がお菓子の詰まったリュックサックをガサゴソと音を立てて探している最中、僕は息も絶え絶えだった。 だって…… 奏の愛撫うま過ぎんだろ!!!!!! やばい…… 何とか勃起せずに保ってきたけど、もう無理だって…! 半勃ちだって! 少しでも動いたら服にこすれる刺激で勃ってしまいそうだ。 あんなこそばゆい刺激を二時間も浴び続けていたら強い刺激が欲しくてたまらない。 だけど、賭けに勝たなければいけないという状況の中で僕の身体はほぼ限界に近かった。 金沢まであと約二十分。 本当に耐えられるだろうか… 「あきらめちまえよ。」 奏がまた、耳元で囁く。 息が耳に当たるだけで、ありえないほどに心臓は鼓動を速めた。 「あったあった。はい、穂影。あーーん。」 東はそんな僕の状況には気づかず天使のような笑顔でプリッツを僕に差し出す。 でも、今動いたら服がこすれて確実に勃ってしまう。 どうすればいいんだ…… 「どーしたの穂影…?顔真っ赤だよ?具合悪いの?」 「だっ……大丈夫だから……」 きょとんとする東が余りに無垢で、心配させてはいけないと思い、ボッキーを咥えようとする。 「あっ……あーーーん。」 服がこすれないように、ゆっくりと動く。 よし……何とか食べれた…… 「穂影。ワンちゃんみたいでカワイイ!」 突然、向かいにいた東が僕の事をぎゅっと抱きしめた。 えっ!? ちょっと!? 「あれ……?穂影……?なんで勃ってるの……?」 『次は、金沢。金沢です。』 ……ゆっくりと奏の方を向くと、にやりとした笑顔で「お れ の か ち」と口を動かした。

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